#3 前話:最低な「幽霊」
※このお話は相当辛い事になっています。苦手な方は十分ご注意ください。
その人は、優しい人だった。こんな普通の私を見て「恋」をしてくれた。
まだ4歳の時、とある大人とよく遊んでいた。その人は優しくて、お金もあってなんでもしてくれた。まだ恋を知らない私でも、この人が好きだと思ってた。
その人は本気だった。歳が二回りも違うのに、本気で恋愛をしてたんだと思う。でも世間ではただの「ロリコン」で終わってしまう。どうにかしたいその人は、ある決心をした。
それは、私の「全てを狂わせた」
「幽霊」は本当に存在するのだろうか。誰だって疑問に思うし、死んだらどうなるかなんて今や億千を超える予想があるだろう。その人は自分の欲求の為に本気で幽霊を信じた。そうすれば、未来永劫私と一緒に居れるのだから。
幽霊には強い未練が必要だ。手始めに私の両親、友達、話したこともない近所の人まで全て殺された。全部その人が仕組んだことだった。私だけが生かされてて、一人ぼっちになるのを恐れてその人に依存した。これも全て計画通りだったのかもしれない。
学校にも行かずに何年か経ったある日、その人は私に暴力を振るった。
「やめて、助けて、でも捨てないで」
そんなことを叫ぶ毎日だった。好き放題使われて、毎日薬を飲まなきゃいけなかった。
本当に死ぬかもしれない。その人の思い通りになるかもしれない。恐れた私は、私を抱きしめるその人の首を全力で握り潰した。その人は一切抵抗しなかった。
孤独になった私は、金と薬と温もりを求めて色んな男と遊んだ。義務教育からも突き放された私は何も感じない。どれだけ酷い様に扱われても、薬を飲めば解放されるから。
そんな生活も長くは続かない。身体の一部が壊れて、私に生きる価値が無くなってしまった。そんな私を誰も見てくれない。結局人間なんてこんなもんだ。
昔の、狂わせた元凶を一瞬思い出す。思い出しただけで空っぽの胃から体液が逆流する。これも、計画のうちだったのだろうか。
そろそろ迎えが来るかもしれない。死んだ後も地獄なんて終わっている。死んだらあの人がまた抱きしめに来るんだ。反吐が出る。
「…幽霊なんて 大ッ嫌い」
久しぶりに開けた口はそんなことを叫んだ。
「では幸せな幽霊になりませんか?」
聞き慣れない声。顔を上げると、布の被った少女らしき存在が私を見下ろしていた。




