若草語る
無事寮の名前を決定した重達。
「そうだ。僕のことは大樹先輩と呼んでくれ。後輩にそう呼ばれるのが夢だったんだよ。いや〜続々と夢が叶っているよ。」
やはり変わり者のようだ。
「…そういえば大樹先輩は私たちの戦闘訓練を見ていたんですよね。その時間先輩は何をしてたんですか?。」
澪が質問をする。その時間は2年生ももちろん授業中である。
「あれ?知らなかったのかい。七星は午後の訓練は免除なんだよ。だから少し散歩をしてたんだよ。」
七星にもなると独自の特訓を行う者も多い。なので全体との訓練は免除なのである。
「見た所澪ちゃんは自己変化型だよね。今の七星にも自己変化はたくさんいるよ。そのまま頑張れば良い。」
「剣くんは多分…武器錬成型だろうね。あの武器の扱いを見るに。今の生徒会長が武器錬成型だよ。少し特殊だけどね。」
「重くんはわからないな。あんな魔法は見たことがない。ただ少し僕に似てるかな。」
若草は3人それぞれに対して感想を述べていく。
「そうですね。俺の魔法は俺だけのものだと思います。確かに俺には属性魔法の才能はなかったです。けど俺はこの魔法を勝ち取った。このオンリーワンの魔法でトップをとります。もちろん若草先輩にも勝ちます。」
重がこの多重魔法を習得するには色々あったのだがそれはまた別の話。
「重と似てるってことは先輩も変わった魔法を使うってことっすか?。」
「ふふふ、僕のは適性があれば誰でも使えると思うよ。ただの技術だ。…でも今はまだ君達には言えないな。まずは自分の個性を磨かないと。もし壁にぶつかったらその時は僕に言いなよ。
ちょうど良い腕試しの場はもう用意されているよ。」
重達は腕試しの場と言われてもピンとこなかった。
「もうすぐ1年生対象の決闘訓練が行われる。そこで今の自分の位置を知るんだ。」
この学園では入学から1ヶ月経った時期に腕試しを行う。早い段階で自分の欠点と長所を見つけ研鑽させるためである。もちろんここで自信を無くしやめていく者もいる。
「1年生対象ってことはあいつも出んのか。えーと確かに…」
「夢坂君のこと?。」
重が思い出せない1年生の七星の名前を澪が補填する。
「そう!。そいつ。そいつも出んのかな。戦ってみてーな。」
「まぁ落ち着けよ、重。俺らが面白い試合をしてれば出てくんじゃねーか?。」
剣が重をたしなめる。
「うーんどうだろうね。彼は多分免除になると思うけど…。彼の性格的に出席するかどうかすら怪しいね。」
実は若草は夢坂にあったことがある。といっても七星の座をかけた決闘の立会いをしただけである。がそれでも夢坂の実力と性格を知ることはできた。
「よーし、それじゃあ目標は夢坂を引きづり出すことだ!。」
そう宣言する重であった。