表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

仲間と共に

アパートに戻る。

行く時は注意して見なかったが、外側からアパートを見ると若干傾いている。気のせいではなかったのだと気づく。気づくと同時に三階の自室に戻るのが恐怖だ。ショッピングモールの宙ぶらりんの車を思い出してしまう。倒れんうちにダッシュで三階まで上がり、タオルで濡れた髪をくしゃくしゃにしながら必要最低限の物だけ取って出てきた。駐車場は少しく離れた場所にあるのでそこまでタオルほっかぶりまたもやダッシュで駐車場へ。

群馬から帰ってきた時に入れとけば良かったな。

ガソリンの燃料タンクはあと2目盛りを切っていた。


とりあえず避難所へ。

思った以上に人が集まっていた。そりゃそうか。岩手の地元の部落じゃあるまいし。

避難所で集まってる人は名前を記入してくれとの事だったので、集まった仲間数名で名前を記入しに行く。すぐ側でケータイの充電器やケーブルの貸し出しをしてるようだったがどこにも足りない。車で充電すりゃいっかな、と思ったが、目盛り2を切ってることを思い出した。なるべくここで充電しとこうと思ったがまだまだ順番は回ってこなそうだ。

ケータイの電波は圏外。公衆電話に頼るしかない。とりあえず実家だな。そう思って通り向かいの公衆電話を見ると人集りが出来ていた。

何処か他の場所をと仲間に話す。


今は何処の公衆電話もあんな感じですよ。俺もここに来る前、コンビニ前通ったんですけど、ヤバいっす。つうか、コンビニ内で暴動起きてましたよ。


コーダイがニヤケながら話す。危機感ねぇなぁと思いながら、それでもなんだかそのいつも通りが逆に落ち着く。不思議だ。

水と乾電池とケータイの充電器が真っ先に売り切れたらしい。ドアに挟まれながら入ってくる客を何とか押し出し、店員が自動ドアを半ば強引に閉めたという。


世紀末だな

そのうちラオウとケンシロウ出てくるんすか

俺の一言にツッキーが良いタイミングで乗ってくる


クリキンがライヴしてくれるとかね

避難所がライヴ会場すか?さすがにこのタイミングはきついっす

ライヴと言えばM.Jのライヴ映像また観たいっすね!あの不動の1分かっこ良すぎっす!


ツッキーもほんと緊張感ない。この調子で焼き鳥焼いてたなぁ


あんたら緊張感持ちなさい!


仲間のなかでたった1人の肝っ玉姉さんが活を入れる


配給始まったみたいっすね。俺行ってきます


一番落ち着いた焼き鳥名人ぐっさんが、やんややんやしている俺とコーダイ&ツッキーの話を横目にニコニコしながら配給のおにぎりを颯爽と取りに行く


俺達年長者が一番ガキっぽいな


俺がツッキーに言うと


いや、一番は兄さんっす


と笑いながら返してきた。反省。


時刻は8時を回っていた。

避難所の中は目一杯で、外で配給のおにぎりとお茶を頂くことになった。

副都心とは思えない程暗く、あるのは吸い込まれそうな天然のプラネタリウム。


こんなに星が綺麗だったんだね


姉さんがボソッと言う


詩人かよ

似合わねぇ

一番意外な人から出たな


皆からからかわれる姉さん


いや、でもマジでスゴいっすよ


そう、コーダイが言うと、皆黙っておにぎりを頬張りながら夜空を見上げる


姉さんには悪いと思いながら、色々な思いが夜空に吸い込まれていく

雪を降らせていた厚い雲は、そこには一切なくなっていた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ