Level6のちから
「…こんな面倒くさい催し意味は無いだろ。余りにも子供騙しじゃないか。怪我を負っても治る、そんな環境で何故戦士が育つと考える?。あー、うざい、うざい、うざい!。私がぶっ壊してやる。」
瓦礫に腰かけたままユガナが頭を掻き毟る。その態度からも苛立ちが見てとれる。ユガナの目はさらに険しさを増していく。
「…聞いてたよりもぶっ飛んでるくない?。情緒不安って言うか精神疾患でしょ。」
「でも強い。なにせLevel6を使うんだからな。」
陽香から送られてきたユガナの情報。そこには雷帝をもってしても傷1つつける事が出来なかった事実が残されていた。
「創士君と一緒だねぇ。…うんうん、大変だよそれは。」
「何をごちゃごちゃ言っている?。お前らに出来るのは私を不快にさせない事だけだ。そうすれば一撃で殺してや…」
「…『自由落下・王球』‼︎。」
ユガナの言葉を遮るように李白が唱える。無属性の球体がユガナの上空から落下する。
「いいね、『蒼炎の戦姫』。『烈火十字』‼︎。」
更にそこに銀城が追撃をかける。蒼き炎が大きな十字を象ってユガナに襲いかかる。
『ドーーーーーーーンッ…』
圧倒的質量の王球と圧倒的火力の十字によってユガナがいた場所は破壊される。
「…まだだ、これで終わるわけない。『硬物質典雅』‼︎。」
「…『蒼炎の檄槍』を乱れ撃ち‼︎。」
李白の最高密度の典雅と蒼炎の槍の乱れ撃ちが煙が晴れない爆心地に降り注ぐ。
「…Level6は人間が神に近づく一度だけのチャンス。与えられるのはこの世の理に縛られないオンリーワンの魔法。まさかもう1人いるとは思わなかったけど…あれはハズレだな。薄いんだよ、願望が!。知らないんだよ、力の特権を!。私はこの力を使って神になる。」
煙の中からユガナの怒声が響く。
「…無傷か。陽香姉の情報は間違いってことね。…魔力の吸収とかではないか。周りの瓦礫も残ってる。」
「ずるくない?。無傷どころか一歩も動いてないし。」
煙が晴れた時ユガナは攻撃前と同じく瓦礫に腰かけていた。爪を齧り膝を貧乏ゆすりさせヤバい奴の雰囲気が更に増す。
「まさに狂人って感じ…」
李白の言葉を遮るようにユガナが叫ぶ。
「…あーっ、もうダメだ。…シネ。」
「…?ぐはっ⁉︎……なんだ……何処から。」
李白が謎の攻撃を受けゴロゴロと転がる。
「…上!。」
何かに気付いた銀城が李白に注意を飛ばす。
「…くっ、上?なんだよこれ…」
転がりながらもなんとか体勢を整えた李白が上を見ると巨大な拳が見えた。
「…『堅板』‼︎。」
『…ドンッ‼︎ドン、ドン、ドンッ‼︎』
李白が発動した堅板を謎の拳が殴り付ける。
「…は?うざっ。『蓮華』。」
『ドドドドドドドド…ビ…ビシッ…バリンッ‼︎』
打撃の数が突如増し堅板を易々破壊、李白の無防備な体が晒される。
「…1匹目。」
「…甘いよねぇ、L 5『星華火』。」
銀城がユガナに向かって星華火を放つ。少し形は変わったが実はここまでが李白と銀城の予定通りだった。李白が引きつけ銀城の火力で攻撃する。その為に李白は囮をかってでていた。蒼炎を纏った状態での星華火。蒼き炎が分裂を繰り返しユガナに降りかかる。
「…あーあー、…『護國』。…助けなくてもいいの?。」
燃え盛る蒼炎の中の光景を銀城は確かに見た。ユガナの周りだけ自身の炎が及んでいない。座ったまま何かに護られるように悠然と佇む。そしてユガナの言葉を聞き李白の方を振り向く。
「…くっ…『正立…方』。『定空』。」
李白は2つの掌に挟まれ押し潰されそうになっていた。無属性を展開して圧力に耐えているがそれも徐々に歪みが生じてきている。
「…『蒼炎の翼』。…L5『桜火道』。」
銀城が焔の翼を生やし李白の元へ向かう。その際に燃える桜の花びらで後ろからの追撃を防ぐことも忘れない。
「…やばっ…!。…って……助かった。」
押しつぶされる瞬間銀城が李白を救い出し事なきを得る。
「…まずいよね。仮定の1つ、攻守同時は無理っていうのが無くなっちゃった。」
「…ふはははっ!。…Level6がそんなちゃっちなわけ無いだろ。」
「…つまらない、つまらない、つまらない。誰か私を熱くさせてくれよ!。」
ユガナの狂気は加速する。