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異世界商売記  作者: 桜木桜
第三章 拡大編 第二部
29/60

第28話 労働者

 労働者募集!!


 ・資格 どんな方でも構いません


 ・仕事内容 石鹸の製造 詳しくは本店で

 

 ・勤務時間 日出から日没まで


 ・給与 月給 銀貨6枚


 詳しくは○○○○までお越しください



 「こんな感じでいいかな?」

 ハルトはできた看板をロアとアイーシャ、ラスク、プリン、デニス、アッシュ兄弟に見せた。7人は看板を読んでから答える。


 「少しインパクトが足りないきがするなあ。普通って感じ。もう少しどんな職場か書いたら?」

 アイーシャの言葉にデニスが続く。


 「僕もそう思うよ。そうだね……『アットホームな職場です!!』というのはどうだろう?騙される奴は多いと思うよ」

 ハルトはデニスの意見を採用して、『アットホームな職場です!!』と書き込んだ。


 「『美人姉妹が待ってます!!』っというのはどうかしら?」

 「さすが姉さん!!あたしも賛成だわ。バカな男どもがたくさんくるわ」

 相手にするのも疲れるので、ハルトは言われるままに『美人兄弟が待ってます!!』と書き込んだ。


 「『凄腕傭兵がいるので安全!』て書くのも忘れないでね」

 プリンがそう言いながらハルトからペンを奪い取り、勝手に書き込む。

 


 「そう言えば傭兵の件はどうなってるんだ?」

 ハルトはプリンを無視してラスクに聞いた。

 「ああ。今日中にはクラリスに着くらしいから明日には紹介できるよ」

 ハルトはラスクの答えに満足する。


 「これでインパクトは問題ないですね。1つ問題があるとすれば月給です。高すぎます。3万ドラリアで十分です」

 「3万は安すぎないか?あんまり変なのが来たら困るだろ。5万くらいにするか?」

 「5万は高いですよ。最低4万ですね」

 ハルトは6万を4万に変更した。


 「じゃあこんな感じか」

 ハルトは出来上がった看板を眺めてみる。なかなかの出来だ。


 「じゃあ役場に見せてくるよ」

 ハルトは完成した5枚の看板を持って役場に向かった。


_____


 「これお願いします」

 ハルトは役場の男性に完成した看板5枚を見せた。男性は看板の内容を読んでから口を開いた。


 「この『美人兄弟が待ってます!!』は誤字ですか?正しくは姉妹では?」

 「いえ、問題ありません」

 ハルトは即答する。男性は不思議そうな顔をしてから、許可証を取りだした。


 「ではサインをお願いします」

 ハルトは書類にサインをする。これで募集広告を出すことができる。


 「念のため確認しますよ。募集広告を出していいのは所有地、役場、中央通り、そして議会が承認した建物内だけです。それ以外の場所に広告を出したら処罰があります」

 男性の言葉にハルトは頷いた。それくらいは確認している。


 「取り敢えずこれをお願いします」

 ハルトは男性に看板を1枚渡す。

 「はい。分かりました」

 男性は看板を受け取る。

 「ありがとうございました」

 ハルトは一礼して役場を出た。


____


 「許可は取ってきたぞ。取り敢えず役場に出してきた。もう一つは店の前に出すとして、ほかはどうする?」

 ハルトは7人を見回して言った。


 「まずユージェックさんのところを当たりましょう。貧乏人は金を借りますから」

 ロアはそう言った。


 「じゃあ僕は実家の店に出しておくよ。2級市民っていうのは税金を払う金はないのに酒を飲む金はあるんだよね……」

 つい前まで税金を払っていなかったことを棚に上げるデニス。

 「じゃあ私たちは行きつけの店に行くよ。さあ、行こう兄さん!」

 プリンは看板を持って走って行く。


 「よし。これで従業員は問題ないな。次は子供達の仕事の分配か」

 ハルトは軽く伸びをした後、工場に向かった。



_____


 「さて2級市民を雇うことになったのはお前らも知っていると思う」

 ハルトは子供達を見回して言った。


 「いえ、知りません」

 ウマルははっきりと言った。

 「聞いてないよ……」

 ぼそりとソルが呟く。

 「え!そうなんですか!!」

 エミルが大きな声を上げた。


 「あれ?伝えてなかったっけ?」

 ハルトはロアを見る。ロアは首を横に振った。


 「とにかく、2級市民を雇うんだ。分かったな!」

 ハルトは大声を出して誤魔化す。


 「石鹸の製造技術はできれば漏らしたくない。だから2級市民には単調な作業をしてもらい、お前たちには重要な作業をしてもらう」

 ハルトは子供達に作業の分配について説明する。


 石鹸作りで大切なのは油とアルカリだ。石鹸作りでオリーブが必要なのは間違いなくばれるから問題ない。大事なのはアルカリだ。そこで子供達にはアルカリの製造だけしてもらう。アルカリの材料が灰だとは分からなければ石鹸の模倣は不可能だ。


 「あと新しく作る高級石鹸、これもお前たちに作ってもらう」

 

 高級石鹸はノーマル石鹸と比べて作り方が複雑だ。2級市民では難しいだろう。それに高級石鹸は泡の実に近い性能だ。作り方が流出するのは避けたい。


 「と言うわけだ。あと2級市民が問題を起こしたらすぐ俺に伝えろ。首にする。まあ、アイーシャやラスクにプリン、そして新しく雇う傭兵もいるから問題ないけどな」

 アイーシャにかかればいかに屈強な男何十人いようと関係ないだろう。こういう時には本当に頼もしい。


 「話は終わりだ。石鹸作りに戻ってくれ」

 子供達は石鹸作りに戻った。


 「さて、デニスにいつまでも任せるのは心配だからな。俺も早く戻るか」

 ハルトは店に戻った。


_____


 「紹介しまーす!!こちらは元王国軍人の傭兵です!!ほら名前、名前!」

 プリンが二人の男性」を急かす。まず中年の男性が一礼してから自己紹介する。

 「ラング・ド・シャです。このたびは雇ってくださり、ありがとうございます」

 次に初老の男性が自己紹介をする。

 「私はタルト・オ・フリュイです。よろしくお願いします」

 二人とも美味しそうな名前をしている。


 「二人は元騎士でラングはシャ家、タルトはフリュイ家の人なんだけど、いろいろあって傭兵になったらしいよ。過去は詮索しないで上げてねー」

 プリンは平然と二人の過去を話す。これにはハルトも苦笑いする。


 「それで我々は何をすればいいのでしょう?」 

 ラングがハルトに聞く。

 「警護かな。怪しい奴を見つけたら捕まえてくれ。あと2級市民が子供……奴隷に暴行を働かないか監視してくれ」

 ハルトがそう言うと、タルトは口を開いた。


 「それなら私にもできそうですな。最近年で無茶はできなくなっていますから。それにしても子供達の護衛ですか……最後の仕事としてはいいかもしれませんな」

 

 二人とも納得してくれたようだ。

 

 「じゃあ明日からお願いします」

 ハルトは二人と握手した。


_____


 「おい、ユージェック。お前強力な協力をしてくれるって言ってたよな?」

 「そんな寒いギャグは言ってないぞ。まあ協力はすると言ったが。借金か?」

 ユージェックは早速書類を懐から取り出した。


 「違う。まあ、まずはこれを見てくれ」

 ハルトは試作した高級石鹸をユージェックに見せる。ユージェックは不思議そうな顔で石鹸を受け取った。

 「石鹸がどうかしたか?」

 ユージェックの問いにハルトは答えた。

 

 「タダの石鹸じゃない。泡の実に匹敵する高級石鹸だ。ちょっと使ってみてくれ」

 ユージェックはハルトの言葉を受けて井戸に向かう。しばらくして戻ってきた。


 「確かに泡の実に匹敵するかもしれないな。お前の自信の源はこれか。で、これを宣伝しろってことか?」

 ハルトは頷き、大量の石鹸をユージェックに渡した。


 「俺には金持ちの知り合いはいないからな。お前にはたくさんいるだろ?よろしく頼むよ。余ったのは全部やるから」

 「ふむ、まあそれくらいならいいだろう。分かった。宣伝しておこう」

 ユージェックは高級石鹸を受け取りながら答えた。


 「ありがとう。恩に着るよ」

 ハルトは礼を言った。


____


 サマラス商会が開店した。それに合わせてアスマ商会では2級市民の労働者が20人集まり、高級石鹸の生産が始まった。


 「それで初日はどんな感じだった?何か揉め事は起きなかったか?」

 ハルトはアッシュ兄弟を呼び、聞いてみた。


 「少しだけ起こったわ」

 アレンは言った。アレンに続いてエレンが説明する。


 「バカな男がアイーシャちゃんに絡んだのよ」

 「それでどうなった?」

 「宙を舞ったわ。男が」

 「だろうな」

 

 アレンがにこやかに言う。

 「でもアイーシャちゃんのおかげで助かったわ。文句言ってた奴がみんな黙ったんだもの」

 「そうそう。変な言い方だけど最初の被害者?がアイーシャちゃんで良かったわ」

 アッシュ兄弟は口ぐちに言った。


 「そうか。生産効率はどんな感じだ?」

 ハルトの質問にアレンが答える。


 「いい感じよ。もっと材料を増やしてくれて構わないわ」

 「まだぎこちない感じだけど大人だからかしら?子供たちとあまり効率は変わらないわね」

 エレンがそう言った。


 「そうか。ありがとう。何か起こったら教えてくれ」

 ハルトは礼を言った。


______


 「あっという間に1か月経ってしまったわけだが……売上はどうだ?」

 ハルトはロアを呼び寄せて聞いた。ロアはハルトに報告書を渡す。


 「見れば分かりますが……あまり変わっていませんね。客層が違うからでしょう。高級石鹸ですがかなり早い段階で完売しました。ユージェックさんのおかげですね。もっと生産数を増やしましょう。2級市民を大量に雇えば可能です」

 ハルトは報告書をロアに渡して言った。


 「そうだな。ノーマル石鹸は1.5倍、高級石鹸は3倍に増やそうか。そうなると鍋がさらにいるな。注文しておくか」

 「この調子でサマラス商会をやっつけちゃいましょう!!」

 ロアは楽しそうに言った。

収入 約2250万(石鹸4万5千個)1080万(高級石鹸1個3000円)

支出 約2200万(石鹸6万7千個の材料費)+240万(石鹸改の材料費)+200万(工場の借用料)+45万(従業員の給料)+80万(2級市民)+200万(奴隷維持費)+90万(傭兵)+36万(鍋10)+10万(店)+9万(馬車6台)100万(売上税)333万(所得税)

売上-支出=-213万

負債1億

残金9387万

実質財産-613万


その他財産

奴隷60

従業員

会計担当兼奴隷取締役 ロア・サマラス

会計輔佐 デニス 

現場指揮 アッシュ兄弟(姉妹)

傭兵 ラスク&プリン ラング・タルト


新傭兵はお菓子です 


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