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ゾンビVSモンスターズ  作者: TKとっつあん
3/7

第3話 キャプテン・ゼネラルマーチャンダイジングストアVSバンパイア?

サービス回です

 M町・・・

 高い山々に囲まれているが、広く豊かな土壌に恵まれた土地で古くから農産業によって栄えていた。

現代でもそれは変わらない。

 今と昔、変わったところといえば、住民が毎日、出歩いていることぐらいだ・・・


 錆びれた屋敷から数キロ離れた閑静な住宅街、一軒一軒に家族があり、生活があり、幸せに満ち溢れていた。今では隣人が隣人を貪り、殺し、うめき声を上げる。


 そしてまた一人、悲鳴の一声が・・・というわけではなく、嘔吐の音が響いていた。


「オエェーオロロロロロー」


 口から放たれた胃液がゾンビの頭にかかると、煙を上げながら溶けてゆき、足と腰だけになってしまった。

「オエエエエエェェェー」

 足も腰も無くなってしまった。


「うう・・・お酒いっぱい呑み過ぎた。気持ち悪い・・・」


 ティア・ドラキュリアはそう呟くと近場のベンチに腰掛けた。周囲にはゾンビが数体いたが、ヘレン・スターファングがハンマーで近づくのを防いでいた。


「ティアさん・・・今の状況理解しています?」


「ごめんごめん、でもさ、もったいないしさ、何十年ぶりかのアルコールでさ、ちょーっと身体が受け付けなかったせいでさー、わたしのせいではない。不運、不幸だよ・・・オロロロ」


 再び吐かれた胃液は手元の包丁に降り注いだ。ジューという音を鳴らしながら煙を上げ、折れ、刃が地面に突き刺さった。


「あー!わたしの武器がぁ!」

「はぁ~・・・私、頭が痛くなってきました」


 周囲を片付け、ティアから少し離れたベンチに腰掛けると溜息をもらし、手を頭にあてた。

「あーだめ、お薬、二日酔いの薬欲しい。このあたりのさ、近所におっきなスーパーがあるからさ、ちょっと行かない?」


「はあ~。まあいいです。これからの旅の準備も必要ですし、非常時に二日酔いの薬を持ってくバカはいないでしょうし・・・」


「うわぁい。ありがとー愛してる。おんぶして連れてって・・・」

「は?」

「おんぶ」

「・・・」

「冗談だって」


 ティアは街路樹の枝を一本へし折り、杖代わりにすると多少変わった町並みを見つめながら、歩み始めた。一通り死体を片付けていたため障害となるものはなかった。だだ一つ気になるものがある。身体全体が潰れた死体があること。それが一つだけではないということ・・・


 数分後、目的としていたゼネラルマーチャンダイジングストア、用は大型スーパー、超高級品や特殊な嗜好品を除く、食品、衣料品,日用雑貨,家庭用品,家具,家電製品といった総合的な品揃えが特徴の5階建ての店に辿り着いた。


 過去の記憶と大きく異なる点が一つ、トタンや木の板、金網、土嚢といったもので作られた3メートル程の壁が作られていた。しかし、一か所大きな穴が開いている。いつ壊れたものかわからなかったが、人がそこにおり、人だったものがいる可能性を示していた。


「ここがそうですか?」

「そうそう」


 穴をくぐり抜けた先は車が数台止まっており、あちこちにビンやかまどの跡、松明があった。


「入り口は・・・全部閉まっていますね。厳重に」

 窓から見える所にはソファや机やクローゼットなどでバリケードが作られていた。

「ここからは入ることはできなさそうですが・・・あそこ、2階の窓が開いています」

 レイナは足に力を込め、ハンマーを持ったまま飛び上がると中に入っていった。


「え?そんなの無理無理、運動したら吐いちゃう!」

「いいですよ。中に入られたあと吐かれる方が面倒です。下に行ってバリケードをどかしますから、待ってて下さい」

「はーい」


 まだ太陽が出ているとはいえ、中は薄暗い。レイナは鼻をヒクヒク鳴らした後、武器を握り直した。

(人の匂いが少ししますね・・・)


 階段を下りていくと所々に鉄パイプやナイフ、包丁を先端に付けた槍が置いてあった。一階に辿り着くと開けた空間があったが、変わらず人の気配はない。人以外のも同様だ。


 バリケードを片付け、ドアを開けるとティアはヨロヨロと入ってきた。


「ティアさんは薬を探して飲んで休んでいてください。私は水や食料を探してきます。それと・・・」


「大丈夫だよ。わかっている。かすかだけど感じてる。あっ、感じてるってヤラシイ意味じゃないよ!」

「さっさと薬を飲んできてください!」

「はいはーい」


 ティアは壁にあった地図を見た後薬売り場に向かった。記憶の中にある場所と変わらなかったため、

すんなりと辿り着く事ができた。棚には幾つかの薬は無くなっていたが、目当てのもの多く残っている。


 1つ手に取り、目を凝らした。パッケージは簡素なものであったが容量、用法が裏に書かれており、使用期限も書かれている。

(Z暦16年9月1日)


 疑問に思ったが、気分の悪さが上回り、地面にあぐらをかいて座り、蓋を開け、中の粉を口に入れた。


「に、にがい・・・みず・・・」

「どうぞ、水です」


 背後にレイナが立っており、ティアの横に液体が入っているラベルが書かれたビンを置いた。

手にはもう一本ビンを持っており、片方の手にはリンゴを2つ持っている。

ティアは爪で王冠を取り外すと喉を鳴らしながら飲み干した。


「ぜんぜん、腐ってないね。むしろ新鮮、そのリンゴに薬・・・どういうこと?世界の半分以上滅んでなかったけ?」


レイナはティアの隣に座り、その疑問に答えた。


「完全に滅んだわけではないんですよ。壁を作った地域、砂漠や雪山など過酷な地域、船、島、大きな島国、ゾンビの封じ込めに成功した所は沢山あります。余裕のあるところであればこのような飲料水の精製や薬、食料の生産、武器の生産、輸出入がおこなわれています」


「なーんだ、けっこう世界大丈夫じゃん。わたしてっきり、血で血を洗うヒャッハーな世界になっていたと思っていたよ。あはは」


「そんなに甘いものではありません、食料は少ないですし、人口は減る一方で敵は増える。水も食べ物があっても一瞬で崩れることもある。この地域の現状がこの世界の不安定さの裏返しです。そしてこのリンゴ」

 ティアにリンゴを渡した。受け取ったリンゴの匂いを嗅いだあと、かじる、しっかりとした硬さと甘みと酸味があった。


「おそらく、収穫されて一か月はたっていません。一か月でリンゴという嗜好品を生産できている地域がほぼ全滅・・・」


「アナタも気づいた?」


 背後に音をたてずに何かが近づく気配を二人は感じていた。通常の人間では感じることのできないほど気配は消されていたが、レイナは鼻と耳で、ティナは感覚で感じていた。


 一歩、一歩と近づいてくる気配はまるで獣を追うハンター、息を殺し、足音を殺す、狩人の動き。

手練れの人間であっても気づかれることはないほどの技術であった。


そして二人の背後、ティアの方に銃口を突き付け、カシャっとスライドさせる音が聞こえた。高い殺傷能力と阻止能力があるショットガンの弾を込める音であった。


「う、うごくな!、こ、こっ、こっちに向いて、て、手をあげろ」


 口元に布か何かがあるのか、覆面をしているのかこもった声が聞こえた。

 隙も油断もない動き、普通であれば主導権はハンターの方にある。しかし、ティアは振り返り、一瞬で右手で銃をずらし、銃口を誰もいない方向へ向けさせる。その瞬間、銃声がなる。しかし、怯まず左手も添え、一回転させる。すると立場は逆転した。ティアの手にショットガンが収まっている。隙もなしに銃を奪ったのであった。


「手を上げるのはどっち?」


 脅す立場から脅される立場になってしまった者は直ぐに手をあげた。

 ハンターの顔に布が巻かれわからず、服装は軍人の着るものであり、武器等を装備できる服であったが武器はなく、水筒しかない。なにより、つぎはぎで身体に無理やり合わせたようなものであった。服の隙間から見える肌は白く透き通るほど綺麗であったが、着ている物はひどく汚れ、きつい臭いを放っていた。


 そして彼女達の予想とは大きく異なる点が1つあった。体の大きさが小学生低学年ほどしかなかったのだ。


「なんだか思っていたのと違ったわね、すっごいチンチクリンだわ」



 チンチクリンと侮辱されたが何も言わず、震えている。恐怖により震えているのである。


「とりあえず、顔の布を取って、変なことしちゃだめだよー」


 震えながら布を取っていく。そこには白髪で白い肌、青い目をした、女の子と見間違うほど可愛らしい男の子であった。その顔とは似合わず、青ざめており、汗を掻いている。

緊張により、時が止まったかのような静寂になった。






「この子・・・  めっちゃ可愛い♡♡♡ しかも、この感じはー・・・わたしの一番好きなB型♡やーん♡」

ティアは少年に近づき、頬に流れる汗を舌で舐め、そのまま首元まで舐め続けた。そしてひと噛み、小さな傷口から少量の血が流れ、キスのように吸い付いた。


「んんんんっー♡おいし♡」


 舌を出し、味わったあと、少年の顔を見ると立ったまま気絶している。


「えー?ボ、ボク!?大丈夫?どうしたの?」


「ティアさん・・・顔・・・」


 レイナは自分に指さし、ジェスチャーをしている。


 ティアは近場の鏡に行き顔を見た。その美しかった顔はズタボロになっており、ところどころ弾がついている。先ほど銃を奪った際に放たれた弾はティアの顔面に直撃していたのだ。


 顔をぬぐい、弾を取り除くと、彼女の化け物としての本来の姿、鋭い牙と、血の通っていない青白い肌が見えていた。


「あ、あちゃー・・・」


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