プロローグ
今回初めて投稿しました卯月一です。
拙い文章ですがよろしくお願いします。
「…あなたのその表情……嫌い」
女の子がそう言い放った。
「… は?」
席が近くのクラスメートと話をしていた俺はいきなり話しかけられた驚きと、その内容に思わず間抜けた声が出てしまった。声のした方を振り向くとそこには黒髪の女の子がこちらを睨みつけながら俺の席の前に立っていた。
「周りには気付かれないよう上手くやってるみたいだけれどね」
「いや、いきなり何言っ…」
反論しようとしたが、あまりに突然の事で次に続く言葉が出てこなかった。
「…それじゃ、ピエロさん」
そう言い残し、その子は自分の教室へと戻って行った。
俺はその子の背中をただただ呆然と見る事しか出来なかった…。
「おい、お前あの可愛い子になにしたんだよ」
さっきの黒髪の女の子が来るまで話をしていたクラスメートの相馬直樹が話しかけてきた。
「いや、俺にもなにがなんだか…」
「普通なにもなかったらあんなこと言われないだろ」
「そうなんだけどさ、でもなにもしてないし俺も訳がわからなくて…」
まさしく相馬直樹の言う通りだ。
だが本当に何もしていないし、それ以前にあの子とは初めて会ったから当然話した事もなければ名前すら知らない。
…というより今日がこの高校の入学式な訳で、中学の知り合いでもない限りほぼ初対面なんだからあんな事言われる筋合いはないのだ。
…ついでに可愛いってのも言う通りだけど。
「そっか、それは災難だったな…えっと…」
「ああ、呼び方は浩弥でいいよ」
「おう、なら俺も直樹って呼んでくれ」
「一年間よろしくな」
「こちらこそよろしく」
いきなり色々あったけど、これでとりあえずはぼっちにならずにすんで一安心だな。
…あの黒髪の女の子の存在は不安だけど……。
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これが俺と彼女……冬月真琴と高校最初の出会い。
…てか今でも思うけど、初対面の人間に対してあれは酷すぎないか?