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東堂の力

「…へぇ、無傷か。どうやらまだ何か隠していたみたいだな。」

 空餓砲を放った李白。属性はなくただ圧倒的な質量の魔法。それは一身に受けたはずの銀城は立っていた。


「…許さない。…こんなところで終われない。私の…生き方を否定させない。…立ち塞がることを…赦さない。」


「…撃ったらダメなら…この身を贄にすれば良い。L5『星華火』。」

 銀城が星華火を唱える。本来数を増やしながら敵に襲いかかる魔法はしかしその行き先を変更する。その目的地は銀城の体。


「…ぐっ…ぐぅぅぅぅぅう、痛い…これが痛み…。この痛みの代償を…」

 銀城が星華火を…纏う。それは重の火拳と似て非なる物であった。重以下の努力で重以上の才を振るう。その代償が全身を貫く激痛。


「…うあぁぁぁぁ!。」

 銀城が李白に飛びかかる。僅かなながらも魔力のコントロールを習得しだしその炎を腕に集約させる。


「…マジかよ。それを食らうのは…ごめんだ。『断空』。」

 李白の前に魔力を凝縮した壁が出現する。重く、硬いその壁は光華の中でも指折りの防御性能を誇っていた。


「…立ち塞がることを…赦さない!。」

 銀城はそれに動じることなく壁を殴る。本来は壁に弾かれ李白の元へは辿り着けない…はずだった。


『ゴォン‼︎。…ゴゴゴゴゴゴゴッ‼︎』

 意図してしてか否か、体に蓄えられた星華火が解放される。銀城の拳から断空に叩きつけられる豪炎。


『…パリ……パリリ……パキッ……パリンッ‼︎』

 ついにはヒビが入り、欠け、砕ける。銀城と李白を遮るものは何もない。


「…お前を…赦さな…」


「ここまで来るとは思ってなかった。…だが…『落下解放』。」

 銀城の襲来に一切の焦りを見せない李白。右手の指を鳴らす。


「…い?。…かっ…⁉︎。…これは…」

 李白に飛びかかっていた銀城は地面に叩きつけられる。それだけではない。まるで何かに踏みつけられるかのように地面に押し付けられる。


「…ぐっ、……くぅ、…うあぁぁぁぁ!。」

 正体不明の物体と地面に挟まれ身動きが取れない銀城。ついには身に纏っていた星華火も消え失せる。


「無駄だぜ。それは俺の魔力を超高密度で圧縮した球体。『王球』と呼んでいる。並みの魔法で何とか出来る物じゃねーよ。」


「…さて、もう終わりで…」


「叩き斬るぞ!、壊刀。」

 銀城に近づこうとした李白。しかし1つの影が飛び出し王球に斬りかかる。


「…お前は…ニホンの?。ということは…希林と紅葉は!。」


「聞いてなかったのか?。2人とも…脱落だ!。この…くそ、硬てーな。…壊刀…解放!。」

 剣が壊刀を解放する。その瞬間の爆発により王球は転がる。


「…これでも削れてねーのか。何なんだよ…それ。」

 剣はその隙を見逃さず銀城を助け出す。


「おい、大丈夫か?。気絶はすんなよ!。」


「…ごほっ、ごほっ。…だ、大丈夫だよ。ごめんねぇ、私が…」


「黙ってろ。…あんたは棄権しねーとダメなんだろ?。俺があんたを守る。」


「…そうか、希林と紅葉が。…なら逃すわけにはいかない。2人ともここで落ちてもらう。」


「…つ、…『風纏螺旋槍』。」

 剣と銀城の前に立ち塞がる李白。その気迫に剣は身震いし槍を錬成する。


「…成る程、いい槍だ。だがその槍も俺には届かない。わかってるんだろ?。」


「…そんなのはやってみねーとわかんねーだろ!。行け!。」

 剣が銀城の背中を押し、自分は李白に飛びかかる。剣には李白の言っている意味がわかっていた。先程の攻防、自身最強の錬成である壊刀を解放しても王球は破壊できなかった。…つまり李白の最硬は自分には破れない。それでも剣は前に出る。本物になると誓ったから。


「…『定・立方体』。」


「…迫り来る壁に圧殺されろ。」

 李白が魔法を唱える。剣の周りに壁が出現する。その壁は徐々に剣に迫っていた。


「…これは…さっきのやつか。…うりゃ!。」

 剣が槍を壁に突き立てる。一撃の威力では確かに壊刀が手持ちの中で1番である。しかし一点、一点での突破力では風纏螺旋槍の方が優れている。しかし…


『…カンッ。カカカカカ…』

 剣の連突きを物ともしない壁。


「無駄だ。その壁は壊れない。…君達みたいな魔導士ににはわからないだろうね。魔法の密度が違うんだよ。」

 属性を持たない李白。生き残る術は純粋な威力を上げることだった。


「なら…下を…」


「立方体と言ったはずだよ。全方位展開に決まっている。」


「…くそ…諦めてたまるかよ!。」

 中で至る所に槍を突き立てる剣。


「好きなだけ暴れると良い。俺はもう1人を…」


「待たせたね剣くん。君は良くやった。ここからは私が君達を守る。L4『風刃の鋒』!。」

 東堂が空から降ってくる。その手には小刀が握られ立方体に突き立てられていた。


「…あんた今までどこに…ってあんたもボロボロじゃねーか。…俺のことはいい。先輩がもう限界なんだ、そっちを頼む。」

 現れた東堂はすでにボロボロで服が所々破れてしまっている。しかし顔には疲労の色はなくむしろ生気に満ち溢れていた。


「…私は言ったはずだ。全てを引き受ける。必ず2人の棄権を成立させると。」


「だけど…銀城さんも…俺もいいように…」


「君は私の持つ席次を忘れたのかい?。」


「…っ、…悪い。」


「星光学園七星第四輝。その座に恥じない力を見せよう。…L4『風刃の鋒・連牙』。」

 東堂が突き刺した鋒に更に魔力を込める。


『……キリキリ………チリッ…パッリッン‼︎』


「…お見事。」

 李白の立方体が砕け散る。


「…マジかよ。…あんた…」


「…さぁ、私に極上の痛みを感じさせてくれ。」


「…ん?。」


インフルエンザに罹ってしまいました。次回の更新はお休みさせていただきます。申し訳ありません。

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