第6話 トロールゾンビハンター2
バトル回一回目です。まだまだ続く予定です。
描写する力が欲しいです。
ティアのセリフに「実験する」と話していましたが、変更しています。
申し訳ございません。
少年は扉へ向かい、室外機をずらす。そこには子供一人が通れる大きさの穴があいており、スーパーに隠れた。
レイナとティアは見届けると振り下ろされる拳をかわし、距離を縮める。
「それで、ごり押しとおっしゃいましたが、本当にごり押しで勝てるのですか?」
レイナは不安と焦りが入り混じった表情をしていた。
「普通に殴り殺すのは無理ね・・・それこそドラゴンの一撃も戦車の砲弾でも無理」
巨人は大きな足蹴ってきたが、両者ともすんでの所で避け、爪で切り裂く。
「え・・・」
「え・・・ってアナタ、トロールの事は全然知らないのね」
「私は元々、デスクワーク派なので」
「え・・・そっちの方が信じられないわ。じゃ、トロールの生物としての構造について話すから聞いてね・・・」
この世界のトロールは10mから20メートルの高さをほこるブヨブヨと太っている夜行性の人型生物である。主な生息地は山や森で静かに暮らしている。知能は高くないが意思疎通は可能、雑食性で肉も食べるが主食は木である。特殊な消化器官を持っており、少ない食料で多くのエネルギーを生み出すため小食である。
身体のブヨブヨとしたものは皮膚ではなく、擬態防御膜と呼ばれるものである。元々は汗が固まったものであり、彼らは土と汗を混ぜ、自分を覆うことで身体を守っている。ブヨブヨとしたものは衝撃吸収に優れており、本体自体は石の様に固い皮膚を持っていること、とても細身であるということから、斬撃を除くありとあらゆる攻撃が効かないのである。土を混ぜるのは擬態をおこなうためである。
完璧な生物の様に思えても弱点は多い、一つ目は個体数の少なさ、二つ目は夜行性の為、目がほとんど目が見えないという事、ただし、これに限っては耳。特に鼻が犬のように優れているため大きな欠点ではない。三つ目が最大の弱点、太陽光を浴びると汗と身体が石のように固まってしまうのだ。
この状態であればハンマーやつるはしが必要であるが人間の力で砕き、殺すことができる。この現象は特殊な消化器官を動かす為には太陽光、紫外線が必要で、汗や皮膚が固まらないと体内まで光が届かないのである。そして、この行動はトロール本人にコントロールはできない。そのため太陽が出ている間は隠れる必要があり、汗に土を混ぜて擬態するのである。
ティアが電気を求めていたのはこの性質を利用するためである。紫外線ライトを浴びせるだけで対トロール戦は片付くからだ。
「・・・というわけ」
「なるほど、だから少年は匂いに敏感になっていたんですね。それでどうするんです」
「頭全部、石の皮膚が見えるまでブヨブヨしたものを剥がしきる。そのあとは頭をぶっ潰す!」
ティアは拳を握り、気合を見せた。
「了解です!」
彼女たちは走りだし、足、太ももに爪をたてて登っていく。トロールは飛び回るハエを捕まえようと自身に叩きつけ、体を揺らした。
「おほ~、揺れるね~。あっ!」
振動により、爪が抜け、ティアは吹き飛び、壁に叩きつけられた。レイナは踏み留まる。その違いは種族としての構造の違いにあった。
ティアの爪は人間の爪を伸ばしたような形で先は尖っている。この形は突き刺す事と、斬ることに特化しているのだ。
一方、レイナの爪は獣のような形、かぎ爪状になっている。これにより、獲物に突き刺した時、抜けず、獣人の力と合わせて肉を引き千切ることができる。また木登りなどがおこなうことができるのである。
ティアは壁を蹴り、再び巨人に向かう。その姿は弾丸のように飛び、右の首元に通過した。その刹那切り付け、膜がベロリと口を開けた。トロールは弾丸を追う。
その隙をレイナは見逃さなかった。膜の切り口を掴み、頭頂部へと足の爪を使い登りだした。そして降りる。まるで果物の皮のように膜が裂け、めくれ、剥がれていった。
トロールの素顔が現れる、醜悪に歪み、ただれ、目に精気がない。ゾンビであると一目でわかった。
「よっしゃあ!、レイナ!ナイス!グッジョブ!じゃあ、もういっちょ踏ん張りますか!」
ティアは爪をしまい。手首を回した。