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#4:前話「スタート」

 人が産まれるのって、どこが「スタート」なのだろう。


 身籠った時、世界を初めて見た時、自我が芽生えた時。そして、「夢」を見つけた時。

 不安な事ばっかで未来が嫌になる。「産まれなければ」なんて何度も叫ぶ事もある。今までそれは、私にとって贅沢なワガママだと思ってた。



 だって、『産まれた』だけで幸せでしょ?







 私にとってのスタートは温かい水の中。

 目も開かない、口も開かない。浮いてて、思うように動けない。

「どうして……何で……」

「よく考えて……!」

 真っ暗な世界に声だけが響く。まだ私は、世界から見たら「産まれていない」。顔も知らぬ母親の中に居るのだから。


 拘束された胎内で何ヶ月が過ぎたのだろうか。見えていないけど身体は成長している。いつ世界とあいさつ出来るのかな。そんな希望が募っていく。

 まずは泣いて、母親に抱きしめられて。落ち着いてから目を開く。これでやっと「生まれた」と言えるんだ。私はその時を、今か今かと待ち続けた。



 目が開かないんだもん、眠っているかもよく分かんない。でも、あれから「何年も経っていた」。

 私にも分からない。産まれる事すら出来ていない私に何が理解出来る。

 私という理性、「自我」はずっとある。なのに、何度繰り返しても世界を見れない。


 ……違う。分かってる。私は…「私」が芽生えた時点で流れる運命なんだ。

 ……認めない。認めたくない。だって、私は何もしていないのに、何で……!


「産まれなければよかった」


 最初で最後の呟き。存在していない私の声。

 視界も、言葉も、涙も出力出来ない、私の思い。


「どうして…私を生んだの…?」






「いや……夢に出たから」

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