王を決める
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「さて…みんなに集まってもらったわけだが…ルールが発表されたことで色々きめなければならないことがある。」
創士が集まった面々に対して言う。場所は創士達生徒会が使用している第一輝寮。全星寮のように名前がついていることはない。
「あれでしょ?。王様どうするか。俺的にはそこが一番ポイントやと思いましたわ。」
風待が手を上げて発言する。
「そうだ、それがまず決めるべきこと。王が残れば6人脱落させることが出来る。」
「それだけに使いどころが難しい。可能ならばトドメに用いるべきだろう。しかしその性質上王はあまり戦いに参加出来ない。」
1度キングが残った場合選択の権利を使用することでバレてしまう。その後は敵チームからの総攻撃を受けることになり、また脱落の第1候補にされるだろう。
「でも…王は残らないといけないから強い人がいいんですよね。そうなると…」
重の視線が3年生である創士、真利谷、東堂に向く。3年で七星である3人が適任であるかに思えたのだが…
「残念だけど私の魔法は一発逆転型なんだよ。だから向いてないと思うな。」
東堂が手を顎に当てながら言う。
「確かにお前の魔法は…リスクが高い。…因みに俺は一兵卒として戦いたい。」
創士もキングを辞退する。
「…はぁ、と言うことは私ですか。別に構いませんが…」
「待ってください。真利谷先輩の氷帝は必要な時がきます。」
それまで黙っていた若草が真利谷の発言を遮る。その事を咎める者はいなかった。
「今から僕の考えを話します。」
若草が頭の中で考えた内容を披露する。戦いすべてを手のひらの上で転がすと呼ばれる男の発言。皆耳をすませた。
「…それは承認しかねる。」
若草の発言を聴き終え出た言葉は否定の言葉だった。創士が代表して意見を言ったが周りの意見もほぼ同じだろう。それ程までに予想外の作戦だったのだ。
「確かにお前の言う通りその作戦なら王の権利の行使は出来るだろう。」
「しかし…戦力が足りん。その作戦には霧島はもちろん銀城も必要になる。」
現状何故か行方不明の戦闘狂霧島飛春、めんどくさがりやの極致銀城葵。確実に戦力になるが不在であった。
「…呼んだか?。あんたらな、なんでこんな所にいるんだ。探したぞ。」
突如霧島が入ってくる。創士達を探さなければいけなかったのは自分が会場に来なかったからだろと全員が思ったが言う者はいなかった。
「霧島…貴様は…いや、いい。闘志は萎えてないな?。」
「あぁ?。あぁなんなら今からあんたとやりたいくらいだ。滾って仕方がねーな。」
「一体何をしていたんだ?。」
「アメストリアの奴とちょっとな。」
「お前…他国の代表とやったのか!。馬鹿か!お前は代表の重要な戦力だ。それなのに情報が…。」
「そんなに焦んなよ。全部は見せてねーよ。」
「俺が見せたのは俺が4属性使いだってことだけだ。」
4属性使い…紛れも無い天才の証。努力だけでは埋められない生まれもってのギフトであった。しかしそれすらも霧島にとってはどうでもいいことになってしまう。
「…それも伏せておくべきだが…。相手の情報はあるんだろうな。」
「もう、バッチリ。でもなーそいつは俺がボコボコにするから。手を出したら許さねーぞ?。」
それまでと違い鋭さを増した眼光を周りに飛ばす霧島。自分とタイマンを張った男を取られるのは許されない。
「なら、ちょうどいいですね。霧島君には一杯暴れてもらいましょう。」
「おー、流石若草俺を暴れさせてくれよ。あー…あとよあの人も数に入れといていいぞ。サボり過ぎのお姫様もな。」
「な、お前銀城の説得に成功したのか。」
創士が何度もせっとくを試みたがことごとく失敗していた。
「まぁな、いないときついだろ。」
霧島も全戦力で向かわなければ勝てない事を理解していた。
「うむ、…それならば若草の案も実現可能になり得るか。…わかった…」
「俺たちの王はお前だ。」




