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ニホンの王

「いやー、やられてしまいました。すいません。」

 場所は全星寮。そこにはニホン代表の面々が顔を揃えていた。そこで若草が両手を顔の前で合わせ謝罪する。


「本当だぜ、あーあ、3人で潰し合いがしたかったのによ。まぁ、次の楽しみにするけどな。…若草、待ってたぞ。」

 霧島が大きなソファに横たわりながら言う。初めて来る場所だと言うのに横柄な態度は崩さない。それが霧島飛春である。


「うん、お待たせ。」

 2年を代表する実力者の2人。表の霧島、裏の若草。これまでお互いに干渉しなかった2人はこの大会を経て歩み寄り始めたのかもしれない。


「だが若草大樹の活躍は間違いなく今回の殊勲賞ものだろう。最後の男に関してはお前の遺しものがなければ危なかったかもしれん。」

 姿を消すアルティアは補助系を使わず力で現状を打破しようとする霧島と創士には相性が余り良くはない。若草のサポートがあっての勝利だった。


「あれは…花凛のおかげですね。花凛の魔法を見ていたから僕は対策が取れただけのこと。」


「もぉー、お兄、そんなに褒められたら…照れますなぁ。」

 若草の言葉に頬を赤く染める花凛。照れからか隣にいた剣の背中をバシバシ叩く。剣は「いてっ、おい、痛いからやめろ!」と怒っている。


「…そんな訳で俺らは自分達の価値を証明したわけだが…次はどうするよ?。なんなら俺が連続で出てやっても良いんだぜ?。」


「霧島君、それはいけない。」

 踏ん反り返る霧島の言葉を若草が止める。


「…は?何で…」


「自分でも分かってるよね。…今日の戦いで擦り切れている事に。明日は全快には程遠い、良くて8割ぐらいにしかならない。」


「…ちっ!…仕方ねぇーな。…明日は出すんだろ?。他のメンバーは決めてんのかよ?。お前の考え通りなら明日で終わりなんだろ。…まぁそいつが若草や創士さんが認める程の力を持ってるんならだけどな。」


「それは心配しなくても大丈夫だよ。1回目では遊撃に特化し対個人の魔法を制限して使っていたからね、そうだろ?。」


「はい、皆さんを信じてました。…でも本当に自分でいいんですか?。もっと他の人の方がいい気が…」


「…確かに若草大樹の提案でお前は王になった。ただ、俺は自分の意思で、目で見たお前の力を信じて王にする事を推した。それが信じられないか?。」


「…いいえ、すいません。…明日は全力を尽くします。」


「あぁ、それでいい。…結果的に出られなくなる奴もいる。出た者が出来るのは手を尽くす事だからな。」


「…ではこれで解散だ。メンバーの選定は若草大樹に一任する。…頼むぞ。」

 そう言い創士と真利谷、風街、花凛が出て行く。それに伴い他の全星寮以外の面子も寮を出る。


「…大樹さんは今からまだ?。」


「あぁ、もう負けてしまった僕に出来ることはここを使うことだけだからね。君達はもう休んでくれて構わない。あぁでも、明日誰が出るかは分からないその心積もりはしておいてね。」








「…あれれ?まだ起きてるんだ。…まぁ丁度いいよね。明日私を出してよ。…もう負けない。あんな気持ちはもう嫌だ。」

 夜も更けた頃、全星寮に来客があった。銀城葵、才能だけで全てを踏みにじって来た天才。そして…初めての挫折を味わった天才。


「そう言われましても…貴女は既にその心を砕かれたはず。」


「確かにそうだよ、でもね分かったよ、あぁこれが…"悔しい"なんだなって。あ、そうだ!力を見せるのも大事なんだよね。見せたげる。これが私。」


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