強者の集い
「それではこれで北斗会の全議題終了だな。みんなお疲れ様だ。」
七星による会議。この学園の最高権力機関北斗会。夏休みも終盤に入った頃その会議が行われていた。七星の会議と言ってはいるが参加者は7人ではない。
「…それにしても霧島飛春。貴様が来るとはな。いや、いつも来いとは言ってはいるが…」
創士が霧島の方を見ながら言う。七星第一輝霧島飛春。2年ながらこの学園の最強として君臨する男。気分屋の戦闘狂。その男が七星になって初めて北斗会に出ていた。
「ん?たまたま暇だったからな。それにしても創士さん、あんた若草とやったらしいな。俺とはやってくれないくせによ。なぁ俺とやろうぜ。」
霧島が飢えた獣のような目をしながら創士に言う。強者との戦いを望む霧島にとって戦う価値のある相手は限られている。その内の2人が戦ったと聞いていても立ってもいられないのだ。
「…貴様は既に俺に勝っているだろう。」
過去に一度創士と霧島は戦っている。その時は霧島が勝利したが学園の歴史に残る名勝負と言われている。
「…成長しない魔導師はゴミ屑だ。あんたはそんなゴミじゃないだろ?。俺だって止まらない。ワクワクするじゃねーか。」
「相変わらずの血の気の多さだな。その分なら大丈夫だろう。お前にも存分に力を奮ってもらう機会はすぐに来る。さっき話しただろ。」
「…ん?。なんのことだ?。」
「貴様…聞いてなかったのか。…それなら別にいい。楽しみにしておけ。力を奮える機会はあるとだけ言っておく。」
「ふーん、あっそ。ならその機会とやらに期待するかな。それで満たされなかったら相手をしてもらうぜ。…んじゃ帰るわ。」
創士との問答を終えた霧島が興味を失ったように立ち去る。
「やれやれ…全くあいつは…困ったもんだな。」
創士が呆れたように霧島の後ろ姿を見つめる。
「おい、創士!。なんでその合宿とやらに私を呼んでくれなかった。私も参加したかったぞ。」
そんな創士に話しかける声。創士のことを呼び捨て。そのことから3年であることがわかる。
「…お前は風紀委員会の仕事があっただろ。」
振り返る創士。声で分かっていたがそこにいたのは第四輝東堂昴流だった。
「なに、風紀委員の皆は優秀だ。私1人いなくともなんとでもなる。」
「それでいいのか、お前は。それにあの合宿は若草発案だ。お前に言う時間もなかった。悪かったな。」
「なに⁉︎若草発案か。なるほど〜、あいつも変わったもんだ。よしよし、おーい!若草。」
創士の発言を聞き若草の方へ駆けていき背中を叩きながら話しかける東堂。
「ふぅ…相変らず我の強い奴ばかりで疲れるな。いや、自分がある奴が強くなるのか。」
東堂と若草の2人を眺めながら創士が呟く。
「あなたもそうですよ。」
そばに控えていた真利谷がそう告げた。
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「若草!。お前面白いことをやったらしいな。なんで私を誘わなかった。」
「なんでと言われましても…先輩はお忙しいでしょう。」
「それは創士達も一緒だろう。…まぁそれは良い。いや、余り良くはないが…お前は変わったな。以前は雲の様だったが今のお前は風だ。何者にも囚われないところは同じだが今の方が周りに影響を与えている。良いことだ。お前は私のお気に入りだしな。なんなら風紀委員長を継ぐか?。」
「そんなことを言っては彼が怒りますよ。あなたに心酔している彼が可哀想でしょう。」
「んーあいつはなー真面目なんだが…規則に従いすぎな感が否めないんだよ。風紀委員の長は規則に従うんじゃない、規則を従えるそんな存在だと私は思うんだ。」
「それなら僕にも無理ですね。僕は何かを従える器ではないので。」
「相変らず謙虚な奴だ。私の誘いを断るとはな。まぁそれなら仕方ない。今日のところは諦めることにするよ。」
「…金輪際諦めていただきたいですね。」




