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力の代償

「さっさと終わらせて…役立たず供を殺してやる。こんな遊びに付き合っている間も惜しいくらいだ!。」

 リリアン脱落のアナウンスを聞いたユガナは激昂した。元々周りには期待していなかったユガナ。しかし露払いぐらいは出来るだろうと思っていたサクラ、リリアンの結果的に見れば無意味な敗北はユガナの心をドス黒く染め上げる。それに追い打ちをかけるように目の前にはボロボロになりながらも耐える銀城の姿がある。ユガナの精神は限界を超えていた。


『ねぇねぇ、李白くん。ちょっと良い?。』

 怒るユガナを尻目に銀城は後ろ手に魔法で文字を描く。


『私が前に出るから壁をお願い。』


『薄くても良い。』


『確実に防御。』

 それだけを書き残すと銀城は蒼き翼をはためかせユガナに接近を試みる。


「…蟻の次は蝿か。ならば叩き潰すまでだ!。」

 ユガナの背後の明王が前傾姿勢をとり銀城へ向かって腕を伸ばす。


『…パァァーン‼︎。パァァーン‼︎。』

 銀城に迫った明王の平手は当たる寸前で李白の張った無属性に阻まれる。薄い壁は止める事は叶わないが砕ける衝撃で明王の手を弾く。


「…このっ…クソ野郎供がぁ!!。」

 紙一重で攻撃を回避する銀城。ユガナの怒りは視界と思考を狭めていく。その隙にユガナの目前にまで迫る銀城。


「…あと少し…」


「お前!まさか…。それは許さんぞ!。」

 銀城の行動の意味を察したユガナは明王の腕をアームハンマーのように垂直に叩きつける。


「…耐えろよ、『錐体・向日』!。」

 李白が三角錐のような物体を錬成。銀城の頭上に展開してユガナの攻撃から守る。徐々に潰されるがギリギリのところで持ち堪える。


「…そんなに慌てるって事は…私の想像通りなのかな?。」

 銀城はユガナの手を掴んでいた。翼と尻尾はそのままだが腕の炎は消えている。よってユガナにダメージはない。そんな距離に銀城の接近を許しながら明王は反撃をしない。それどころか存在しなかった。


「…お前…いつ気付いた!。」

 銀城を睨みつけながらユガナが言う。


「偶然なんだよね、あの時私の腕には炎がなかった。尻尾の方に多く魔力を注いでいたから。その時明王の攻撃はなかった、というより発動していなかった。けど腕に炎を纏ったら明王に尻尾を掴まれた。って事はさ…素手で他人に触れられると発動出来ない縛りがあるって事だよね。」

 ユガナのLevel6は1人で戦い抜く為の魔法。自分だけが勝つ為の魔法。その強力な力の代償は味方さえ触れることを許さない圧倒的な孤独。


「…寂しい人だね。」


「は?何それ…群れるのは弱いからだ。私は誰よりも強い。お前は確かにこの魔法を封じた。けどな…私はそれだけのつまらない奴じゃないんだよ!。L4『斬大地』‼︎。」

 ユガナが通常の魔法を放つ。


「私は普通に強いぞ!。そもそもお前は私に触れ続けなければならない。その状態で…何が出来る!。」

 銀城は手の部分を魔法で覆うことが出来ない。そして絶えずユガナの体に触れ続けなければ明王が発動。ゼロ距離の銀城を打ち据えるだろう。それでも銀城は前に出た。何故ならもう1人いるからだ。自分のL5の魔法を打ち破る程の男がここに。


「…俺がいる。散々助けられたからな。その恩はこの場で返す。『空観定義』。」


「…ならばお前から殺す。死ねぇ!。」

 ユガナが魔力を腕に纏わせ銀城に殴りかかる。


「…俺の無属性を破ったのは…L 6以外ではそこの女だけだ。お前の魔法では…破らせない。」


「…1人を誇ったお前は俺たち2人が首をとる。」

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