表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

父レスラー2! 炎のデスマッチ。

娘のなつが彼のもとに行って5年近くたった。俺もいい年をしながら自分の団体でプロレスをしている。家には年を取ったがまだまだ元気いっぱいのミックが待っている。唯一、変わったことといえばあの一件で世話になった森本が正式にこの団体に入団して選手層が一気に厚くなったことだろう。しかし、俺のプライベートはめっきりだ・・・。


 おっと、自己紹介を忘れていた。俺の名は須本光一。kwプロレスというインディー団体の代表兼レスラーをしている。{天性の技巧派エース}と昔は呼ばれていたが今はそんな肩書きを忘れてプロレスを楽しんでいる。



 俺たちはいつもの会場で試合をしていた。最初に比べると観戦するお客様も数が増えているが、会場は変えていない。最近は、会場を広い場所にしろと言われるが初心を忘れないための俺の意思で会場を変えていない。

 この日も安定の試合運びで俺は若手の壁になって勝った。俺の試合がこの日の最後の試合でもあり俺はマイクを取った。

「この日も、ご来場くださりありがとうございます。我々ももっと頑張りますのでよろしくお願いします。」

俺はアピールをしながら会場を見渡した。すると、会場の隅で観戦している見覚えのある男がいた。俺は森本を見た。あの一件にかかわった当時練習生だった青島秀則も森本のほうを向いていた。森本は俺たちの視線に対して険しい表情で小さくうなずいた。そうあの男だった。その男は以前より二回りも体格が大きくなり目は鋭く、顔には見たことない傷があった。一見すると別人とも思えるかもしれないが、俺たちの職業はレスラー。何度も組んだり闘ったりした。レスラーの感覚で分かるものである。


興行終了後、俺は森本と青島を誘いいつもの飲み屋へと向かった。

飲み屋に着くとそうそう生ビール3つとつまみを適当に頼んだ。そして、俺が先陣を切って話始めた。

「会場にいたあるやつ見かけたか?」

俺の問いかけに青島がいの一番に答えた。

「はい!!自分リング上で見かけましたよ。」

森本も続けた。

「俺も見かけたよ。あの男ってあの時の…」

森本の疑いを確信に変えるための質問に俺は少し間をおきながら答えた。

「恐らくそうだろう。」

あの男とは丸山秀平。かつて、この団体に所属していた俺の元タッグパートナーだ。あいつはプロレスでは実力者であったがこの団体を俺から乗っ取ろうとして失敗。俺から解雇を申しつけられた過去を持っている。奇しくもこの3人はその事件に携わったメンバーである。

すると、青島が率直な質問を投げ掛けた。

「しかし、なんでこのタイミングで…」

俺は、傾けていたビールグラスを戻しながら答えた。

「さっぱりわかんねぇよ。でも、何かしらの動きは起こすだろう。気をつけて次も闘うしか無いな。」

俺の一言に2人はビールのお供に付いていたタコわさびを食べながら答えた。

「おう!!そうだな!!」

(タコわさ食べながら言われても…)



飲み終えて店を出ると高校生ぐらいだろうか。少年が俺に声をかけてきた。

「須本選手とお見受けします。僕を練習生にしてください。」

少年はボロボロのジャージにボロボロの靴。髪は何日も洗っていないようでボサボサ

していた。

「大人の事情を言っちゃうと、親の承諾が必要になっちゃうんだよね。だから、また来て。」

泥酔状態の俺がそう切り替えそうとするも

「お願いします!!」

と、一点張りの少年。そんな少年の目は素直だった。俺は、結論そんな少年の目に負けた。だが、少年はなかなか帰ろうとはしなかった。夜も遅いので仕方なく団体の寮に保護した。

寮では、風呂に入れたり新しいジャージをプレゼントしたりとした。

「団体の練習生になる以上は体力テストをするから、それを翌日するから今日は早く休むといい。」

泥酔状態の中、ある限界の意識の中で俺は真剣に伝えた。少年は

「はい!!」

と、返事をした。俺はその返事を聞くと併設されている事務所のソファーで寝てしまった。

翌日、頭痛と共に起きた俺は思い出したかのように道場に行った。

すると、昨日の少年はもうアップを済ませて準備万端だった。

「ゴメンゴメン。じゃあ始めようか。」

と、俺は体力テストのメニューを告げて始めさせた。

「はい!!」

少年はやはり綺麗な目で返事をして開始した。


少年は俺の想像以上に体の使い方がうまく、そして体力があった。少年は20歳の若手が3時間かけてやっと終わるメニューを1時間半で終わらせてしまった。

「すごいな~!!」

俺は少年の体力に感心しながらも監督していた。


テストを終えると俺は少年に次の試合のセコンドをするように申し付けた。若手はセコンドもするのが基本である。

「はい!!」

少年は威勢の良い返事をした。そんな中俺は少年に重要な事を聞くのを忘れていた。

「あのよ、名前を聞き忘れていたんだが名前を教えてくれ。」

少年はすぐに答えた。

「紹介が遅れてごめんなさい!僕の名前は大谷ケインです。」

俺は少年の名前を聞いて

「君ってハーフかな?」

と、率直な疑問を投げかけた。すると、少年はいつもどおりの表情で返事をした。返事を聞いた俺はふうんと表情を変えずに書類を事務所に片付けに行った。その間も大谷はバンプの練習をしていた。

そんな中、この日の興行で事件がおきた。


メインイベントで行われた俺の試合が終わり、興行を閉めようと俺がマイクを握った瞬間にあの男が軍団を引き連れてリングに上がろうとしたのだ。若手や練習生は軍団をリングに入れないよう食い止めて俺たち中堅やベテランはリングスタッフ達の避難経路を確保した。

しかし、軍団はイス・手錠・有刺鉄線バットなど通常ではありえないアイテムを使って若手達を蹴散らして俺達のところに襲い掛かってきた。だが、避難は完了して選手のみがリング上にいたので俺達も反撃に打って出た。

しかし、軍団のアイテムの前に俺達も手が出せずリングをジャックされてしまった。

大将格のあの男がマイクを持って口を開いた。

「おい、須本。俺のことを覚えていねぇとは言わせねぇぞ。ここのファンもだ。あの後、俺はフリーランスとしていろんなリングに上がった。そんな中で俺は新たな境地に目覚めた。そして、この軍団を作った。そうだ、貴様を葬るために。」

その男は完全に変わっていた。目つき、体格、口調などありとあらゆるものが変わっていて俺は動揺を隠せなかった。そんな中、男は続ける。

「要は、試合を組め。てめえと俺とで。」

男の要求に俺は動揺を隠す努力をしながら言った。

「上等だ。明日から始まるシリーズでお前を返り討ちにしてやる。」

俺は内心謎の不安でしょうがなかったが、1レスラーとして自らの退路をふさいだ。

俺の言葉を聞いた男は一味を引き連れリングを後にした。


その日の夜。俺が自宅でマッチメークをしていると携帯にメールが届いた。青島からだった。

(青島です。社長、次のシリーズの初戦、あいつ試合させてください。)

俺はレスラーとして、また団体の長として答えた。

(試合はさせたい。けれど、いきなりシングルマッチは危険すぎる。凶器もあるしな。だから、初戦は6人タッグマッチで俺と森本とお前で行こうかと思う。)

すると、すぐに返信がきた。

(ありがとうございます。頑張ります。)





そして、翌日。試合が始まった。

先発は俺と丸山。序盤は当時と同じ試合運びを行っていた。

しかし、中盤に差し掛かったときに流れが変わった。

俺が場外にいる丸山に対して「トペ・スイシーダ」を放とうとロープに走ったところ、丸山軍のセコンドが俺の足を引っ張って倒して暴行を加えてきた。青島と森本が救出を試みるも、丸山のタッグパートナーのカットに合い動けない。その様子を見た丸山は入場時に持ってきた袋の中に入っている蛍光灯を持ち出してきた。

その瞬間をセコンドをしていた大谷は丸山軍のセコンド陣営に向かうと暴行を加えているセコンド達に果敢に蹴りを加えて追い返そうとした。しかし、効くはずもなく逆に突き飛ばされると椅子での殴打を喰らってしまった。

その姿を見て3秒も経たない内に丸山が蛍光灯を持って、俺をリングに戻した。

フラフラの中、立ち上がる俺に森本は叫んだ。

「危ない!!避けろ!!」

(パリーン)と会場内になんとも表現ができない音が響いた。持っていた蛍光灯を使ってきたのだ。自分の額からは出血をしているのが分かる。俺は流血によって視界が狭くなっていた。観客からは悲鳴が上がっていた。

そんな中、丸山は破片を片手に俺にキャメルクラッチを仕掛けてきた。青島と森本は予測がついて助けに行こうとするも、やはりカットプレーに阻まれる。

丸山はキャメルクラッチで固められている俺の額に蛍光灯の破片を突き刺してきた。食い込むにつれて流れ落ちるおびただしい血がキャンバスに落ちて言葉には表せられない状態になっていた。パートナーはカットプレーに阻まれ助けに来れない。セコンドの大谷も戦闘不能。俺は現役生活の中で初めて試合中にこんな感情を抱いた。(殺される…)

その瞬間、丸山軍のセコンドによって失神したレフェリーに変わってサブレフェリーが現れてリング上で試合を止めた。

しかし、完全に勢いに乗った丸山軍はセコンドの大谷にも暴行を加えると本部席からマイクを奪い俺に果たし状を突きつけてきた。

「おい、何だよ今日の試合。舐めた団体だな。この団体潰してやるよ。おい、須本。悔しかったらな、俺の土俵に上がってこい。デスマッチだ。」

仰天の要求をしてきた丸山は更に続けた。

「しかも、ただのデスマッチではない。お前が負けたらこの団体は解散。俺が負けたらこの団体に出入り禁止。つまり、解散コントラ出禁、蛍光灯&有刺鉄線デスマッチだ。」

「・…」

俺は精神的、肉体的ダメージのせいでノーコメントをせざるを得なかった。セコンドの大谷の肩を借りつつ控え室に戻った。

「ちくしょう…」

俺は控え室で血まみれの状態で悔し涙を流した。

「須本、これは仕方ない。相手が悪かっただけだ。相手の挑発にも乗る必要ない。」

森本が慰めに入る。でも、今の俺が素直に聞くはずがない。

「森本、すまないが俺が居なくなった時はこの団体をよろしくな。俺はこの団体を守るためにあいつと戦う。」

「須本…」




翌日、俺は起床して鏡を見た。その瞬間に凶器攻撃の恐ろしさを知った。

「お、おい…」

背中には蛍光灯で切った事によるみみず腫れが起きて額には大きなかさぶたが出来ていた。しかし、今日も試合が組まれている。しかも、相手は打撃主体の選手。傷へも打撃が来るのは目に見えている。しかも、よく翌日はシリーズ最終戦。この団体の命運を分ける戦いが待っている。

ただ、俺のファイトを見るために来場するファンもいる。俺は、傷をTシャツで隠して試合をすることにした。

今日の試合が始まった。

序盤から、蹴りやエルボーなどの打撃技を案の定多用してきた。その打撃を受けないようにうまく掻い潜りながらいつものペースに持ち込んだ。

中盤もペースを崩すことなく戦い、傷を広げることなく快勝した。

そして、この大会を締めようとマイクを握った瞬間、また、丸山軍が現れ今日の俺の対戦相手と俺に得意技のフィッシャーマンバスターを決めマイクを強奪すると強気に言った。

「おい。おい。相変わらずちんけな試合しかしねえな。だから、俺らに潰されちゃうんだよ。ばいばい。須本。」

小憎たらしい表情で倒れてる俺の顔を踏みつける丸山。

「・・・クソっ」


すると、花道から駆けてくる男がいた。大谷だった。

「・・・あの馬鹿っ。危ない」

大谷はリングに上がると近くにいた下っ端を打点の高いドロップキックで撃退した。会場は

「いいぞー。」

「いけいけー」

と、盛り上がっている。しかし、すぐに捕らえられてしまった。がっちり抑えられた上で丸山はイスを脳天に振り下ろした。丸山は意識を失った大谷を引きずり起こし、

「若造がー」

を、叫びながらフィッシャーマンバスターをイスの上に向けて決めた。決めると、

「明日が楽しみだ。」

と、言いマイクを捨てて帰った。俺はすぐに大谷の元へと向かった。

大谷の様子を見ると明らかにおかしい。すぐに、救急搬送された。俺もある程度の仕事を終えると大谷のいる病院に向かった。

病院に着くと、医師に呼ばれた。俺の膝の時の先生で顔なじみではあったが神妙な面持ちで俺に伝えた。

「あの子の意識はいまだに戻らない。もしかしたら、脳にまで行ったかも知れない。脳にまで行ったときには最悪の事態もあるから覚悟だけはしといて」

「え・・・。」

この事実を飲み込めず、困惑していた。

(頼む、元に戻ってくれ・・・)

俺はただ祈るしかなかった。




そして、運命の日を迎えた。

俺は病室に置いてあった大谷のブレスレットを片方つけていった。俺なりの覚悟を持った上のことである。

会場に到着し控え室でコスチュームに着替えた。最近では青のショートパンツを着用していたが、今日は大一番にしか見せない長いジーンズに青いタンクトップというストリート・ファイトスタイルで臨んだ。



(かーん)

ゴングが鳴り運命の一戦が始まった。会場も前の試合までの熱狂から緊張感へと変わった。

少しの間が空いて、ロックアップで試合が始まった。俺はロックアップからヘッドロックに捕らえたが丸山は俺をロープに振った。この試合はロープには蛍光灯は据え付けられている。俺は寸前のところで体を入れ替えて被弾を防いだ。それを見た丸山は突っ込んできた。俺はカニバサミで倒して被弾をさせた。会場からは悲鳴交じりの歓声が起きた。しかし、この一撃で丸山の表情は変わった。

ロープにもたれる丸山めがけて619を放とうとした。だが、丸山はすぐさま起き上がり619をかわした。どうにか勢いを利用して体勢を戻した俺だが戻った瞬間に蛍光灯での一撃が俺を待っていた。

この一撃でリングに倒れた俺に待っていたのは破片地獄である。蛍光灯で1撃を食らわせれば当然のことながら割れた破片がリングに落ちる。その落ちた破片が想像以上に痛いのだ。


そんな中、丸山は近くにあった蛍光灯をとり俺の着ているTシャツの中に入れるとエルボードロップを敢行した。破片がtシャツ着ていることにより逃げなくて小さな破片が俺の背中に刺さる。痛みに悶える俺を引き起こしブレーンバスターを丸山は仕掛けた。当然のことながら破片が深く刺さる。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

俺の言葉にならない悲鳴が会場に響く。

「おらどうした!そんなもんかお前は!来い!来い!」

丸山の挑発を踏みつけられながら聞いている俺。


しかし、俺もただでは挑発をされない。

近くの蛍光灯を手に取ると、丸山の足の間に気づかれないように入れるとその体勢からフルスイングした。蛍光灯は丸山の急所にクリーンヒットして割れた。男にしか分からないなんともいえない痛みに丸山は飛び跳ねながら苦しんだ。通常ルールなら反則だがこれはデスマッチ。なんでもありなのだ。


ここからは、俺の時間といわんばかりに反撃を始めた。破片を一箇所に集めるとそこに丸山の顔面を叩きつけた。そして俺はロープに走るとエルボーで丸山をダウンさせた。

そして、俺はもう1つのアイテムである有刺鉄線ボードを取り出した。ちょうど試合の中盤であっただろうか。

倒れている丸山に対して有刺鉄線ボードを乗せ俺はトップコーナーに上り、ボディープレスを投下した。

「当たれー」

会場のファンが声を出して願った。

しかし、相手もそんな甘くない。

有刺鉄線が張り巡らされているほうを上にしてこの状況を脱出した。

「・・っぐ、よけきれない。」

俺のボディープレスは有刺鉄線に誤爆した。腹部ならまだいいが、針の何個かがこの前の傷に刺さり流血した。

そして、丸山は残ってる蛍光灯を手に取ると俺の頭部にフルスイングした。粉々になり飛び散ったりする蛍光灯の破片の量と比例するように俺と丸山の流血量も増えている。そして、小ばかにするように俺の胸板にミドルキックを放った。

「このやろう!」

俺は珍しく感情むき出しで丸山の顔面を張った。

「おらぁ」

丸山も張りかえした。デスマッチにも関わらず張り手のラリーをした。俺は張られて後に

「この団体は俺が守るんだ!このやろう!」

と、叫びながら頭突きをした。

(ごつん)

会場に響く重低音と同時に丸山は前のめりに倒れた。倒れたと同時に

「あぁぁぁぁぁぁぁ」

と雄たけびを上げて自分に気合を入れた。しかし、流血量も増していた。文字通りの‘死闘‘である。

試合時間も20分をコールされた。

俺は大勝負に出た。リングに隠し持ってきた墨汁を口に含み頭突きで意識朦朧ながら立ち上がった丸山に対して‘墨汁ミスト‘を敢行した。観客はこの意外な攻撃に驚きのあまりリアクションが取れなくなっていた。

墨汁で視界が薄れている丸山に対して俺は延髄切りを行い、ひざを着かせた。着かせると俺はロープに走り膝蹴りを当てた。そして、また同じ体勢にすると残っている最後の蛍光灯を丸山の鎖骨に立てかけると俺は額からものすごい量流れる血を指で払うとロープに走った。

(昔のパートナーだから、こいつは俺の手で倒す)

そんな、心境を抱きながら

「まるやまぁぁぁぁぁぁぁ」

と、叫びながら膝蹴りを当てた。丸山はその衝撃で後方に飛んだ。

そして、最後の力を振り絞り相手を引き起こすと大一番でしか出さないオリジナル技で叩きつけると、有刺鉄線ボードを持ち込み丸山の上に乗せてトップコーナーに上がった。

「行くぞぉぉぉぉぉ。」

俺はさっきの失敗の不安を拭うかのように観客に声援を求めた。

「いけーーー須本ぉぉぉぉぉ。」

「決めろぉぉぉぉぉ」

観客も答えてくれた。観客の期待を背に受け飛べ!俺!

俺はこれまた大一番専用のファイヤーバート・スプラッシュを敢行した。


ファイヤーバード・スプラッシュはきれいに決まった。俺はボードを退けると渾身の力で押さえ込んだ。

「1・2・・・」

レフェリーのカウントに合わせて観客もカウントする。

(頼む、跳ね返さないでくれ・・・)

俺の魂の限りの叫びなのかもしれない。


「3!」

レフェリーは確かに「3」を言った。俺は勝ったんだ。団体を守りきったんだ!セコンドたちはリングにに入り俺にタオルを渡して手当てをしようとした。

「俺はいいから、こいつの手当てをしろ」

俺は、そう指示するとマイクを要求した。マイクが来ると俺は振り絞るように言った。

「勝った!俺は勝ちました!こんな、ずたぼろな姿な俺ですが、これからもこの団体、そしてこの須本光一をよろしくお願いします。」

観客はこれでマイクは終わりかと思ったが、俺は続けた。

「そして、まるさん。また、やろうぜ。」

俺は言ってリングを降りた。

丸山もマイクを持って覚悟を決めたかのように言った。

「こうちゃん。ありがとうよ。あんた、やっぱり強いわ。今度またやろうぜ。」

丸山もリングを降りた。花道を血だらけになりながら歩く丸山にも惜しみない拍手が送られた。

「・・・流石だ。」




俺が、控え室に戻る廊下で驚くべき人に会った。そう、意識不明なはずだった大谷の姿があった。車椅子だったが具合は良さそうだった。

俺は通りざまに拳を差し出した。大谷もあの笑顔で拳を合わした。俺と大谷にはこれだけで十分だった。そして俺は控え室に戻った。その姿を見た青島が近くにいた森本に問いかけた。

「あのー森本さん?代表なんで話さないんですかね?」

その質問に森本は諭すように答えた。


「あいつにはあれで良いんだよ。」

誤字脱字満載ですがごめんなさい!

話が飛んでるかも知れませんがごめんなさい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ