木属性の汎用性
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次の更新は8月19日になります。
「木属性は俺が操る属性の中で最も汎用性に長けた属性だ。」
ルドガーの足元から次々に蔦が生えてくる。意思を持つ様に動くそれは辺りを警戒する様にしなっている。
「…木属性?。…それなら…L 2『火炎』×1,000。」
重が魔法を放つ。植物ならば自分の火属性魔法でも燃やせると思ったのである。重の思惑通り樹に炎が点り燃え盛る。
「重、俺がお前のその魔法を警戒していないはずがないだろ?。それでもなおこの属性は有用だ。」
燃え盛る炎の中から蔦が飛び出して重に巻きつく。
「…ぐっ!。…この…『火拳』‼︎。」
重は両腕で火拳を発動して巻き付く蔦に摑みかかる。掴んだ所から黒く焼け焦げるが拘束が緩むことはない。焦げた所から新しい芽が芽吹き更に重に巻き付く。
「自らの亡骸を栄養とし次代を産み出す。まるで…これからのユーロのようだろ。だから俺はこの属性が大好きだ!。」
ルドガーの操る樹は白凛にも襲い掛かる。
「…成る程これは…厄介だ。…徐々に空間を支配し始めている。」
火属性での爆発的加速を繰り返しそれでも避けきれないものは斬り捨てなんとか躱す白凛であったが逃げ場を無くすように徐々に包囲網を狭めてくる。白凛の懸念はそれだけではない。先程の重のやり取りを見ていてある可能性を考えていた。
「…『一片樹樹』‼︎。」
そしてその懸念が実際の物となる。ルドガーが魔法を唱えるとこれまで白凛が斬ってきた木片から人柱の大木が生える。突如現れ空間を占拠する大木。それに邪魔をされてついに白凛も捕らえられてしまう。
「…っ。…俺の魔力を…」
「えぇ、そうです。使われる魔力を吸収して更に太く、強くなる。」
既に木片から生えた樹は枯れて無くなっている。一瞬だけ込められた生命力を爆発させ急成長する。単調だがいつ発動するかわからない。心理的なプレッシャーになる。
「…既に展開は終わった。この場は俺が支配する。」
ルドガーがそう宣言する。この場の地面には木片が散らばりヨンナ、ハンナの周りにも散っている。
「…ぐぐっ…。このっ!。…」
「これを突破するのは…中々に至難だ。」
ルドガーの魔法に囚われた2人。魔法を発動しようにも中途半端な魔法は糧にされてしまう為動けない。
『アメストリア代表リリアンクラウド脱落です。』
そこに流れるアナウンス。それは重の心に火を点けた。
「…剣!。…俺も負けてられない。…いくぞ『夜炎』‼︎。」
重が蒼い炎を発動する。その炎を纏う両腕で体に巻き付く蔦を引き裂いていく。
「…うおぉぉぉぉぉ‼︎。…『火突薙』‼︎。」
両手の火剣を複合した大剣で全てを斬り裂き解放される。その勢いのままルドガーへと駆ける。
「…芽吹け!。『一片樹樹』。」
重の進路にあたる所の木片から大木が生える。
「…ふぅ、これからはずっと…夜炎だ。」
次々と生えてくる大木を斬り裂き、倒し、乗り越え進む重。響いたリリアン敗北のアナウンス。それは剣の勝利を意味する。ならば自分が立ち止まっている場合じゃない。覚悟を決め決死の行動に出る。
「…俺の木を…ここまで攻略法するなんて。…だけどこの属性は近接でも半端じゃない!。」
重を止めることを諦めたルドガーはその手に槍を構える。
「…おいおい俺を忘れないでくれ。俺はお前らを仕留める為に全てを賭けるぞ?。『全賭討』。」
重とルドガーが斬り結ぶその間に白凛が割り込んでくる。その体からは魔力のオーラが立ち昇っていた。
「…いつの間に!。だがその場所は終わりだ!。『貫樹槍』。」
「…俺はもう止まらない!。『火突薙・雅苑』。」
ルドガーと重は目の前の白凛にそれぞれ大技を放つ。
「…これより俺1分俺は修羅になる。」
白凛は両手の刀で2人の攻撃を受け止めていた。




