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ゾンビVSモンスターズ  作者: TKとっつあん
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第1話 モンスターズ オブ ザ デッド

初投稿です

 廃屋の中、黒のスーツを着た一人の黒髪の女が歩いている。右手にはコンクリート粉砕用の大型ハンマーを持ち、左手には地図が書かれた手帳があった。


「ふむ、ここかな?」

 手帳を胸ポケットにしまい、ギギギと軋む木製の扉をこじ開け中に入るとワインセラーが広がっていた。


中央には閉じられた金属製の棺と看板が一つあり、看板には可愛らしい字でこう書かれている。


『おやすみちゅう♡』

「ここだな」


 持っていたハンマーを両手で握り直し、鼻から深く息を吸い込んでから棺の中央に向かって振り下ろすと振動音がなった。


「おおおおおおっ!」


 棺の中から振動音が小さくなるにつれ、若い女の声と、蓋をガンガンと叩く音がする。


 「うるせえ!!!誰だこのやろう!ぶっころしてやる!」


 ふたから白く細い2本の手が突き抜け、穴を広げながら人らしきものが這い出てきた。

 髪はショートカットで色は金、瞳は炎のように赤く、モデルのようなスタイルとハリのある乳袋、百人の男がいれば百人が見惚れるほどの美貌を持つ寝間着ジャージを着た娘が棺の中に立っていた。


「おい、お前、わたしを誰だか知ってるの?吸血鬼の女王ティア・ドラキュリア様よ?なんなのアレ?」

「棺桶が丈夫だったので、壊して開けようかと」


 パンパンと手を叩き、高らかにメイドを呼びつけた。


「ドラク、このお客様を丁重にお送りして、地獄か、天国か、もしくはキッチンにでも、朝食に肉が食べたいわ」


 透き通る声が屋敷中に響いたが帰ってきたのは静寂だった。


「あれ~?」

 気の抜けた声とは対照的に黒髪の女は落ち着いた声色で話した。


「無理やり起こしてすまなかった、私の名はヘレン・スターファング、種族はライカンで、モンスター評議会から来た。」


 上着の内ポケットから名刺を取り出し、ティアに渡した。


「お時間よろしいでしょうか、まあ拒否権はありませんが・・・」

「申し訳ございません!」


 ティアは名刺を見るや否や土下座をした。


「あの時は騙されたんです。決して囚人を使った人間狩りや殺人解体ショーなんて希望して参加していません、非合法な子供の血を集めてプール作って泳いだりとかしていません!神に誓ってもいいです!なんなら首謀者全員教えます。だから許してくだしゃい、おねがいじまず~」


「いえ、そんなことではなく、少々ティア様に協力していただきたいことがあり・・・先ほどの事はもう時効みたいなものなので本件と関係はありません」


「本当?いやっふ~!どうせ時効になるならもっと色々やるべきだったわ!うふふっ」


「それでは・・・」


「いやよ!モンスター評議会の注文なんてどうせロクなもんじゃないわ」


「いえ・・・これは拒否権なんかなく・・・」


「そうだ、はるばる遠いところから来たのですし、ワインはいかがです、実はしばらくお休みしていたのは良いワインが沢山手に入りまして、熟成させるのに20年ほど寝てようと思いましたの。今は何年か知りませんが、きっと美味しくなっていますわ」


 ワインセラーから1瓶取り出し、コルクに長い爪を突き刺して引き抜き、ラッパ飲みを始めた。


「ん~、美味しい!生きてて良かった!」

「だから、少しでいいので早くお話しを・・・」


ドンドンドン


 扉を叩く音が聞こえ、ティアはほろ酔い気分で扉の取っ手に手をかけた。


「ドラク~?ようやく来たの?乙女トークしよ、乙女トーク~」


「危ない!」


 扉を突き破り、一人のメイドが入ってきた。右目には木片が突き刺さり、口から血を流している。


顔や腕、足には無数の噛み跡があった。


「ちょっと~彼氏とハードな○○○でもしたの?後が残るプレイはやめなよーお客様怖がるじゃーん」


 能天気な言葉を聞こえてくるなか、ヘレンはすかさず腰につけたホルスターから銃を引き抜き、メイドの心臓と頭を打ち抜いた。死体はバタリと音をたてて倒れ、灰となり塵とと消えた。弾を打ち切り、壊れてしまったため、ハンドガンを捨てた。


「へ?」

「ティア様、本当に時間がないのでお話を聞いてください!」

「なに?あなた!勝手に人のメイドを殺しておいて・・・」


 その声には驚きと怒りと殺意が込められていた。


「仕方がありません、証拠は消えてしまったので・・・とにかく実際に見てもらった方が早いです。2階に案内していただけないでしょうか」


 瞬間、ヘレンの身体は天井を突き抜け2階へ吹き飛ぶ。


「わたしは何で殺したかって聞きたいんだよ」


 ティアは右手を握りしめ、振り上げていた。 

追撃をかけるため階段を上り、吹き飛んだ部屋に入るとヘレンは身なりを正し、窓を開けていた。


「ちっ、丈夫なやつめ、どうした?わたしに太陽は効かんぞ」


「見てください、すぐにわかりますから」











「・・・なにこれ~」











 屋敷に向かってくる、死体、生ける屍、リビングデッド、ゾンビ・・・


腕や足がありえない方向に捻じれていても歩いてくる者、頭が半分の者、腹の臓物が無い者。


多種多様な者たちがこちらに向かってくるのが見えた。


「そういえば、何年寝ていたか、わからないとおっしゃっていましたね。正確なことはわかりませんが、これだけは知っています。今はZ暦13年。世界の半数以上がゾンビに支配されて13年目。ちなみに先ほどの彼女はゾンビになられていたので・・・」





「さっきは殴ってごめん・・・」


 静寂の中、うめき声だけが大きくなるのが感じ取れた。

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