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ゾンビVSモンスターズ  作者: TKとっつあん
7/7

第7話 トロールゾンビハンター3

 レイナによって引き剥がされた膜は左の首もとに残り、それによってトロールの顔が二つあるように見えた。

 レイナは降り立ち、距離を取る。

「皮だか膜だかは剥ぎましたよ!これからどうします?」


「ぶん殴る!」


 ティアは足に飛び込み、握力だけで登っていく。揺れてもちぎれないギリギリの力加減である。虫のごとく這いずりまわり、払いのけられる手をかわしていった。

 頭頂部に辿り着くと指を組み、握り、「いっぱーつ!にはーつ!さんはーつ!」と叩きつけ、ヒビが入る。

「最後にもういっちょお!」その時、上に影が深まる。トロールの手が勢いよく振り下ろされたのだ。

 「ひゅー♡」彼女は瞬間、飛び降りた。攻撃の衝撃はヒビを割り、脳へと到達する。足はふらつき、身体は揺れ、仰向けに倒れた。


 「イェイ♡大勝利!」Vサインをしながら、小躍りしている。「やーいやーい我々の力を思い知ったかー!」

ティアは細い脚で頭を蹴りつけた。

「ウゴォォォ」

 

「やべっ!まだ生きてる!レ、レイナ!槍か何かとハンマー持って来て!たしかスーパーの中にあったっしょ」

「は、はい!」


数分後、レイナは先端がナイフにな数本の槍を脇に抱え、ハンマーを肩に担いで戻ってきた。

「おらぁ!おらぁ!」「ウガッ!ウガッ!」

 ティアは巨人が起き上がろうとする毎に頭を蹴りつけ、当たるたび巨人はおもちゃの様に鳴き声をあげる。

「はい、これ。持ってきましたよ」

「ありがとう!」ティアは待ってましたと言わんばかりに手を広げた。「これからやること説明するね。まず、この槍をぶっ刺す!そして、ハンマーで叩く!」

「は、はい!」


「えいさ!」「ほらさ」「えいさ!」「ほらさ」

 彼女たちはリズムよく突き刺し、叩いていく。刺す度にトロールは声を上げたが、次第に小さくなり、ついには止まった。

「ふぃ~、これでもう死んだわね?」

 コツンとつま先で蹴ったがうんともすんとも言わなくなった。


「よし!ことも片付いたし、ご飯にしましょ!もうお腹べこべこー・・・あっ!」

 近くに蓋の空いていない酒瓶が2つ転がっていることに彼女は気が付き、拾い上げでレイナに1つ渡した。

「へへー、乾杯!」

 ビンが当たる心地よい音がなった。

 レイナはあきれた顔をしてティアのビンを奪う。

「晩酌は夕食後です。それに少年だって・・・」


 レイナは何かに気づき、壁の入り口を見た。そこにはゾンビの死体と血まみれになってヨタヨタと近づいてくる少年の姿だった。

「ま、まさか・・・」ティアは声を震わせて呟いた。

 近づいてくると彼の輪郭がはっきりしてくる。ゾンビたちと戦ったのであろうか、手には手には弓と大きなナイフを持っていた。


「お、お姉さん・・・」


「きゃあ!ってアレ生きてる?」

「生きてるよ!お姉さんたちが戦っている間、邪魔が入らないようにしていたんだ」

 彼は誇らしそうに武器を掲げる。

「うーん!良かった!ボクくん偉いよ!」

 ティアは髪の毛がくしゃくしゃになるほど頭を撫でた。


「それじゃあ、すべては一件落着ってことでご飯ご飯」

「まってください」

「アレ?レイナ、何?」


「自己紹介がまだでしたね。私はレイナ・スターファングと申します」

「わたしはティア・ドラキュリア。ティアお姉ちゃんって呼んでね♡」


「ぼ、僕はアッシュ、アッシュ・キャンベル・・・」


「じゃ、ご飯にしましょう」


 彼女たちはスーパーの中に入っていく。

 アッシュはトロールの死体を見て、思いをはせていた。今まで隠れ、逃げて生きていた日々。そうしなければ生きていけない。仲間たちの死からそう思っていた。けれども、彼女たちの闘う姿を見て、自分にも何かできるのではないか。人を救うことができるのではないかと思っていた。


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「ねえねえ、味付けは何にするの?」

夕食の仕上げにかかり、グツグツと煮えている鍋をかき回しながら、味見をしているレイナにティアは尋ねた。

「ビーフシチューの味付けはもう変えられないのですが・・・パセリか何かですか?」


「違う違う、あのこよ、あ・の・こ、アッシュ君!」

「は?」

「ことも済んだし、アッシュ君に用はないし、美味しいB型の子供だし、うっかりゾンビになっちゃう前に食べちゃうのかなと思って」


「た、食べないですよ・・・」

「食べないのー!?最近のモンスターは草食系だねー」





 長い夜もいつかは明ける。今日も崩壊した世界に朝日が差し込んできた。

「うーん、今日はいい天気」

「吸血鬼の言うセリフじゃないですね」

 出発の準備を整えながらレイナは言った。


「それではアッシュ君、色々と世話になりまし・・・」

「お、お姉さん!お願いがあります!僕も連れていってください!僕もお姉さんのように人を助けられる力が欲しいのです!」


「アッシュ君、気持ちはわかりますが、私達とあなたでは種族が・・・」

 レイナの言葉をティアは遮った。

「わかった!私たちが色々と教えてあげよう!ついてきなさい!」


「ティアさん、あなた・・・」

 ティアはレイナの耳もとで小さな声で呟く。

「非常食ってやつだよ。私も定期的に血がないとねー、やる気起きないし。このままご褒美なしで頑張るのはムリー」

 レイナは冷や汗をを掻きながら考える。

「わかりました・・・」

「よっし」


 三人は武器を構え、外に飛び出す。



 

「さて、今日もゾンビ狩りといきますか!」

ここで話は一旦終わりの予定ですが続きの話も考えていますのでもしかしたら続くかもしれません。

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