双子の実力
「くっ、強い。…なんで二つ名がないんだ。」
「…まさか2人とも3属性を使える双子だなんて。」
重、澪2人の前に立ち塞がる二つの影。不揃いな双子達。
「こんなもんかい?。」
「こんな程度ならいらないな。」
「「出直してきなよ。」」
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「あの2人が…」
闘技場に入った重と澪の前には顔つきは同じだが髪の色そして体格の大きく異なる2人の女性が立っていた。
「…双子なんですよね。二卵性?。でも顔は…」
澪が2人の体格の違いについて疑問を抱く。通常一卵性の双子の場合そこまで体格に差異は出ない。そこで二卵性を疑うが顔つきがそっくりすぎる。
「七星である若草、創士」
「真利谷が認めると言う実力。」
「でも私達は自分の見たものを信じたい。」
「君達が共に戦い、背中を預けれるか。」
「「それを知りたい。」」
大蔵姉妹独特の話法。2人であって1人。1人であって2人。
「…さてそれじゃあ初めても構わないかな?。」
4人のいる壇上に1人の男が登り入る。
「今回の審判を務める七星第五輝若草大樹です。…この戦いでは八神重、矢沢澪が代表として足る資格を有するかを見せてもらいます。全力を尽くしてください。」
早朝寮から姿を消していた若草だった。
「え⁉︎大樹さんが審判?。」
「心配せずとも贔屓なんてしないよ。自分達で認められるんだ。そうしなければ意味はない。」
そう言い若草は2組の真ん中に立つ。
「みんなが待ってる。さぁ始めよう。」
開始を告げるのだった。
「…重さん、全開でいきます!。『水帝』。『白浪』」
「うん、そうだね。…L2『火炎』×1000!。」
水帝になり姿を消す澪。重は爆撃で機先を制するつもりだった。
「「…L4『多重岩』」」
大蔵姉妹の同時の魔法発動により地面から岩が湧き上がり重の魔法を受ける。
「…そこです!。『水撃掌』。」
2人の背後に現れた澪。渦巻く掌底をたたき込もうとする。
「…L3『水陣壁』。
八鹿が水の壁を張り澪の攻撃を防ぐ。
「!。そんな魔法…私には…効きません!。」
一瞬動きを止められるが八鹿が出した水陣壁を吸収。さらに威力を増した水撃掌を打ち込もうとする。
「…L4『徹甲撃』。」
六花が拳を振りかぶる澪にカウンター気味に岩を纏った手で鳩尾を狙う。しかし澪はそれには反応しなかった。
「…重さん私ごとどうぞ。」
「…『火拳』双腕。…更にL2『火炎』×100。…うりゃぁぁぁぁ‼︎。
」
両腕の火拳。そこに火炎を重ねアームハンマーの要領で振り下ろす重。澪も巻き込んだ攻撃であった。
『ドゴーーーン‼︎』
砂埃が舞い上がる。
「…澪ちゃんごめんね。大丈夫?。」
少し離れたところで姿を形成した澪に重が謝る。
「いえ、そういう作戦でしたしこれも自己変化の強みですから。それと…八鹿さんの方は土と水。六花さんは土と…あの手は炎ですね。」
澪が身近でみた2人の魔法について重に話す。
「髪の色と一緒ってわけね。わかりやすい。なら…俺は六花さんかな。」
「そうですね。私が八鹿さんの魔法を封じます。」
「…やってくれたね。」
「まさか味方もろともとは。」
「「L4『斬大地」」
砂煙から出てきた2人が魔法を唱える。地面から生える槍が2人に襲いかかる。
「…そんな魔法は」
「くらわない!。」
重は火拳で叩き折りながら、澪は姿を消しながら接近する。
「…L2『蛍火』×100。L2『蛍火』×100。…『火剣』。」
両手に宿った剣を振りかざし六花に斬り込む重。六花の火と土なら斬れると踏んで深く踏み込む。一方…
「…『渦巻く竜槍』。」
右手自体を大きな水の槍へと変化させ
八鹿を狙う澪。八鹿が水で何かしようと即座に奪う準備はできていた。だが…
「甘い甘い、」
「若気の至り?なんで」
「「私達が2属性だけと考えた?。」」
「L4『巻水』」
「L4『厄火』」
「「L4『土角面』。」」
重は全身に水の縄が巻きつき、澪は突如目の前に現れた黒い炎に戸惑い動きが止まる。そこへ土角面によって土の仮面を被った2人が頭突きをかました。
「な⁉︎うわっ!」
「きゃ!…」
顔面を強打したことにより後ずさる重と澪。
「くっ、強い。…なんで二つ名がないんだ。」
「まさか3属性を使える双子だなんて。」
顔を抑えながら重、澪が言う。
「こんなもんかい?」
「ならいらないな。」
「「出直してきなよ。」」
2人の前に双子は悠然と佇む。
次回更新はお休みさせていただきます。
次の更新は9月24日です。




