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最底辺の俺が、観測スカウターを使ってエリート学園にはびこるスクールカーストの頂点を目指す  作者: 京太郎
第四章:演劇『現代版高校ハムレット』

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17/46

【17】王と脚本家、そして沈黙の姫

17-1◆新しい空気、そして演劇準備の開幕◆

「演劇の具体的な演目や役割について、決めたいと思う。何か意見のある者はいるか?」

担任の烏丸の言葉を皮切りに、教室はこれまで、経験したことのない活気に満ちた。


最初に手を挙げたのは演劇の最初の提案者、桜井恵麻だった。

「はい!私はシンデレラのような古典的な物語がいいと思います!」


その彼女の意見に、バスケ部の松川が続く。

「えー地味じゃね?もっとアクションがあるやつがいいって!」

「そうそう!海賊ものとか!」

中河も、それに同調する。

教室は、これまで久条の「空気」に支配されていたのが、嘘のように様々な意見で溢れかえっていた。


俺の脳内にミラーの声が響く。

ミラー:「見ろよ奏。お前が久条の支配を少し壊したおかげで、教室が自由になってきたな」

奏:「ああ。それは素晴らしいことだ。だがこれはただの混沌だ。まだ何も決まらない。誰の一言で,、物事が決定していくのか?じっくり観察する」


その混沌に終止符を打ったのは、意外な男の一言だった。

柴田隼人。

彼が立ち上がり、クラス中の注目を一身に集めながら、言った。

「なんかさあ、もっとこうドロドロしたやつ、やろうぜ。復讐とか裏切りとかあるやつ。…そうだ!ハムレットとかよくね?」

そのあまりにも、彼らしくない提案にクラスが一瞬、静まり返る。


斎藤「お前の口からハムレットかよ!!!」


柴田は続ける。

「任せとけよ。律!ただのハムレットじゃ、つまんねえ。学校を舞台にした『現代版・高校ハムレット』だ!どうよ!?」


その柴田の言葉に、クラスの空気が変わった。

「え!それ面白いかも!」

「現代版ハムレット!新しい!」

「衣装とかも、今風にアレンジできそう!」

クラスの興奮は、一気にハムレットへと収束していく。


奏:「…ハムレットか。面白い選択だ。あいつ主役をやるつもりなのかな?」

ミラー:「それ最高の配役じゃないか。悲劇が喜劇になるか。あるいはその逆か。見ものだな」


烏丸がその空気を見て、パンと手を打った。

「よし決まりだ!演目は現代版ハムレット!じゃあ次は配役だな!主役のハムレット、やりたいやついるかー?」

その言葉を皮切りに、教室は再び騒がしくなった。


俺たちのクラスの新しい物語が、今まさに始まろうとしていた。



17-2◆女王の勅命、そして騎士たちの忠誠◆

「よし決まりだ!演目は現代版ハムレット!じゃあ次は配役だな!主役のハムレット、やりたいやついるかー?」

烏丸のその気の抜けた声にクラスが再び沸く。


「はい!」「俺やりたいです!」

数人の男子生徒が、勢いよく手を挙げた。


演劇をやりたいと最初に言った桜井恵麻も、ヒロインのオフィーリア役をやりたそうに、そわそわしている。


だが誰もが、分かっていた。

このクラスの配役を決めるのは、自分たちではない。

教壇に立つ教師ですらない。


全ての視線が、一人の少女へと集まる。

教室の玉座に座る女王、久条亜里沙。

彼女が頷かなければ、このクラスでは何も決まらないのだ。


その時だった。

久条が、静かに立ち上がった。

そのたった一つの動きで、教室の全ての喧騒が嘘のように静まり返る。

彼女は完璧な笑顔で、クラス全員を見渡した。

そして、その鈴が鳴るような声で宣言する。

「この演劇を成功させること。それが私たちElysionの総意です」

「そして、そのために私たちElysionのメンバーが率先して、この演劇を引っ張っていきます」


ミラー:「…見ろよ奏。女王の反撃だ」

奏:「ああ。敗北を認めず、むしろその戦場ごと乗っ取るか。大した女だ」


久条は続ける。その視線は、まず柴田隼人を捉えた。

「柴田くん。あなたのそのユーモアで、主役のハムレットを最高の悲劇の王に仕立てほしいわ」


次に彼女は結城莉奈を見る。

「結城さん。あなたのその表現力でヒロインのオフィーリアとして、誰よりも美しく哀れな少女を演じて」


そして最後に斎藤律。

「そして斎藤くん。あなたのその知性、この劇の最も重要な役ホレイショーにふさわしいわ」


それはある意味、命令だった。

女王からの絶対的な勅命。

彼らに、拒否権はない。

柴田、斎藤、そして結城。


三人は静かに立ち上がり、そして女王へと頭を下げた。

「任せとけ。亜里沙」

「私、頑張るわ!亜里沙」

それは奏に懐柔された彼らが、改めて女王への忠誠を誓う儀式のようだった。



(…面白い。久条亜里沙。お前のそのプライド。さすがだ)

俺は心の中で冷たく笑う。


ミラー:「…こいつの意図が、何となくわかるな」

奏:「ああ。主要な役どころを自身の側近で固める。そうすることにより、クラスの中心という座を確保するというわけだ」



17-3◆王の指名、脚本と演出◆

久条の勅命により、主要な配役は決まった。

だがまだその他の役、そして何よりも重要な裏方の役割が、残っている。


教室が、再びざわつき始めた、その時だった。

これまで静かに、その光景を眺めていただけの男。


天宮蓮司が静かに手を挙げた。

そのたった一つの動きで、教室の全ての音が消える。

全ての視線が、彼に注がれる。

彼はその視線を一身に浴びながら、太陽のような笑顔で言った。


「脚本と演出。もし誰もいないなら、俺がやってもいいかな」

その言葉に、クラスがどよめく。


(演劇の総責任者というTOPポジションとはいえ、王、自らが裏方をやると言うのか)

その答えは俺が以前、観測した記憶の断片の中にあった。


俺の脳裏に、あの時の思考残響が蘇る。

【Memory Fragment Playback: バスケ部・ロッカールーム】

松川「今日の練習もキツかったなー」

天宮の声「ああ。だがこの挑戦する感じ。悪くない」

中河「文化祭もどうせならそういうのがいいよな」

天宮の声「…そうだな。もし演劇をやるならどんな役割があるんだろうな?」


(…そうだった)

俺は思い出す。

(超多忙なはずのこの男は、演劇というクラスが一致団結する行事に、参加したがっていたのだ)


だが天宮の次の言葉が、そのどよめきを驚愕へと変えた。

「そして、俺一人じゃ、荷が重い。だから音無くんにも手伝ってほしい」

「俺と音無くんで、一緒に演出と脚本をやろうよ」


その一言。王からの直接の指名。

俺の思考は、完全に停止した。

スカウターが、意味不明のエラーを繰り返す。


(なぜだ?なぜ俺を?)

(こいつは、一体何を考えている?)


だが王の一言は、絶対だった。

「異議のある者はいないな?」

烏丸のその問いにクラスの誰もが、首を縦に振る。


いや、振るしかないのだ。

王の意思に逆らえる者など、この教室には存在しない。

こうして俺と天宮が、この演劇の最重要な立場、演出と脚本を担当することが決定した。

あまりにも唐突に。

そしてあまりにも、一方的に。


ミラー:「…おい奏。どういうことだ。これは、お前の脚本にはなかったはずだ」

奏:「…ああ。完全に想定外だ。だが…」

ミラー:「そうだったな」

俺の口元に冷たい笑みが浮かぶ。

奏:「もともと俺も高校生活に色のついた思い出が欲しくて、あれだけ必死に演劇を押したんだ。望むところだ」

奏:「最高の舞台じゃないか。王と二人で脚本を書く。これ以上のゲームはない」

ミラー:「はっ。お前らしいな。その狂気」


奏はクラス全員に向けて発言する

「天宮くんと一緒にやれるなんて光栄だよ。僕でよければやらせてくれ」

天宮「よろしく頼むぜ!相棒!」


そのあと、天宮が久条へと向き直った。

「亜里沙。君には、舞台監督を任せたい。君なら最高の舞台を作れる」

「ええ。望むところよ、天宮くん」

久条は、完璧な笑顔で頷いた。

その瞳の奥で、俺への警戒の炎が燃えているのを、俺は見逃さなかった。


その後は、早かった。

天宮と久条、王と女王の的確な指示によって、

大道具、小道具、衣装、メイク、音響、照明、予算管理、広報

全ての裏方作業のざっくりとしたチーム分けは、順調に決まっていった。


俺たちのクラスの新しい物語。

その配役は、ほぼ決まった。


そして、俺はその脚本を王と共に、書くことになったのだ。

この教室リーグで、最も予測不能な共犯者と。


**********

【演劇『現代版高校ハムレット』配役キャスト&スタッフ一覧】

◆主要キャスト◆

ハムレット(主人公の高校生): 柴田 隼人

オフィーリア(ヒロイン): 結城 莉奈

クローディアス(ハムレットの叔父/敵役): 松川 大志

ガートルード(ハムレットの母): 桜井 恵麻

ホレイショー(ハムレットの親友): 斎藤 律

レアティーズ(オフィーリアの兄): 中河 大剛

ハムレットの父の部下: 山中 駿平

ポローニアス(オフィーリアの父): 町田 忠道

ローゼンクランツ(ハムレットの幼馴染/スパイ): 小原 昇

ギルデンスターン(ハムレットの幼馴染/スパイ): 倉貫 丈統

亡霊(ハムレットの父): 平島 崇


◆スタッフ(裏方)◆

脚本・演出: 音無 奏 & 天宮 蓮司

舞台監督: 久条 亜里沙

大道具/小道具/衣装/音響/照明/予算管理/広報

その他クラスメイト

**********


17-4◆女王の配役、そして聖女の決断◆

天宮と久条のその的確な指示によって、クラス全員の役割は順調に決まった。


クラス全体が演劇の成功という一つの目標に向かって、動き出したかのように見えた。

その時だった。

久条亜里沙が満足げな笑みを浮かべながら、パンと手を打った。


「待って。まだ一つだけ決まっていない配役があるわ」

彼女のその声に教室が再び、静まり返る。

「オフィーリアに仕える侍女の役よ。主役である莉奈の悲劇的な美しさを引き立てるための、目立たず、それでいて、儚い雰囲気の人が必要だわ」


久条亜里沙にとって、その提案は悪意ではなかった。

ただ完璧な舞台を作り上げるための論理的な配役だ。


誰がその役にふさわしいか。

久条の視線が、結城の隣に座る取り巻きの美尾敦子を一瞬だけ、捉える


(莉奈といつも一緒にいる…美尾さん?いいえ違うわ)

久条の思考は即座にその可能性を切り捨てた。

(彼女はあまりにも「陽」の気が強すぎる。侍女にしては少し派手な印象。

彼女が隣に立てば、莉奈の悲劇性が薄れてしまう。それにただの仲良しごっこに見える。それではダメ。最高の舞台にはならない)


久条の視線が、教室の隅へと向かう。

白瀬ことり。


(…ああ、いたわ。彼女が最適任だわ)

(あの存在感の薄さ。人形のような無表情。そして影のような雰囲気。彼女が莉奈の隣に立てば、莉奈の輝きは、より一層、増すでしょう)


久条にとって、それは悪意でも罠でもない。

最高の舞台を作るためのただの論理的なキャスティング。

最高の絵画を完成させるために、最もふさわしい色をパレットから選ぶ。

ただそれだけのことだ。

その絵の具に感情があるなどとは、彼女は一ミリも考えていない。


「この役に、最もふさわしいのは白瀬ことりさん。あなたしかいないわ」

その久条の純粋な問い。

しかしクラスメイトたちは、それを「公開処刑」だと受け取り、息を呑んだ。


俺の脳内にミラーの声が響く。

ミラー:「…きたな。女王の無意識の残酷さだ。どうする奏。助けに入るか?ヒーロー」

奏:「…黙れ。俺は今ただ観測するだけだ。彼女自身の選択を」


クラス中の視線が、ことりに突き刺さる。

誰もが、彼女が拒絶すると思っていた。

そして数秒の沈黙の後。

ことりは、静かに立ち上がった。


だが彼女は久条ではない。

教室の対角線上にいる俺のその真っ直ぐな瞳だけを、見つめてこう言ったのだ。

その声は、小さくしかし凛とした響きを持っていた。


「…やります」

「その役、私がやらせていただきます」

その一言にクラス中がどよめく。

久条ですら一瞬だけ、驚きの表情を浮かべた。


そして俺の心は、激しく揺れ動いていた。

(…なぜだ?白瀬は演劇の役を、引き受けるような性格ではないはず…)

(どういうことなんだ?俺は、ますます彼女がわからなくなった)



17-5◆二人の王との統括責任、そして最初の軍議◆

その日のホームルームのあと、

俺と天宮、そして久条の三人は教室の隅で最初の会議を開いていた。

この演劇という名の王国を支配する三人の王。


その最初の軍議だ。

口火を切ったのは天宮だった。


「さて三人で進め方の確認をしておこうか。まず俺が全体の予算とスケジュール管理、

それから先生や生徒会との交渉を担当する。演出等クリエイティブも俺が責任を持つ。脚本は俺と音無くん共同で完成させる」


彼は自らが「制作・演出」のリーダーであることを宣言した。

次に彼は久条へと視線を向ける。

「亜里沙には舞台監督をお願いしたい。稽古の進行管理と本番のキュー出し。現場のリーダーは君しかいない」


「ええ。望むところよ」

久条は完璧な笑顔で頷いた。その視線の奥に一瞬、俺は計算の影を見た──気がした。


そして最後に天宮は俺を見た。

「そして音無くんには、舞台技術の全てを任せたい。大道具・音響・照明・衣装など。この劇の世界観を作るのは君の役目だ」


「…分かった」

俺は短く答えた。


ミラー:「面白い役割分担だな。王と女王、そしてお前。三頭政治の始まりか」

奏:「ああ。だが、この協力関係がいつまで続くかな」


天宮、久条、そして俺。

三つの力がひとつの舞台を創り上げる──

だが、王たちの間に永遠の平和など存在しない。

その危ういバランスの上で、俺たちの文化祭の準備は始まった。



17-6◆影の王の推理◆

ある日の夜、静かな公園。

ブランコがきしむ音と、遠くの蝉の声だけが響いていた。

ベンチに並んで腰掛けたのは、洛北祥雲高等部バスケ部の一年生エース・長峯昌吉と、その兄貴分である轟木剛造。


互いに無言のまま、缶ジュースのプルタブを開ける。

轟木「……なあ、昌吉」

長峯「はい?」

轟木「お前、高校に入学したとき……俺、なんて言ったっけ?大事なことを言ったよな?」

長峯は少し考えて、素直に答える。

長峯「……奨学金のことは、誰にも言うなって。口外しない方がいいって言われました」

轟木「理由も言ったよな?」

「はい。この学校には、ちょっとそういう偏見が残ってるって。轟木先輩自身、苦労されたって……」


轟木は缶を傾けたまま、ゆっくりとうなずいた。

轟木「じゃあ改めて聞くけどさ。……お前、自分が奨学金で入ったこと、誰かに話した?」

長峯「……いえ。一度もないです」

轟木「親からは何か?」

長峯「親は……『自慢になるようなことじゃない』って。入学直後にきつく言われました」

轟木「そうだよな」


轟木はしばらく何も言わず、ジュースを飲み干した。

空になった缶を足元に置き、少し遠くの空を見つめる。


轟木「じゃあさ。なんで三好が、お前のこと『奨学金野郎』って言ったんだろうな」

その言葉に、長峯の表情がわずかに曇る。


長峯「……たしかに。おかしいですね。絶対に知られてないはずなのに……」

轟木「じゃあ、誰かが漏らしたってことだ」


轟木は真剣な眼差しを長峯に向けた。

轟木「お前、あのとき、三好に絡まれた場所……覚えてるか?」

長峯「ええ。一年校舎から、バスケ部専用体育館へ向かう途中の渡り廊下です」


轟木「その場にいたのは誰だ?」

長峯「三好先輩と、取り巻きの二人。それから……」

長峯はそこで言いよどむ。

長峯「……ああ、音無先輩が来て、助けてくれました」



轟木「音無……」

轟木は静かに繰り返した。頭の中で、複数の記憶を照らし合わせていく。


轟木「音無って……二年の四組だよな。三好も二年四組」

長峯「……あ、そうなんですか」


轟木「なのに、なんであの時間に、一年校舎の渡り廊下にいたんだろうな」


長峯は一瞬、黙り、答えに詰まる。

長峯「……さあ。僕には……」


轟木はゆっくりと立ち上がり、ポケットからスマホを取り出した。

スマホに収めた写真を探しながら、心の中では疑惑が膨れ上がっていく。


(やっぱり、何かがおかしい)

(あいつ……音無奏)


轟木「みてくれ。メモ書きだ。お前が奨学金野郎だって内容が、三好の机に入ってたらしい」

長峯は言葉を失った。

数秒の沈黙ののち、小さく呟くように思い出す。


轟木「二年四組の人間が、同じ時間にたまたま用事があるはずのない一年の渡り廊下にいた。……それって何となく不自然じゃないか?」


長峯は黙る。

轟木はさらに、釘を刺す。


轟木「なあ昌吉。お前、音無や三好と話したときのこと、思い出してみてくれ。何か気になること、言われなかったか?」

長峯「気になること……?」

轟木「例えば、“なんでそんなこと知ってるの?”って、思ったことはなかったか?」


長峯は少しのあいだ、考え込むように目を伏せた。

やがて、はっとしたように口を開いた。


長峯「あ……一つ、ありました」

轟木「なんだ?」


長峯「音無先輩……最初に話しかけてくれたとき、こんなこと言ってました」

長峯「“俺も奨学金でこの学校に来ているんだ。だから君みたいな努力家は、つい応援したくなる”って」

その言葉を聞いた瞬間、轟木の中で、点と点が線になった。


長峯「でもこないだ助けてもらった……あのときのこと、ずっと感謝してます」

轟木「俺もそう思いたい。けどな……」


音無、やはりお前は知ってたのか???

轟木は缶コーヒーを一口だけ飲み干し、夕陽に目を細めた。

冷えた空気の中で、心の奥がふつふつと熱を帯びていく。


轟木「……ありがとう、昌吉。助かった」


長峯「え? あの、何か……」


轟木「いや、何でもねぇよ…悪いな、昌吉。ちょっとスッキリしただけだ」


轟木が立ち上がり、缶コーヒーをゴミ箱に投げ入れた。

答えの代わりに、轟木はただひとつの感情を胸に刻んでいた。

第十七話をお読みいただきありがとうございます。

作者の京太郎です。


今回は文化祭の演劇『ハムレット』の配役が決まるお話でした。

キャラクターたちが、それぞれ現実の彼らとリンクするような皮肉な役を与えられています。

果たして、彼らは舞台の上でどんな顔を見せるのか。

作者自身も今から楽しみです。


全ての配役は決まった。

次回第十八話から、はいよいよ演劇の練習が始まります。

観測者と太陽。二人の王が共同で脚本を書くという異常事態。

そして女王が舞台監督として、全てを監視する。

この奇妙な劇団は果たして、無事に本番を迎えることができるのか。

波乱の稽古が今始まります。


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よろしくお願いします。

皆様の声が何よりの力になります。


それではまた次の話でお会いしましょう。

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ミラー(Mirror)

所属:不明

キャッチコピー:

《“透明な相棒”/冷徹なるナビゲーター》

■ 概要

ミラーは、音無奏にしか見えない謎のAIチャットのような存在。

奏の視界にだけ浮かぶ、透明なスカウター型インターフェースを通じて現れ、

テキスト形式で“会話”を交わすことができる。

外見や声はなく、実体は存在しない。

ただ奏の視界の片隅に、薄く光る文字が現れるだけ。

その匿名性と合理性から、まるで“未来のサポートAI”のような印象を与える。

■ 会話形式

ミラーは音声ではなく、透明なホログラム状のスカウターボードにテキストで表示される

奏だけがそのやり取りを見ることができ、周囲の人間には一切感知されない

テキストは常に短く簡潔で、論理的。冷静なアドバイスから皮肉めいたコメントまで幅広い

インターフェース上ではミラーからのレスポンスだけでなく、

奏自身の思考や問いかけもテキスト化されているため、

**「内面のチャット」**のように見えるのが特徴

■ パーソナリティ

論理優先型:冷静かつ分析的。常に最適解を優先する

皮肉屋:軽口を叩くこともあるが、決して無意味なおしゃべりはしない

感情の余白:徹底的に合理的でありながら、ときどき人間らしい“優しさ”や“迷い”を見せることがある

この「AIっぽいのにAIらしくない」絶妙な立ち位置が、ミラーの不気味さと魅力を両立させている

■ 奏との関係

奏にとって、ミラーは「もうひとつの頭脳」であり「もうひとりの自分」

奏がスカウターから問いかけると、やり取りが開始される

教室リーグや策略戦では、奏の思考とミラーの解析がセットで機能するため、

まさに二人三脚のような関係

ただしミラーはあくまで「提案」をするだけで、最終的な決断は奏に委ねられている

時折、奏の選択に異議を唱えることもあり、まるで“意志を持つ存在”のように振る舞う

■ 物語における役割

① 戦略ナビゲーター

奏が使うスキル〈観識〉と連動し、状況を解析

クラス内の人間関係や心理状態をデータ化し、戦術的アドバイスを提供する

あくまで情報と最適解を提示するだけで、「行動するかどうか」は奏次第

② 内面との対話装置

ミラーは、奏の弱さ・臆病さ・葛藤をあぶり出す存在

「どうする?」「お前ならできる」など、短いテキストで読者の心にも響くセリフを投げかける

ミラーとのチャットは、奏の心理を映す“鏡”であり、同時に読者に状況を解説する“ガイド”でもある

③ 謎の象徴

ミラーの正体は物語の大きな謎のひとつ

外部からの干渉なのか、奏の内面が作り出した擬似人格なのか

物語を追うにつれて、その答えが少しずつ見えてくる

■ プロフィール総評

ミラーは、**「AI」でもあり、「相棒」でもあり、「謎」**でもある。

奏にしか見えない透明なチャット相手として、彼の戦略思考を補佐しつつ、

時に挑発し、時に支え、時に翻弄する。

物語の進行とともに、この存在が“ただのAI”ではないことが少しずつ明らかになっていく。

しかし読者が最初に触れる印象は、あくまで 「透明なチャット相棒」 である。

《MIRROR ONLINE》

『状況分析完了。──さて、相棒、次はどう動く?』

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