リリアン・クラウド
『ユーロ、アメストリア代表ユリア選手を倒しました。これで現在残っているのはニホン3人、アメストリア1人、ユーロ2人、光華2人となります。』
激しさをます戦い。残っているのは8人。重達ニホンは他の国から一歩抜きん出ていた。
「…ニホンが3人。この勢いなら…(俺がするべき事はなんだ?。夢坂の加勢?。雷の帝同士に割って入るのは厳しい。真利谷先輩の加勢?。…自惚れるなよ俺が加勢できることなんてあの人には無い。なら…)…1人でも多く倒す。手傷だけでも負わせる。2人が勝つために。」
重が次の戦いの相手を求め歩き出す。
「おぉ、ここにいたか。ニホン代表の八神重。探してたぜ。」
重の行く先に人影が見える。
「…!。…『火拳』。」
その声に反応して重が火拳を発動する。
「へぇ…遅延だけじゃ無くて無詠唱も使えるのか。結構器用なのな。うんうんやっぱりお前でいいな。」
重のことを観察しながら現れたのは白い髪の男だった。白い髪に白い白衣を纏うその男からは妙なプレッシャーを感じる。
「あぁ、俺だけがお前の名前を知ってるのは不公平だな。俺の名前はリリアン・クラウド。気軽にリリーと呼んでくれ。」
「さて自己紹介も済んだことだ。…俺とやってもらおうかね。お前はうってつけなんだ。あの女を倒す練習にはな。」
リリアンが両手を前に構える。するとその両手には双剣が握られていた。
「俺のとこの大将な。あれはマジで強すぎる。入学から卒業までトップを譲らず既に伝説になっている。そんな女が俺の2つ上にいるんだ。やっぱり倒さないと俺が上にいけないだろ?。だから…その多重魔法だったか、の対策はできてる。あとは実践なんだわ。ってことで…」
「俺が成り上がるための踏み台になってくれ。」
リリアンが踊るように斬りかかる。
「っ、L2『蛍火』×100‼︎。」
重の放った蛍火がリリアン目掛けて飛んでいく。
「ん?ほっ、ほっ、よっと?。そぉぉい…」
飛んできた蛍火を流し、躱し、弾く。それは今まで戦ってきた相手には無い行動であった。
「…なんなんだ。全て躱された?。なら…前に出るまで。」
重が火拳を振りかぶりリリアンに向かう。
「それが武器でも斬れない拳か。でもね…L1『純硬化』。面でダメなら線で。線でダメなら点で。」
『ザクッ‼︎』
「…うっ⁉︎。…腕を…狙って…!。くそっ、L2『火炎』×1000‼︎。」
リリアンが繰り出した剣技は重の前腕を斬るのではなく貫いた。激しい動きの中で重の腕に対し剣を垂直に刺したのだ。
「当たらない。蝶のように舞い、蜂のように刺す。」
重の放った火炎を躱し、ポーズを決めるリリアン。
「…強い。…」
「当然。俺はアメストリア国、軍事学校シングルナンバーだぜ?。」
リリアンが来ている服の襟についたバッヂを見せる。そこには5と書かれていた。
「そう言えばお前の学園ではトップセブンに称号が与えられるんだったな。」
「俺の国では一人一人に順位づけが行われる。日々変動する順位。学年も性別も…さらに言えば才能も関係ない。ただ求めらるのは強さ。それが軍事大国アメストリアの最強の学校だ。卒業の時に着けてる数字がそのまま未来へと繋がる。」
「もう負けちまった奴らは精々10代後半。ずっと一桁を守り続ける猛者には遠く及ばんよ。」
「さて、そういうことで改めましてアメストリア国軍事学校No.5:リリアン・クラウドだ。」
「お互いの…未来をかけていざ勝負。」
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真利谷と九老の戦いは異様な空気に包まれていた。攻めたてる真利谷。その全てを防ぐ九老。有利のはずの攻め手が消耗を強いられる。そんな戦いが行われていた。
「はぁ…はぁ…なるほど負けない男とは…良く言ったものですね。」
「…僕の役目は貴女をここに釘付けにすることなんです。防御に徹する者を相手にするのは疲れるでしょう。」
「…(九老と呼ばれたこの男。恐らく七星に匹敵する。それ程の男が何故攻めない?。…それ程までに陽香が隔絶している?。)…大丈夫ですか?。夢坂君は1年で七星に名乗りをあげた天才ですよ。」
「んー、まぁもし陽香さんが負けたら僕が出張ることになるでしょうね。」
「帝2人を相手になんとか出来ると?。」
「それは厳しいですよね。でも…」
『ニホン代表夢坂当夜脱落です。』
「貴女1人に僕と陽香さんになったら貴女はどうしますか?。」