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見えた活路

「ぼやぼやしてる時間はないよ。」


「戦況は刻一刻と変化する。」


「「対応できないなら…終わりだね。」」

 そう言うと双子は重、澪に向かって駆けてくる。


「…ぐっ…。重…い。…うわっ!。」

 八鹿の振り下ろされた拳を受け止めようとした重は堪えきれずに吹き飛ばされてしまう。


「重さん!。」


「ぼやっとしてるなよ。」

 澪の目前に迫る六花。その手には水で出来た槍が握られている。


「水属性で私に何かできると思わないでください!。」

 即座に魔法を奪おうとする。しかし六花はそれに動じることなくそのまま澪に仕掛ける。


「…っ…!。(怯まない⁉︎。…何かあるの?。ここは引くべき。)」

 絶好の反撃の機会でありながらその場を離れる澪。


「あれ?。…なんだ怖がりなんだね。」

 そんな澪に対して馬鹿にしたように六花が言う。とそこへ、


「うおぉぉぉぉぉお!。」

 吹き飛ばされていた重が両手に火拳を発動し六花に殴りかかる。


「八鹿、ちゃんと抑えといてよ。L4『重鎧』。でもまぁ…」


「あれれいつの間に?。L4『落天岩』。でもまぁ…」


「「さしあたって問題はない。」」

 六花が岩の外殻を纏い重の火拳による連撃に対処する。重の火拳により削り取られた外殻が細かく飛び散る。そして遂に重の火拳が重凱の再生速度を上回り破りかける。しかし影が落とされる。


「な⁉︎…。これは!。」

 重と六花の上空には大きな岩が絶賛落下してきていた。


「「L3『土鎖』。」」

 更には双子による同時の土鎖。それによって重は身動きが封じられてしまう。


「さっきのお返しだよ。」


「潰れちゃいなよ。」


「くそ!。」

 重に迫る大岩。重はダメージ覚悟で火拳を解放し乗り切ろうとする。


「待ってください。私が…止めます‼︎。」

 その行動に待ったをかける澪。上半身のみを具現化させて空中へと浮き上がる。


「…水帝を舐めないでください。…『海神の双腕』。」

 突如何もなかった空間に水で出来た荘厳な腕が二本現れ大岩を受け止める。


「澪ちゃん!。」


「魔力で空気中の水分を集め実体化させました。長くは…持ちません!。重さん…早っ……」


『ドゴーーーンッ‼︎』


「「ごめんね、狙いは君だったんだ。」」

 響き渡る爆音。岩を支えていた双腕は消え去る。しかし大岩は重に降り注ぐことはない。爆発したのはその大岩だったのだから。重に降り注ぐのは岩のかけら。そして…


「澪ちゃん‼︎。」

 完全に不意を突かれた爆撃。水の腕を作ることに魔力を大きく使用していたのでノーガード。その結果水帝が解け地面に向かって落下する。


「くそっ…間に合え。」

 重は自身に巻きつく土鎖を焼き切り澪の落下点に向かおうとする。


「助けに行くの?。」


「見捨てないの?。」


「「甘ちゃんだね。」」

 澪の元へ向かおうとする重に向けて双子から魔法が放たれる。


「…うるさい。『双砲火』。」

 後ろで組んだ腕から火拳を発射台とした双砲火を放つ重。その勢いを利用し澪の着地点に先回りすることに成功する。


「…今のは危なかった。」


「あんな魔法を持ってたなんて。」


「でも見てあの手。治りきってない。」


「自己破壊系か。奥の手だったんだね。」


「狙えばどちらかを倒せていたかもしれない」


「それよりあの子を受け止めるのを優先したんだね。」


「「甘い。…でも嫌いじゃない。」」


 重から放たれた双砲火。その火線は狙いなど定められておらず大蔵姉妹から少し離れたところに着弾した。その砂けむりの中2人は言葉をかわす。


「どう思う?。」


「どう思う?。」


「「…まだわからない。」」

 土煙が晴れた時双子はただ見守っていた。


「…う、重…さん?。」


「澪ちゃん…良かった。」

 澪を受け止めることに成功した重。しかしその手は双砲火の発射によって焼けただれ未だ修復しきっていない。当然重に痛みが襲いかかっている。


「重さん⁉︎その腕は…」


「あぁ、余り…余裕がなかったから魔力でコーティングできなかったんだよ。大丈夫そろそろ代替で治るから。」

 確かに腕の傷は魔力の代替によって修復されていく。しかしそれは重が大量の魔力を消費したことに他ならない。


「…私、足を…」


「違う。そもそも俺が考えなしに突っ込んだのがいけなかったんだ。澪ちゃんは何も悪くない。これは俺の身から出た錆だ。」

 重の負傷そして大きな魔力減退を自分の所為だと言おうする澪を遮って重が言葉を重ねる。その様子を見ていた大蔵姉妹が口を開く。


「仲良くしてるところ悪いけど」


「こっちもそろそろ飽きてきたよ。」


「「だから出し惜しみなく出して。」」

 以前として重、澪は大蔵姉妹に対して有効的な攻撃を繰り出すことができていない。このままでは勝ち目がない。


「…ん?。(…あれ?。…さっき俺が…。‼︎。まさか…だとしたら。)」

 双子を見つめていた重があることに気がつく。


(いや、でもそんなことあり得るのか?。…『自分の目で見たことを信じろ。』)

 悩む重。そこに開始前に創士から聞いた言葉が重なる。その言葉によってある決意が定まる。


「…澪ちゃん、今から言う俺の言葉を信じてくれる?。俺の予想通りならこの状況をひっくり返せる。間違ってたら…ごめん、多分負ける。」


「…信じます。他ならぬ重さんの言葉ですから。」

 2人の賭けが始まる。


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