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【3節終了】『英雄たちの愛娘』  作者: 西日爺
3節 天才と凡才

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x.x.時を探す

その日、王城(サイシア)はとてもピリピリしていた。

年明けとは言え王城は休みではない。帰省している者も当然いるが、それ以上に人が多く残っている。

「……」

そんな残っている人たちは、王城の部屋と言う部屋に散り散りになり、外を眺め耳を澄ませていた。

地平線は明るくなっているが初日の出はまだ、それでもあと数十秒もすれば今年の始まりを示す日が昇る。

そしてそれを待たず、王城以外でも人々は既に動き出している。普段よりは静かだがそれでも街には人影があり、きっと城門では外に出て行く冒険者や商人が居るだろう。

そんな彼らを祝福するように日は登る。当然、天気によっては見れない年もあるがそんな年は数年おき。

快晴の今日は大切な儀式になる。

遠い過去の正確な時間が無かった中、迷い人により作られ、発展に多大な貢献をした儀式。

――カーン

「!!」

どこかから鐘の音が響いてきた。その瞬間、目の前の置き時計の針を確認する。

――7時

慌てて時計を確認するが、時間のずれは無い。いや、秒単位はずれているだろう。けれどこの時計にはそこまでの精度は求められない。

今、ここ以外でも城のいたるところで時間を確認している。1年を問題なく過ごせるかがかかってる重要な儀式。

そしてその儀式の中心は城の尖塔だ。今見ているなんちゃってではない、正確な時間を示そうと3つある時計を弄っているはずだ。

初日の出の時間を7時として、時を計る(刻む)大切な時計。

正確な時間を示す大切な時計。

その校正を行う勝負の数分間。

これからまた1年、天気によっては2年、運が悪いと3年、休むことなく動き続ける。


――カーン、カーン

少し経つと再び鐘の音が響いてきた。

日が昇り切った事を示す合図。

勝負の数分間が終わる合図。

儀式が終わり、日常に戻る合図

その合図が広がると、王城の緊張が解けて行く。

「(7時2分、いや、3分ぐらい)」

時計を見ると、人の喧騒も緊張も無視して動き続けている。耳を澄ますと、カチ、カチと音が聞こえる。

けれどそんな静かさもすぐ消え、通路の方からパタパタと足音が響いてきた。

大切な儀式が終わり、今年の始まりを告げる足音。



「(今年も頼むぞ)」

休むことない仲間に優しく手を置くと、カチ、カチと小さな返事が返された。

あけてましたおめでとうございます。

誰も来ないような場所ですが静かに続けていきますので、趣味に合いましたら追いかけて頂けると幸いです。

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