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若草の遺したもの

申し訳無いですが私生活が多忙の為更新が週二回出来ないかもしれません。出来るだけ二回更新出来るようにしますが無理だったらごめんなさい。

 突如姿を消した男。しかし創士と霧島には焦りがなかった。


『…ヒュン!』

 何もないはずの空間から放たれる矢。更に死角である左目の隅から放たれた矢は霧島を貫くはずだった。…そう、この男が若草と戦っていなければ。


「…ふんっ!。成る程矢を放つ時も上手く殺気を消している。これは厄介、…だっただろうな。」

 飛んできた矢はまたもや創士によって絶たれる。


「…っ⁉︎。…………っぅ。」

 男、アメストリア代表アルティア・リーチは初めて感情らしき物を見せる。自分の魔法は姿を眩ませる魔法。水属性を応用したそれ自体はそこまで珍しくはない。それでも更に風の魔法で音や匂いを消し、地属性で足跡を消し、何より自身の努力で隠形を身につけた。それをこうも容易く破られたのは初めての経験だったのだ。


「…不思議だろ?何故初見の、しかも姿を隠す魔法が通用しないのか。曲者だったからだよ、お前とやった若草って男がな。」


「…………」

 霧島の言葉に若草との戦闘を思い出すアルティア。





「…………スゥ……」

 いつものように姿を消した。自分の魔法は初見殺し。相手が動揺する間に全てを決める。


「…あぁ、花凛の魔法と同系統か。…散々見せられたからね。…一端の知識はある。L4『斬大地』。」

 俺と対峙した相手が取る行動の内最も多いのが訳もわからないまま俺に倒される事。その次に多いのがこの範囲攻撃。この男もそうか。その対策をしていないと思っているのか?。


「…うーん、見事だ。全く空間に歪みがない。音もない。跡もない。…」

 その男は俺の魔法の素晴らしさに舌を巻いた。


「…これは僕では無理だな。だから…」

 目の前の男から魔法が放たれる。先程から観察していた遅延魔法だな。これだけの魔法を遅延できるなど恐ろしい。しかし俺はその男に勝つ。


『……ビュッ‼︎ビュ‼︎』


「…ぐっ…がっ!。…はぁはぁ…みぃつけた。」

 男の視線が此方を向く。なんだ?適当に見ただけか?。…それにしては視線に確信が込められていたような。…この男は不気味だ、何かが出来るとは思わないが…残す理由もない。


「………ふ…ふ、僕はここまでだ。だけど…後は頼みます。」

 俺の射た三本の矢に貫かれた男。何か呟いているが気にすることはないだろう。…全く回避行動を取らなかったな。


『ニホン代表若草大樹脱落です。』







「…まさか…あの時に、何かを!。」

 動揺したアルティアの隠形が解け姿が現れる。


「お、喋れるんじゃねーか。口がきけないのかと思ってたぜ。」


「戦闘中に発する言葉など無意味。………」

 そう発するとアルティアはもう一度姿を消す。


「…守ってばかりは性に合わんな。『唯是刀』。」

 創士が攻めに転じる。超速で見えないはずのアルティアの背後に周り刀を薙ぐ。


「…な⁉︎、…速い!…それに完全に…俺の場所を…」

 ギリギリしゃがむことによって回避するアルティア。しかしその先はない。


「種明かしをしてやる。お前の魔法は確かに完成度が高い。しかしノイズが混ざっている。」


「…は?。」


「だ、か、ら、お前とやった若草の得意技、遅延魔法の付与。それでお前はあいつの魔法を付与されてんだよ。それを知らないお前はいつも通りの魔法を使う。でも、少しズレてんだよ。」


「…種明かしも済んだし終わらせるぞ。」


「あいあい、『魔弾・六方晶金剛』双龍。」


「『士牙龍突』。」

 霧島の連射と創士の連突き。そこに回避の余裕など存在せずアルティアは全身を滅多打ちにされそして…


『アメストリア代表アルティア・リーチ脱落です。』


「…ふぅ、…なぁ、若草のサポートがなかったらどうだったと思う?。」


「うむ、正直あの魔法はかなり厄介。厳しい戦いになっていただろう。…あいつが花凛の魔法を見ていたお陰かもしれんな。」


「…だよな。…はぁ、あとは1人か。」


『ユーロ代表ホメラ・クラスの棄権が成立しました。』


『またこれによりニホンの勝利が確定しました。』


「は⁉︎いつのまに…棄権の宣言のアナウンス無かっただろ!。」


「…やられた、恐らく俺達が戦っている時に全体を風の魔法で覆ったんだ。それから脱落を宣言すればアナウンスは聞こえない。残りの全員がここに集まっていることを知っていたか。」


「…何だよそれ。…スッキリしねーな。」


「相手の判断が良かったと言っておこう。」

 釈然としない顔の霧島と創士は引き上げていった。

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