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世紀末

玄関を開ける

日中出払っているからか、アパートはいつも通りだ

アパートの階段を下りる

いつもより傾いている気がする

そんな気がする

下りてみて、初めて遭遇する光景に足が止まった

隣の蕎麦屋の瓦屋根が落ちている

ガラスが割れ道路にヒビが入り隆起している

世紀末

と呟き職場へ向かう

車の警報音が至るところで鳴っている中、さんびぃと呟きながらポケットに手を突っ込み歩いていく

道中、車が走ってはいたが、いつも通りの速度ではない

ゆったり周囲を眺めながら走る車。それを煽るように走る車。追い越しを掛けるが隆起した道路がそれをさせない。

途中まで歩くと、全面ガラス張りの美容室のガラスが車道に飛び散っていた。いつもなら、店の中に居る人と目を合わせてしまいそうになり、恥ずかしそうにあらぬ方向を見て通りすぎる店だが、この時ばかりはまじまじと見て通りすぎる。職場まであと半分。

その時目に飛び込んできたのは、この街一番のショッピングモールの駐車場の屋上まで続く通路である。

車の後輪部分から下の通路が崩れ、前輪と腹部で何とか持ちこたえている車が目に飛び込んできた

どうやら人は居ないようだ。居たとしても助けられん。が、居たら居たで救いに手助けしに行くだろう。ホッとした。

ショッピングモールの駐車場には、避難している人達が処狭しと居るのを横目に、もはや体を成していない信号機を見ずに道路を渡る。

駅前近くの焼き鳥屋チェーン店。職場に到着。外に避難していた社員達から、今日はお休みで、今はとにかく家族の事を優先してください!と言われる。ただ、何処にも行きようがない。ケータイも繋がらず、岩手に居る親にも連絡する術がない。すると、従業員が何人か集まりだし、避難所の事を教えてくれた。

とりあえず車を取りに行ってから避難所集合ということになった。避難所は職場から歩いていける距離だから、駐車場も使わせてくれるという。

来た道を戻る。

ハラハラと舞っていた雪は勢いを増し、シャワーで濡れた髪を更に濡らす。

これからどうなるんだろう。

呆然と空を見上げる。

分厚い雲が空を覆っていた。

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