恐怖の目
「おはよう。昨日はごめんね。やっぱり私の見間違いかも。」
そんな事はない!私が見間違えるはずがない!
「僕もムキになって怒っちゃってごめん。お互い新生活の疲れが溜まってるんだよ。」
さとしも何かを隠している。
それは一体何なの?
私はその日から悶々としながら毎日を送っていた。
そんな中、小川さんの家に昼間お邪魔することになった。
この間ゆっくり話す事ができなかったから話しましょうとの誘いだった。
何かを掴める絶好のチャンスだと思った。
「どうぞ入って。」「お邪魔します。」
「この間は話を聞けなくてごめんなさいね。
で、話って?何か悩み事でも?」
「さとしのことなんですけど、、。最近帰りが遅くて、、、。さとしに限って浮気とかは無いとは思うんですけど、、。」
と言いながら小川さんの目をしっかり見ながら話した。
何かやましい事があれば、きっと人は表情のどこかに現れるはず。見逃すまいと静かに話した。
「旦那さん優しそうで良い人じゃない。帰りが遅いのは仕事仲間と飲んでるだけでしょう。気にしないことよ。妻はどっしり家で待ってれば大丈夫よ。」
小川さんは顔色一つ変えなかった。
まるであの日の事がなかったかのような錯覚さえ覚える程だった。
その後は当たり障りない日常の話をお互いし合った。
「なんだか小川さんと話して気分が軽くなりました。お話聞いてもらってありがとうございます。」
「いいのよー。私も昔は色々あったから。」
「あのー。小川さんってご家族は?」
「だいぶ前に別れてね、、、。息子が1人いるんだけど。」
「そうなんですね。息子さんいらっしゃったんですね。」
「とても優しい子でね。」
そうやって話しているとどこからか以前の様な音が聞こえて来た。
(ドンドンドンドンッ)
「今の、、何の音ですか?」
「私には何も聞こえないわ。」
そう言う小川さんの目がこれ以上踏み込んではいけないような恐ろしさに満ちている様に見えた。
その雰囲気に飲まれそうになった私は怖くなり小川さんの家を急いで後にした。
「楽しかったわ。」「お邪魔しました。」
帰り際小川さんの家の2階からまた何者かの視線を感じていた。




