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第六章 実践実習 4

私の無線技士の技能はいつか役に立つのだろうか……

「あ~取りあえず、振り分けの交番を発表するから、そこの係長について行く様に。あ~では返事しろ。永井」

「はい」

「原市交番。田中係長。次、九月」

「はい」

「小室交番。伊藤係長」

「分かりました」

 そこで経理課長は資料をしまった。っておい。何故しまう。

「あ、あの……私は……」

 俺は恐る恐る手を挙げた。すると、経理課長はびっくりした様な顔をした。

「あ! そう言えば三人居るよな。でも……可笑しいな資料には二人しかないしな……ちょっと待ってろ。今確認するから」

 経理課長はそう言うと何処かに消えていった。

「マジで、またこんな感じかよ」

 俺が嘆いていると、横で永井君が体を震わせて笑っていた。

「坂本マジこういうの多いな。存在感あるのに」

 俺達が待たされる事、十五分。経理課長が戻ってきた。

「あ~坂本。どうやら、資料の見落としがあったらしい。お前の事、交番に伝えてないわ。だから、まあ急遽。人材が不足してる小室交番に、九月と一緒に行ってもらう」

「え……」

 ていうか人材不足とか絶対嘘だろ。

「ゴホッ。では地域課に案内するから付いて来い。その後は各自、係長に従うように」

「ねえ……大丈夫かな永井君」

「まあ、なるようになるだろ」

 俺達は経理係長に連れられて、地域課の部屋に来た。するとそこは慌しく動き回る人で溢れていた。

「あ~田中係長。伊藤係長。ちょっと来てくれ」

 経理課長に呼ばれ、二人の中年男性がのっそりとした動作で歩いてきた。

「この子達、実践実習の子だから、面倒を見てあげて」

「わっかりました~で、永井君はどの子?」

「はい。俺です」

「お、君かぁ~うん。よろしく」

「じゃあ、私がこの二人ですね。分かりました」

 伊藤係長は俺と九月の顔を見ると小さく頷いた。

「じゃあ、後頼むわ。それじゃ」

 経理課長はそれだけ言うとそそくさと、その場から立ち去った。さっきからなんと言うか落ち着かない人だった。

「うん。取りあえず三人とも、今日は俺達二係は、副署長訓示があるんだ。だから、いきなり現場に行くわけじゃない。今から六階の会議室に行くから付いて来てくれるかな」

 伊藤係長に連れられて俺達は地域課から六階の会議室に向かう。なんと言うか署内は無駄に広い。ここに居るのが殆ど警察官だというから驚きだ。

「じゃあ、まあ適当に最前列に座っとくか。俺は後ろの方に居るから寝ない様に。副署長は結構厳しい人だからね」

「はい!」

 俺は返事をする。すると伊藤係長は苦笑いを浮かべた。

「ああ、そういうのは署内では良いよ。警察学校では、返事をちゃんとしろとか、色々言われてるかもしれんけど、まあ現場はそんなもん気にしちゃいない。リラックスしよう。じゃないと、三十時間の勤務には耐えられないよ」

「は、はぁ……」

 まあそう言って貰えるなら俺にとっては嬉しい事だ。正直折り目正しいのは疲れるから。

 俺達は言われるままに最前列に着席した。するとしばらくして、訓示が開始された。訓示は署長が話すだけではなく。様々な部署の代表が現状について話していった。

「く、くぅ……」

 俺は欠伸を噛み殺す。正直滅茶苦茶退屈だった。

 十秒だけ……十秒だけ目を閉じよう……俺がそう思い、目蓋をそっと下ろそうとした時だった。

『ギリギリギリギリ』

 そんな効果音がなる様な勢いで、俺の内腿が思いっきり抓られた。

「!!!!!!!!」

 絶叫を上げるのを必死に堪える。眠気など消え失せていた。そして、俺はその激痛を与えているであろう人物を見た。

「寝ないの。注意されたでしょ」

 小さく俺だけに聞こえる様な囁く声で九月が注意した。俺は涙目になりながら頷く。

「あ、ありがとう……」

 俺の言葉に九月はふっと笑った。



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