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第四章 深夜研修  2

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

警察学校から結構走った……俺は立ち止まり周囲を見回すが、女の子の姿は見えない。

こっちじゃないのか? 俺が方向を変えようとした時だった。

『ガチン!』

後頭部に衝撃と痛みが走った。

「い、てぇ~!」

「やっと見つけたわよ! 馬鹿!」

俺の叫びと被せるような綺麗な怒鳴り声。

「え、く、九月……どうして?」

鬼の様な仁王立ちで立つ九月に俺はタジタジになる。

「貴方の好きにさせてあげない。報告は他の人に頼んだわ。で、坂本くん。飛び出したわ良いものの、見付かってないようだけど、どういう事?」

「! そうだ探さなきゃ」

そう言われて俺は思い出したように辺りを見回し走りだそうとした。

「ちょっと待ちなさい!」

「ぐえ」

首根っこを思いっきり捕まれ唸り声がでる。

「あれ! 何するんですか九月さん! 早く探さなきゃいけないのにぃ」

「探すって貴方完全に見失ってたでしょ」

「ああ、そうだよ! でもだから急がなきゃ。時間が経てば経つほど見つからない!」

「どうして……どうしてそんなに必死なの? 別に何も無いかもしれないのよ。というかその可能性の方が高いわ」

九月は理解出来ないと眉をひそめる。

「それは後で機会があれば話すよ。今は時間が惜しい」

「そう分かったわでも待って。なら私も協力するわ。私ならその子の場所が分かるから」

「え! まじで!」

意外な言葉に俺は目を見開いた。

「ええ、女の子の特徴。自転車に乗ってない事。進行方向を冷静に考えれば大体分かるわ。偶然かどうかは分からないけど、現在地からかなり近い」

「なんでそこまで分かるの?」

「分かるでしょ? 普通」

いや普通の基準が分からん。

「とにかく行きましょう。貴方が納得するまで付き合ってあげる」

そう言って歩き出した九月の後を追いかける。

周りを見渡しながら俺達は歩いた。それからしばらくすると九月が歩きながら呟いた。

「この辺りのはず」

九月が周囲に視線を移したその時だった。

「いやぁあああああああああああ!」

静かな住宅街の暗闇から一瞬響いた悲痛な叫び声。俺達は瞬時にそちらに振り返る。

すると、わすがな街灯の光に照らされる先、小さな女の子とその口を抑えながら車に引きずり込もうとする男の姿が有った。

「何やってるの!」

九月の声に全身を黒でコーディネートした男がびくっと反応した。

男は俺達の姿をみて警察だと認識すると女の子を片手に懐からナイフを取り出した。

「お、大きな声を出すな! お、お前ら殺す! 殺すぞ!」

ナイフがぶんぶんと女の子の前で揺れるとその顔が恐怖で歪んだ――。



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