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重鈍なる盾

「L6『神※※※鎧』。…『堅守の型』。」

 創士が呟く。眼前に迫るのは鳳凰球。更には烈火の波動と土行脚の継続攻撃も続いている。まさしく絶対絶命の状態。しかしこれこそが創士が銀城との戦闘を望んだ理由だった。追い詰められてこそ越える、創士は自分の魔法をそう信じていた。


『ゴォォォォォオ‼︎…』

 鳳凰球が爆発。辺りは一瞬無酸素に至る。鳳凰球の爆発により全て燃焼してしまったためである。


「あれ?避けないの?。…やっちゃったかな。真利谷ちゃんもう終わったかもしれないよ。」

 自分の鳳凰球に対して回避動作もせずに受けた創士。終了を確信していた。それでも烈火の波動はまだ発動したまま今も銀城の体から放たれた続けれている。


「『キーン!。』…おいおい、待てよ。俺はここにいる。」

 その烈火の波動と何かが衝突する音が鳴り響きその後に創士の声がする。


「…創士君。なにそれ?。見たことなさすぎるんだけど。」


「当然だ。『キーン!。』俺も今日初めて見るんだからな。」

 煙が晴れ姿を現した創士。両手で大きな一枚の盾を抱え、その周囲に5枚の盾が浮遊している。先程から烈火の波動を防いでいたのはこの小さい方の盾だった。


「へぇ、烈火を1枚で防いじゃうんだ。なら…やめだね。」

 烈火の波動が防がれているのを見て即座に発動を停止する銀城。無駄なことはしない。めんどくさがりやだからこその素早い判断だった。


「お前には礼を言う。俺の目的は達した。もうやめてもいいぞ。」


「ほんと⁉︎なら…やめよっかな。…L5『星華火』。」

 やめようと言いながら突如星華火を放つ銀城。


「ふっ…壱、参、伍。…どうした、まだやるのか?。」

 創士は星華火を3枚の盾を操り相殺していく。今回放たれた星華火にはほとんど魔力が込められておらず分裂はすぐに終わる。結局創士は3枚だけで星華火を防ぎきった。


「んー、面白いねー、その魔法。ちょっと試してみたかったんだよ。でももういいや、疲れちゃった。」

 その様子を見た銀城はへらっと笑い体の力を抜く。


「…俺は突然お前がやる気を出したのかと思ったぞ?。」


「それは天地がひっくり返ってもないねー。私の望みは唯一つ。何も為さずに生きていく。 さぁ月華亭、月華亭!。」

 いそいそと若草の方へ向かう銀城。


「若草君だっけ?。それちょーだい!。」

 両手を差し出し月華亭の小箱を要求する銀城。


「はい、これですね。一応適当に見繕っておきました。気に入ってもらえれば幸いです。」

 若草が微笑みながら渡す。基本的に世話焼きなのでこういうダメな人を見ると疼いてしまう。


「ふぁい、…んぐんぐ。…ごくっ、バッチリだね。」

 早速ひとつ取り出し食べ始める銀城。食べ終わった途端若草にグーサインを出す。


「それじゃあ私は私のいる場所へ帰るね。ばいばーい。」

 暴虐の眠り姫は自らの領域へと帰っていく。篭るために。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やれやれ、最後はやる気を出したかと思ったがな。そう上手くはいかんか。」

 創士も真利谷と若草のところへやってくる。


「彼女はあれでいて確固たる自分を持っていますからね。その内容はさておきそうそう変わらないでしょう。」

 真利谷が答える。


「そうだな…それよりどうだった?。俺の魔法は?。」


「面白いですね、あの構造。可変的な盾と重鈍な大楯。まさに…」


「『堅守』ですね。あれを破るのは骨が折れそうです。」


「おいおい、もう破る算段か。俺はあれを破られるつもりは毛頭ないぞ。そして堅守を手に入れた俺はもう、負けない。これは義務だ。」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 場所は変わり一般生徒用の闘技場。






「お前…その魔法はどうした?。」



「いや、聞き方を間違えたか。…何を代償にその魔法を手に入れた?。」



「その…多重魔法を。」

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