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金剛不動

「…あー、もうー、だめだ。あの女には国家機密だから隠せって言われたけど…これは私の魔法だ。勝手に国家の秘密にしてんじゃねーよ。…どうしようと私の勝手だろう。感謝しろよ、そしてその目に刻めLevel6の姿を。『金剛不動 』。」

 ユガナがボソボソと独り言を言った後立ち上がる。そして濃密な魔力の渦が巻き起こりそれが収まるとユガナの背後には堂々たる明王が鎮座していた。全長3メートル程の明王は腕を体の前で組んだまま動かない。


「…ニホンのLevel6の奴は甘いんだよ。あの使い方は周りとの協調を前提としている。私は違う。この魔法は私だけが勝ち抜くための魔法だ。立ち塞がる全てを打ち倒す。」


「ふっ、やべーわこれは。『転体』。武者震いが止まらねー!。」

 李白が無属性の立方体を錬成。それを高速で回転させる。密度の高い無属性のそれは地面を易々と削るほどの破壊力を誇る。


「…無駄無駄、この掌は全てを破戒する。」

 向かってくる転体に明王が掌を向ける。転体の回転は徐々に弱まり停止する。


「…炸裂‼︎。」

 停止した転体が破裂する。砕けたカケラが無数の弾丸となってユガナへと向かう。明王は出している腕を引っ込めようとするが…


「…L 5『炎義手』。」

 銀城が腕を炎で巨大化させ明王を腕を掴み止める。


「馬鹿が、腕は2本。そちらでなくとも問題はない。」

 もう一本のフリーになっている腕がユガナの前で開かれる。炸裂した李白の魔法はその手に阻まれユガナに届かない。


「滑稽だな。それぞれの国の代表がプライドを捨てて徒党を組み、それでも私には…」


「『月穿』!。」

 ユガナの言葉の途中で李白が腕を上にあげる。


「届…これは?。…下から……!…くっ……そが‼︎。」

 地面が揺れユガナの下、地面を裂いて無属性の柱が飛び出す。柱は速度を維持したままどんどん伸びていく。


「…『中抜』。…『心棒』…『自由落下・王球』。」

 柱の中央部分が消える。それによって柱は空洞となりユガナは落下する。その空洞部分に一回り小さな柱が飛び出てくる。さらに上空からは王球も落下。周囲を壁で囲まれて下からも上からも無属性が襲い掛かる。完璧な圧殺の刑場がそこにはあった。


「…おまけしといたげる。『焔蒼憐』。」

 銀城が王球に蒼炎を纏わせる。


『…ドンッ…。……ビキビギ…』

 ついにユガナが王球と柱に挟まれる。明王の2本の腕でそれぞれを押さえ込んでいるがその表情は初めて苦悶を浮かべていた。


「…お前ら…コロス、コロス、コロス、コロス…ヤッテヤル‼︎。」

 呪詛を延々と吐きながら月穿の中で抵抗するユガナ。若干ではあるが王球を押し返し始めていた。


「…なら…『重加算・連球』‼︎。」

 王球を押し込むように続々と球が降り注ぐ。王球にぶつかる時の衝撃、更に純粋な重さが加わる。持ちこたえていた明王も少しずつ抵抗が弱くなる。


「ぐっ⁉︎。…この怒りを…受け取れ!。『金剛不動明王・修羅の相』。」

 ユガナがこの状況に対する怒りを爆発させる。それをうけ明王の色が青く染まる。表情も怒りの表情へと変わり体中の血管が浮き立つ。


『…ぱき…ピシッ……ピシシッ………パララ…パラ…バーーーンッ‼︎』

 周りを覆っていた柱自体が砕ける。


「…嘘だろ。俺の魔力を重ねがけしていたのに。何層にもコーティングして硬度は増していたはずだ。」


「…色が変わってから…なんか…寒気がするんだけど。あれ?これって…私恐れてるの?。」


「恐れろ、怖れろ、畏れろ‼︎。お前らは私の機嫌を損なった。あー、これまでで最高に…損なった!。」

 ユガナの背後の青き明王の手には魔を滅すると言われる剣と捕縛するための縄が出現していた。


「さぁ!世界最高のショーの幕が上がったぞ!。」

 ユガナが始めて自ら前に出る。

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