x.x.時を探す
その日、王城はとてもピリピリしていた。
年明けとは言え王城は休みではない。帰省している者も当然いるが、それ以上に人が多く残っている。
「……」
そんな残っている人たちは、王城の部屋と言う部屋に散り散りになり、外を眺め耳を澄ませていた。
地平線は明るくなっているが初日の出はまだ、それでもあと数十秒もすれば今年の始まりを示す日が昇る。
そしてそれを待たず、王城以外でも人々は既に動き出している。普段よりは静かだがそれでも街には人影があり、きっと城門では外に出て行く冒険者や商人が居るだろう。
そんな彼らを祝福するように日は登る。当然、天気によっては見れない年もあるがそんな年は数年おき。
快晴の今日は大切な儀式になる。
遠い過去の正確な時間が無かった中、迷い人により作られ、発展に多大な貢献をした儀式。
――カーン
「!!」
どこかから鐘の音が響いてきた。その瞬間、目の前の置き時計の針を確認する。
――7時
慌てて時計を確認するが、時間のずれは無い。いや、秒単位はずれているだろう。けれどこの時計にはそこまでの精度は求められない。
今、ここ以外でも城のいたるところで時間を確認している。1年を問題なく過ごせるかがかかってる重要な儀式。
そしてその儀式の中心は城の尖塔だ。今見ているなんちゃってではない、正確な時間を示そうと3つある時計を弄っているはずだ。
初日の出の時間を7時として、時を計る大切な時計。
正確な時間を示す大切な時計。
その校正を行う勝負の数分間。
これからまた1年、天気によっては2年、運が悪いと3年、休むことなく動き続ける。
――カーン、カーン
少し経つと再び鐘の音が響いてきた。
日が昇り切った事を示す合図。
勝負の数分間が終わる合図。
儀式が終わり、日常に戻る合図
その合図が広がると、王城の緊張が解けて行く。
「(7時2分、いや、3分ぐらい)」
時計を見ると、人の喧騒も緊張も無視して動き続けている。耳を澄ますと、カチ、カチと音が聞こえる。
けれどそんな静かさもすぐ消え、通路の方からパタパタと足音が響いてきた。
大切な儀式が終わり、今年の始まりを告げる足音。
「(今年も頼むぞ)」
休むことない仲間に優しく手を置くと、カチ、カチと小さな返事が返された。
あけてましたおめでとうございます。
誰も来ないような場所ですが静かに続けていきますので、趣味に合いましたら追いかけて頂けると幸いです。




