第3話
街に着いてから僕とセイラは一個一個商品を返していった。
皆最初は怒っていたけれど、最後は許してくれた。
そして…
「最後だね…。」
(これが一番厄介なんだけど…)
最後に残ったのはギレさんのお酒だった。
(あの人絶対怒るよな…許してくれるかな…。)
僕は悩んだが返すしかないのでとりあえず酒屋へ向かった。
「た、ただいま…。」
と、恐る恐る入るとギレさんはキッとこちらを睨んできた。
「お前、酒は?」
「あの、えーっとですね…」
僕が言葉を濁しているとセイラが後ろから出てきて口を開いた。
「酒屋の亭主さん、ですよね。このお酒少しお借りしたかったんです。盗むつもりはなくて…でも、何も言わずに持って行ってしまって本当にすみませんでした。」
俯きながら謝るセイラをギレさんはじっと見ていた。
「…お前、なんで持って行ったんだ。」
「…。」
ここまで一緒に来たが、僕もなぜあんな行動をしたのか、教えてもらっていなかった。
なぜザクリア村にいたのか、消えた人達のことや破壊されたはずのザクリア村のこと。
正直、僕自身も知りたいと思った。
セイラは俯いて黙りこんだままだった。
三人の間に沈黙が流れる。
口火を切ったのは、セイラだった。
「お話…します。なぜ私があんなことをしたのか。燐も聞いてて、お願い。」