眠り姫の目醒め
次回更新はお休みです。
次の更新は6月10日になります。
出場選手
『ニホン
銀城葵
火祭剣
八神重
アメストリア
リリアン・クラウド
ユガナ・ローレンス
サクラ・スコリッシュ
光華
高陽香
宗李白
王白凛
ユーロ
ルドガー・メイゼン
ハンナ・フラン
ヨンナ・フラン』
戦いのステージはこれまでと同じく建築物が並び立つような場所だった。
「…さてと…どうする剣?。」
「そうだな、まずは…先輩に1発大きいのを上げてもらうか。」
「おいおーい、君達先輩をそんな風に言うとバチが当たるよ?。まぁ…私もそのつもりだったんだけどね。L 5『星華火』。」
銀城が開幕の花火とばかりに星華火を打ち上げる。この魔法を見ればここに銀城葵がいる事は筒抜けになるだろう。そしてやってくるのは勝てる見込みのある者、そして…一度勝った者。つまり…
「あぁ、また、出てきたんですね。それにそんな魔法を使って…罠ですか?。まぁどんな罠でも俺の無属性は唯々圧し潰す。」
前回銀城を封殺した李白である。前回李白の無属性の前に銀城のLevel5は歯が立たずヤケ糞で行った重の真似事も防がれている。
「嫌だなぁ、罠なんて私はそんなめんどくさい事なんてしないよ。…私が出来るのはこれだけだよ。L 5『星華火』。」
性懲りも無く星華火を放つ銀城。
「…無策で挑むか。…舐めるなよ。俺ら光華は変わり目を迎えている。その第一歩を俺が刻んでみせる。『堅板』。」
李白の眼前に透明の壁が現れる。属性はなくただ密度が濃いだけの魔法。しかしその密度は属性を圧殺する。
「…でたね無属性!、私はそれに勝ちたくて柄にもないこともしたんだから!。L 5『星華火』‼︎」
「…なんだ?何か…まずい!連続展開!。」
慌てて李白が堅板を何重にもも張り巡らせる。
「…やってくれる。そんなことが出来たんですね。星華火の軌道を制御、同じ場所を削り続ける。それに…練度が上がっている。あんた何をした?。」
「…大っ嫌いなことをしただけだよ。努力っていうね。」
「努力嫌いが少し努力をしただけで…偉そうに!。そんなの…不断の努力をしている奴が偉いに決まっている。『空餓砲』。」
李白が両の手を前に構え魔法を唱える。無属性の質量を相手に放つこの魔法は李白の遠距離の得意技である。
「…これだよ。これを、私は今破る!。L 5『蒼炎の戦姫』。」
銀城の体が燃え上がる。赤を通り越して蒼く染まったその身体。その蒼は炎帝木暮雅のそれと酷似していた。若草でさえ実戦での使用を見送る程のその炎を、銀城は身に纏う。そしてその蒼き拳を空餓砲に振るう。
『…ビキ…ピキピキ………ガッ…ガガ…ガガガガガガ………」
空餓砲にヒビが走り亀裂が入る。そこから全体に亀裂が行き渡り崩れ散る。
「…蒼い…炎。それは資料で見たことがあるぞ!。国家魔導師付き魔導師木暮雅の蒼炎!。だがその炎は炎帝の最終極致の筈だ!。」
李白がかつて見せられた映像を思い出す。極秘裏に入手されたその映像はニホンの国家魔導師如月花月付きの魔導師木暮雅の物。そしてそこに映る蒼炎は傲慢な翔葉ですらここを目指せと言わしめた物。それを目の前の女が使う。驚くのも無理はないだろう。
「そんなこと私は知らない。私は私…それだけだから。」
蒼き戦姫が戦場に降臨した。その力を自らの欲望のままに振るう為に。
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「蒼炎だと⁉︎。おいおい…それは雅の…」
「…はい、私も俄かに信じられません。私の炎は一朝一夕で扱えるものでありません。それを…帝の身でもない者が…」
銀城の蒼炎を見た如月と木暮が驚嘆の声をあげる。
「…それにあの女は前回の戦いで使っていなかった。という事は…一昼夜で思考し試行し修得したことになる。…はっ、この世代は大当たりだ。レベル6の使い手に氷帝それに蒼炎だと?。これは書き換わるかもしれんぞ?国家魔導師の名簿がな。」
「…若草大樹お前は知っていたのか?。」
「えぇ、勿論です。と言うよりもそれを見て銀城さんに最後のひと枠をお願いすることにしました。」
「目を醒ました暴虐の眠り姫か。」
「また眠ってしまわないようにしないといけませんね。」