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他人に認められる者

 学園の空気が変わった。それまでもニホンの中でエリートであるという自負を学生達は持っていた。しかし今回国際親善会での勝利に伴い次代の世界最強の魔導師軍はニホンにありと示したのだ。学生の身も引き締まる。それと同時に1つの疑問が浮かぶ。今、この学園で1番強いのは誰なのかと。学生最強の七星の席次はこの年に入ってから変動していない。そもそも誰も星を賭けた戦いをしていない。変わるなら今じゃないか。そんな思いが学園に蔓延していた。そんな時に生徒会及び北斗会から連名で一枚の貼り紙がされた。『星狩り』、七星の交代の機会の提示であった。


『       星狩り

 この度七星全員の署名の元に全生徒対象のイベント星狩りを行うこととなった。七星との直接対決で勝利した者にはその瞬間から七星としての地位が保証される。参加資格は教師の許可及び、自分以外の学生8人からの推薦。また、他人を推薦した者は参加資格を失うこととする。その参加資格を得た者は七星のうち2人に挑戦する権利を得る。


 ❇︎現七星が現七星に挑む場合、下の位の者が勝利した瞬間地位は入れ替わることとする。

 第二輝 創士貫介』



「…剣、これどう思う?。…結構エグくない?。」


「あぁ、そうだな。この学園にいる奴ってのはどいつもこいつも1番になりたい奴らだ。そいつらから推薦をとりつけないといけないのはキツいぞ。…下手をすれば七星同時の潰し合いだけになる可能性もある。」

 重と剣は学園の掲示板の前で貼り出された書面を見ていた。澪は女子の友達に呼ばれたため不在である。


「…だよね、…ねぇ、これ考えたのってさ…」


「絶対にあの人だろ。…こんな性格の悪いこと出来る奴が他に思い当たらない。」

 重と剣の頭に浮かんだのは同じ人物だった。全星寮の主人にして七星第五輝。知略を巡らせれば敵はいないと言われる男、若草大樹である。


「…でも出たいよね、これ。…3年生と戦えるチャンスなんてそうそう無いから。」


「…そうだな。なんとかしねーとな。」

 重と剣はどうやって8人から推薦をとりつけるか考えながら寮へと帰っていった。






「…え!じゃあ澪ちゃんもう申し込んだの!。」


「は、はい。…あの…私に掴んで欲しいって言われて。…女の子ばかりなんですけど…推薦をいただきました。」

 全星寮で重の叫び声が響く。重、剣とは別に帰ってきた澪だがその口から既に8人の推薦を得たことが伝えられる。


「…マジかよ。一体どうやって…」


「あの、今日呼ばれて…本当に1番になりたいか尋ねられたんです。そこで私は1番になりたいと伝えました。…重さんや、剣さんにも勝ちたいって。そうしたら…推薦してくれるって。」


「…やはりきたね、澪ちゃん。女の子の方が早いと思っていたけど…まさか当日とは。それはこれまで君が積み上げてきたものの成果だよ。」


「大樹さん⁉︎いつの間に…。…あの女子の方が早いってどういうことですか?。…そんなのあんまり関係ないような気が…」


「今の七星、女性は真利谷先輩、東堂先輩、銀城先輩の3人だ。その共通点はなんだと思う?。」


「…共通点?。…先輩…そうか、全員3年か。ってことは卒業すれば…」


「そう、残っている現七星は全員男だ。補充されるはずの4人の中に女性が入る確証はない。それは女の子達に団結を促す結果になった。」

 この学園では男女に差など存在しない。魔法では性差などなく七星にも男女隔てなく取り立てられている。その七星に女子がいなくなる。それは受け入れがたいことだった。


「既に2年でも女子の数名が推薦を受けていると聞いているよ。こういう時は男は自分の感情で身動き取れないけど、女性の団結力は凄いよね。」


「…それで矢沢か。確かに…1年の女子の中じゃ…上の上だしな。」


「それに澪ちゃんは普段からみんなに対しても優しくしてるし勉強も出来る。それでか。」


「創士さんは強さだけじゃなく人に認められる者を後釜に据えたいらしいからね。…さぁ、君たち2人が僕らの前に立てることを楽しみにしてるよ。あ、澪ちゃんは後日連絡がいくと思うからね。」


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