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神真の天凱

「L6『神真の天凱』…守らずの型。俺はお前の硬さをぶち壊す。」

 鎧を脱ぎ捨てた創士。その手には白い刀が握られていた。刃の部分に走る赤い線が煌く。


「…L6⁉︎。…それは想定外と言わざるを得ませんね。『臨界溶化』。…長くは持たないので貴方だけでもここで脱落してもらいます。」

 九老の体が赤く燃え上がり沸き立つ。周囲の空気すら焦がす程の熱気を放つその姿は地獄の主人のようであった。


「それがお前の本気というわけか。そこまで言ってもらって光栄なんだが俺にも最高学年としてのプライドがある。あの2人よりは活躍せんとならんのだ。」


『光華、音寧夜脱落です。』


『ユーロ、ユーリ・テンネ脱落です。』


『アメストリア、アーロン・ガルド脱落です。』

 放送が鳴り響く。


「寧夜さんが⁉︎。…くそ、雅峰さんが負けるとは思いません。しかし…これは…」


「うむ、…(同時に3人脱落。そしてニホンの名前は出ていない。ならば…若草大樹だろうな。霧島飛春の魔法は同時に3人脱落させるのは難しいはず。)…恐ろしい奴だよ、まったく。」


「…いきますよ。」

 九老が駆け出す。当然踏み込んだ地面はマグマと化す。


「…駈けろ、全てを斬る為に。」

 創士も刀を構え九老に向かう。その速度は常軌を逸していた。


「…っ、速い!。だけど…『溶甲』。」

 九老の体が急速に固まり黒く染まる。


『…キーン!。ギギギギッ…』

 後ろから斬りつけた創士。しかし九老の右腕の外殻に阻まれその刃は届かない。


「…僕はこの硬さで光華での居場所を勝ち取った。…暴力的な硬度は誰にも負けない!。」


「…話に聞いていたより拘るじゃないか。ならば俺も拘ろう。お前に刃が届くまで俺は引かない。」

 創士は九老の外殻に食い込んだ刃を更に押し込む。


「馬鹿なんですか?。その距離は致命的です。」

 当然九老は攻撃に転じようとする。創士の刃は自分に届かない。問題の速さも解決した。あとは嬲り殺しに出来る…はずだった。赤く熱された左手を振りかぶる。


「…良いのか?。安易に動いて。俺の切っ先は確実にお前だけを狙うぞ。」


「…『噴煙』!。引かないだって?。そんなことに意味はない。」

 創士の気迫に一瞬飲まれた九老。しかし即座に心を立て直し灼熱の煙を体から発生させる。


「………………」


「いくら凄もうが…僕の硬さを破る者はいない。その事実は…」


『…ず、ズズ…ズズズ…』

 何か重い物が引き摺られる音がする。


「なんだ、なんだよ。非合理的だ。貴方の速さなら避けれたはず!。」


「…言ったはずだ。俺は引かないと。俺は星光学園の学生達の模範とならねばならんのだ。その俺が…一度出した言葉を曲げることは…ない!。」

 創士は九老の噴煙を浴び灼け爛れながらも引かない。九老に食い込む刀を押し込み続ける。


「くそっ、…。でも貴方が僕を斬れない事実は変わらない!。」

 九老が左手で創士に殴りかかる。


「…来た!。この瞬間を俺は待っていた。」

 迫り来る拳には眼もくれず創士が刀を両手で握りこむ。


「…『是刀』。」


「…な…⁉︎。ぐぅぅぅぅぅ…!。…初めての痛み…。これが…」

 斬り落とされた九老の腕。勿論帝の特性で腕は直ぐに再生される。それでもこの痛み、そして自分の体に刃が届いたという事実が九老にプレッシャーをかける。


「…お前は攻めに転じる時体を燃やす。勿論攻撃の威力及び範囲を増す為だ。」


「しかしそこが唯一突破できる点。固まる前なら刃は通る。」


「今までお前の熱さ故に超接近戦を仕掛けてくる敵はいなかっただろ。」


「これで取り敢えず対等の戦いになるだろ?。」

 切っ先を九老に向け創士が言った。

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