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東堂の真実

「東堂昴流は少し特殊でして…。2つ名は『感難辛苦』。」


「奴は究極の…」


「マゾヒストです。」


「…ん?。俺の聞き間違いか?。」


「いえ、おそらく聞き間違いではないでしょう。」


「…で、それだけか?。」


「更に奴は珍しいタイプで魔力の回復が睡眠、食事に依存しないタイプです。」

 通常失われた魔力は睡眠や、食事によって回復される。魔力切れの際に気を失うのも体が強制的に魔力の回復に充たろうとするためだと言われている。


「…成る程…。今の2つの話からすると東堂昴流は…」


「はい、一撃で致命傷を受けない限り負けない。但しこれは学園のルールの範囲内でだけですが。戦場では少し危なっかしいですからね。」


「本人もそれを分かっているようで、この学園では珍しく国家魔導士志望ではないんです。ただ良い痛みを味わえるだろうと思って入学したそうです。」


「…変態じゃねーか。」

 創士の説明を聞き素直な感想を口にする如月。人生経験豊富な彼でも中々出会えないぶっ飛んだ人物だった。


「「……………」」

 そしてそんな如月の言葉に反論が出ない待機室。事情を知らない生徒からすればあのキチッとした見た目の凛々しい先輩が⁉︎という驚きが凄かった。


  (東堂すまんな。下級生達からのお前の評価はたった今死んだようだ。…まぁお前ならその視線もいい感じにするだろう。)

 その様子を見ていた創士が心の中で東堂に謝罪らしきことをする。東堂の失われた尊厳は戻ってくるのか?。それは東堂自身にかかっていた。


  ☆


「…ちょっと待て、あんた今何て言った?。」


「ん?。どうしたんだい剣君。そんな鳩が豆鉄砲に打たれたみたいな顔をして。…うむ、実際どうなんだろうね。驚きの表現として使われてはいるが… 気持ち良いのかもしれないぞ!。今度試行の余地はあるな。」


「…変態じゃねーか。」

 待機室組から遅れること数分。剣も真実に辿り着いていた。ただ待機室組との相違点は目の前にいるということ。


「おいおい、そんな目で見ないでくれよ…その…高まるだろ?。」


「何がだよ!。」

 剣の視線を受け顔を赤らめる東堂。その姿に最早敬う余地はなくツッコミを入れる剣。


「…もういいかな?。こっちは忙しいんだ。君らのとこのあの女を追わないといけないんだ。それにユーロとアメストリアもね。」

 その2人に割って入ったのは李白。両手を前に掲げ大きな立方体を作り出す。


「あぁ、それなら心配しなくてもいい。しばらくはこっちに来れないさ。」


「…何を…。ふ、別にいいか。俺のやることは変わらない。『炸裂塊』。」

 李白の構えた立方体が光を放ち爆発する。16の小さな立方体に分裂し襲いかかる。


「…な⁉︎、そんなこともできんのかよ!。…L4『風斬りの大剣』!。」

 剣が剣を錬成する。勿論斬るためではない。先程のやりとりで自分では李白の魔法を斬るのは難しいことは理解している。それなら…弾く。剣の側面を利用し受け流す。そのために敢えて大きな大剣を選択していた。


「…どうした?斬らなくてもいいのか?。」


「ちっ、うっせーな。…くそ…まだ…」

 李白の挑発に一瞬気をとられた剣。しかしその一瞬を李白が攻める。まさしく今反らそうとしていた立方体。それが更に16に分かれる。それだけならまだなんとかなるかもしれない。しかしそのほかの立方体も同じく分裂していた。


(…まずったな。…魔力もあまり残ってはいない。くそ…)

 状況を確認した剣は知らず知らずのうちに目を閉じていた。


「…諦めるなよ剣君。…『風見鶏』。」


「…なんだ?、一体…」

 かけられる東堂の声。そして…やってこない魔力切れの兆候。剣は不審に思い目を開ける。


「…ぐっ…。成る程…この痛みは…素晴らしい。1つ1つが確かな攻撃性を持っている。足元にくる痛みだ。」

 李白に相対する東堂の姿。魔力の代替が追いついておらず体中に傷が絶えない。だがそれでも立っている。


「…まさかそこの彼の分も魔法で手繰り寄せ自分に当て…さらにまだ立っているとはね。名前を聞いてもいいですか。」

 李白が驚きと共に賞賛の感情を示す。


「星光学園三年東堂昴流。私は常に痛みと共にある。」

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