62.天才と凡才
リリアはそのまま個室から出て行くと帰ってくる事は無かった。エリスも慌てて付いて行き、ハジメは1人取り残される。
動揺しながらも追いかけるがリリアは居らず、どこかへと消えてしまった。
話をしようとリリア達の部屋に行くも不在で、どこに居るか一切分からない。
夜の暗闇の中、1人になったハジメは誰を頼る事も出来ず自分の部屋に戻る。頬に響く痛みを感じながら寝る事も出来ず、暗い部屋の中で1人静かに座り込むしか出来なかった。
「リリア?」
翌日、朝一にリリア達の部屋へ向かうもまだ不在。冒険者になり夜更かしや寝不足でも動けるようになった体だが、それでも徹夜は未経験。ふらつく頭で無理矢理動かして、心当たりがある場所を探す。
「リリア?来てないぞ、何かあったのか」
ギルドに居たオルビの言葉は頭で理解はするものの心では理解できず、それでも足は止まらずに心当たりを探す。
「ハジメ君おかえり、隊商レイド終わったのね。リリア?見てないよ」
武具屋に向かうも居らず、ソフィラからも何も聞くことは出来ない。頭がふらつきながらも前に進むが、リリアが居そうな場所の心当たりなどほとんどない。
「リリア?ハジメと一緒に居たんじゃないの?」
アスティア達さえも知らない。何一つ情報が無い中、ただ走り続ける。
「……」
孤児院、お墓、まだ空いていない食事処。リリアと行った事のある場所を回るが見つからず、リリアに拒絶された事をより実感しダメージが増える。
そしてほぼ2年過ごしていたが、もう心当たりが無くなる程にハジメはリリアの事を知らない。それでも、どこかないかと心当たりを探し続ける。
「……あ」
絶望で止まりそうになる足を無理矢理動かし続けるなか、1ヶ所だけまだ行っていない場所を思いつく。多分居ない、けれど知っているかもしれない。
一縷の望みをかけて、その場所へと足を向けた。
「リリア?昨日は家に来ていたがそれがどうした。それよりもちゃんと寝れてるか?顔色悪いぞ」
「どこに行きました?」
「何で俺に聞くんだ。本人に会って聞けば良いだろ」
顔色の悪いハジメに驚くも、グレンはさも当然と言った感じで答える。リリアが来た、その事に安心するもどこか拒絶された気がしてしまい余計に落ち込む。
グレンも2人の様子がおかしい事に気付いてるのだろう、心配そうにする。
「リリアの様子もおかしかったし、何かあったのか」
「……」
グレンの言葉にハジメは何も返せない。自分が何をしたのか分かっておらず、何に怒ったのかも、拒絶されたのかも分からない。
拒絶された事が心に堪え、受け入れていない。
「ハジメさん。その状態で動いても良い事にはなりません。何があったのか話してください」
動けないハジメはリズウェルの追及に何も言えない。しかし2人はそれ以上強く追及せず、ハジメの言葉を静かに待った。
「分からない、です。一緒に食事をしてる最中にリリアが怒って、そのまま居なくなったので」
「……」
リリアとハジメが一緒に食事をしていた、という事にグレンが何とも言えない表情になる。けれど何とか堪えるとその先を確認する。
「それで、何を言ったんだ」
「……今度のBランクの昇格試験を受けないのか、と」
自分の言葉で頬にあった痛みがぶり返しながらその時の事を思い出す。少しだけ空気が変わった気がするが、気にする余裕はない。
「リリアが昇格試験をためらってるように見えたから、背中を押そうとしたら居なくなりました」
「何て言ったんだ」
ハジメがまるで自分の罪を懺悔するかのように呟くと、グレンが少し怒りを込める。深く息を吐いてその時の痛みと記憶を鮮明に思い出す。
「リリアぐらい才能があるならBランクぐらい簡単だよ。Aランクだって行けるはずだ、と」
ハジメが呟くと部屋の温度が下がった気がした。それほどにグレンとリズウェルが怒り、その圧に背筋が凍る。
「……リリアがキレて当然だ」
「え」
グレンが絞り出した言葉にハジメは困惑する。しかしグレンは怒りを込めてハジメを睨みつける。
「皮肉か?嫌味か?喧嘩売ってると思われても仕方無いぞ」
「な、何でですか。あれほど実力があるんですから、昇格出来るはずです」
ハジメの困惑も気にせずグレンの怒りは増していく。視線で人を殺せるかもしれない。その視線が理解できずハジメの困惑も増していく。
「グレンさんはリリアの才能を疑ってるんですか?あれほど強いんですよ!」
ハジメの言葉を聞くと、リズウェルまでもが怒りながら見つめて来た。睨まれている、そう感じてしまうほどの視線だ。
「ハジメさん。あなたはリリアちゃんの何を見てきたのですか?」
「そんなの、強さの才能です。だからこそリリアの才能を信じて――」
「リリアちゃんに才能はありません」
ハジメの言葉を遮ったリズウェルの言葉にハジメは固まる。けれど言葉の意味を理解すると睨み返した。
「何を、言ってるんですか。あれほど才能あふれた人が他に居るとでも!」
「ハジメさん。本当にあなたはリリアちゃんの何を見てきたのですか?」
もし武器を持っていたらハジメは殺されていた。そう思ってしまうほどのリズウェルの怒りに怯える。よく見ると、リズウェルから冷気が零れだしている。
流石にまずいと感じたのか、グレンが止めようとする。
「リズウェル、少し落ち――」
「グレンさんはちょっと黙って。ハジメさん。リリアちゃんの才能って何ですか」
リズウェルの丁寧な言葉。しかしそこから隠せない程の怒り感じる。下手な事を言ったらその場で殺されそうな圧を浴びながらも、リリアを否定された怒りをぶちまける。
「あれほどの技量と頭脳です。俺の力を対処して圧勝するのは才能でしょう!」
「あの技量に才能はありません。頭脳も、時間を積み重ねて作った物です。ハジメさんの言う才能は、血の滲む努力と苦労、そして絶望で積み上げた経験です」
「……」
リズウェルの否定に何も返せない。そして言葉はそこで終わらなかった。
「だからリリアちゃんはAランクには上がれません。A-ランクも厳しいでしょう。あなたはそんな相手に、何の根拠もない事を言ったんです」
「……えっ」
リズウェルの言葉に困惑する。何を馬鹿な事を、ハジメの思いはリズウェルの真剣な眼差しに否定され混乱が広がる。
「リズウェルの言葉は事実だ。リリアにAランクは無理だ」
グレンの辛そうな追い打ちにハジメの怒りは強い混乱へと変わる。その事に気付くことも出来ず、心に広がった言葉を形にする。
「何で、そんな事を言えるんですか。リリアはずっと頑張ってるはずです!」
「頑張ってもどうしようもない事があるんだ」
グレンは呟くと、ハジメの腰にあるロングソードに目を向ける。持っていないと落ち着かない、ハジメにとっては生きるための力だ。
「ハジメの武器はロングソードだな」
「は、はい、そうですが」
「リリアの武器はショートソードの2刀。これは冒険者にしてはかなり珍しい。リリア以外に使ってる人を俺は知らない。何故か分かるか?」
グレンの質問にハジメは答えを返せない。一瞬、頭に答えは浮かぶがそれから目を逸らそうとする。しかしグレンは目を逸らさずハジメを見つめる。
「簡単に言うと威力の差だ。武器は大きい方が破壊力がある。ナイフよりショートソード、ショートソードよりロングソード。もっと大きいなら、ライファの持つような巨剣だな」
「それが、一体」
「目を逸らすな。リリアは重い剣を、ロングソードを振れない。力が弱いんだ」
「でもあんなに高く相手を放り投げてますよ」
「あれは技術だ。相手の勢いを逸らし、投げれるように必死に修練したんだ。訓練でぶつかれなくても戦えるようにな」
どこか気づいていた、けれど目を逸らしていた事実を突きつけられる。
リリアと色んな所に行き色んな経験をした。そんな記憶の中でもリリアは力を求められると辛そうに避けたり、出来ずに他の人に任せていた。例え出来たとしても疲労で動けなくなる程に無理をしていた。
少しずつ見えてくる答えに、ハジメは受け止められずにいる。
「それで、ハジメはさっきAランクも行けると言ったな。覚えてないかもしれないがAランクには討伐目標がある。技術でどうにかなる目標もいるが破壊力が要る目標も居る。つまり、リリアには討伐出来ない目標が居るんだ。分かるか?リリアはAランクにはなれない」
ハジメは何も言えず、目線を落とす。しかしグレンは許さない。
「それでも諦めずリリアは努力だけで今の実力を付けた。絶対に超えられない壁を越えようと努力し、そして超えられずにな」
グレンはもうハジメの言葉を待たない。叩きつけられる言葉は、ハジメは頬の痛みを超えてぶつかり続ける。
「リリアの才能ではBランクが限界だ。ならハジメの言う才能って何だ?実力か?もし強かったら、全て才能か?」
「……」
ハジメは呆然とすることも許されず、心にナイフを刺し続けるように衝撃を与え続ける。
「リリアは才能に負けたんだ。努力でもどうにもできない部分にな」
グレンの言葉にハジメは何も言えない。そしてその言葉の意味を理解しようとして気づいてしまう。
だからこそ、言われたくない言葉を言われる。
「それで、だ。ハジメ。お前はどうだ?」
「……」
話題が変わった事で顔を上げる。そしてグレンと顔を合わせると、言葉の意味をゆっくりと理解して、恐怖と絶望が浮かんでしまう。けれどグレンは気にせず言葉を続ける。
「才能と言う意味ならハジメには力が、弱い部類とは言え剛力があるな。Bランクに必要な頭脳も持ってきている。このまま積み重ねて行けばAランクを目指せる才能がある」
「……」
「だがリリアには無理だ。才能がない。リリアもAランクを目指していたが、無理だ。リリアもそれが分かっているが諦めきれずに足掻いている。Bランクの昇格試験は受けていないが推薦を取り消していないのがその証拠だ」
話し始めた時点でハジメはとっくに察している。けれどその事から目を逸らそうとしていた。
「そもそもなんでAランクなんてものがあると思う?Bランクで十分と思った事は無いか」
「それは……」
グレンの言葉にハジメが悩む。
そもそも実力だけならCランクが高い実績と能力の証明になっている。そこにBランクと言う知識を求められるランクが付いたのだから、それ以上を求める必要はない。
ハジメが答えを出せずに悩むと、グレンはその答えを示す。
「Aランクは責任の強い特権階級なんだ。CランクやBランクでも責任が付いて回るが、Aランク程ではない」
グレンの言葉にハジメが困惑する。
「Aランクになるとギルドからの危険特別依頼、つまり大災害などの発生、町や国に多大な危険が及ぶ魔物や魔獣が発生した時に優先して対応する責任が発生する」
「何ですかそれ……」
グレンの言葉にハジメがやっと言葉を発する。けれどグレンの言葉はそこで終わらない。
「その代わり、依頼の受注制限がなくなるんだ。アスティア達をおかしいと思わなかったか。あれだけの実力だ、旅の途中でお金に困るほど依頼を受けれないのはおかしいだろう」
「それは、そうですが」
アスティア達が王都に来た時、あれだけの実力があるのに困窮していた。アスティア達の悩みはまるで依頼を制限されているようだった。ハジメの考えを肯定するかのように、グレンが言葉を続ける。
「その地域で戦い続ける冒険者を保護するために、ギルドには流入冒険者の依頼の受注制限を認めているんだ。街から街へ移動して、割の良いクエストだけを奪っていく冒険者を防ぐためにな」
理由に気付くと、答えが少しづつ見えてくる。けれどその答えが信じられず、否定しようと言葉を探す。しかしグレンは許さない。
「分かるか?結局CランクやBランクじゃ人間としての信頼が足りないんだ。A-ランクでも信頼は充分あるが、それでも苦手があると言う事になる。対応できない魔物が居る、と言うランク。保険にはなるが、それには少し弱い」
グレンの言葉にハジメは何も返せない。静かに言葉を受ける。
「ただしAランクは別だ。Aランクの大変さや実力は冒険者なら分かっている。何かあった時は対応してもらえる最強の保険だ。だからAランクは理から完全に外れるんだ」
Aランク。リリアも目指していた力。その意味と重さにハジメが震える。その事にグレンは気づくと、しっかりと目を見て言う。
「Aランクになれるほどの冒険者なら人間性が信用できる。数多くの推薦があるのは、その地域の冒険者を守り、荒らさず、依頼を取り過ぎない。そう言う加減が出来る人間と理解してるからだ」
グレンの説明は心のどこかで理解を拒む。けれどそんな甘えは許されず、どんどん心に積み重なる。
「だから町によってはAランクに教育者としての専用の依頼を作ったりする。経験、知識、実力。全てが貴重でありがたい物だ。だからAランクと言う特例の階級が出来たんだ」
何を言われてるのか分かってくる。けれどそれを認められず、けれど聞いた言葉は心に留まり続ける。
「リリアにもそういう知識や理解もある。欲しいと言うギルドは多いだろう。しかしAランクになるためには求められる才能が圧倒的に足りない」
まるで心を殴られるように。まるで心を刺されるように。自分の無知が自分を叩き、何も言い返すことができない。
しかしグレンはそんな事をお構いなしに言葉を続ける。
「でもハジメ。お前は違うよな?剛力と言う力が生まれ、Aランクに必要な力を持った」
ただただ後悔が心を叩く。何も言えず、何も返せず、断罪を受け続ける。
リリアに何を言ったのか気づいてしまう。
「俺は才能と言う言葉が、天才と言う言葉が大嫌いだ。リリアの血の滲むような努力を見て来たからな」
グレンの思いは広がっていく。リズウェルはグレン以上に怒りをまといハジメを睨む。それを逃げる事も出来ず、ただ静かに受け続ける。
「自分より優秀だからと言い訳するための言葉。何もしない自分を正当化するための言葉。相手の人生を否定するための言葉。最低な罵倒」
言葉のナイフが飛び続ける。けれどそこに嘘は無く飛ぶ言葉は真実だ。文句を言う事も出来ない。自分が生み出した結果を受け止めるしかない。
「ハジメに分かりやすいように言ってやる」
心に刺さり続けた言葉のナイフは、もう刺さる場所は残っていない。それでも抉るように、押し込むように最後の一刺しが待っている。
「ハジメ。お前はリリアに、何て言った?」
――才能があるよ。
拒絶されて当然の言葉を言った。最低の罵倒と理解してしまう。
「俺は……」
だから何よりも。誰もよりも。
自分を許せなかった。
「切り殺しそうになりました」
ハジメを部屋から追い出した後、リズウェルはお茶を注ぎ気持ちを落ち着けるようにゆっくりと飲む。グレンも一緒にお茶を飲み落ち着かせる。
「リリアの努力や辛さを知ってるからこそ、絶対に許せない言葉だったからな」
それでも落ち着く事は出来ず、怒りでコップを砕く前に机に置く。
全てを諦め受け入れていた大人達と違い、リリアは両親が亡くなる最後の最後まで助かる道を探し、足掻き、足掻き続け、そして届かなかった。リリアの実力はその頃に積み重ねた絶望だ。
もしその絶望を大人達をぶつけていれば楽になっただろう。けれどそんな事もせず、抱えて壊れボロボロになっていたリリア。
その姿を知っているからこそ、大人たちはリリアが少しでも辛さを忘れられるよう接するようになった。
「本当です。なんでそんな事が言えるのでしょう」
両親が亡くなった時も1人で泣き、1人で落ち込み絶望する。それでも周りに心配させないよう、普段と変わらず笑顔を作っていたリリア。
救ったのはエリスの存在だった。丁度その頃にエリスを見つけ、出会い、作り笑顔ではなく本当に笑うようになり、リリアはやっと人らしく戻った。
だからこそリリアを守る、何も出来なかったグレンとリズウェルが決めた贖罪。
「危うくぶん殴る所だった。遮ってくれて助かったよ」
だからこそハジメの言葉に手が出そうになった。それほどに許されない言葉。リリアの人生を否定するような言葉にリズウェルが居なかったら殴っていただろう。
親友から預かった大切な愛娘。鳥籠の中の小鳥にする訳でもなく、荒野に放り出すわけでもなく、どこまでも対等に本当の娘のように扱い続けた夫婦。
「大丈夫ですよ。グレンさんが居なかったら、私があの場で切っていました」
だからこそリリアにハジメの事を頼み、その後も全て信頼して任せ続けた。
だからこそ何故ハジメがあんなことを言ったのか。そしてそんな事を言う人間をリリアの傍に置いてしまったのか。自分たちが許せなくなる。
それでも後悔することも絶望することも許されない。生き残った大人たちが背負わなければいけない約束がある。
「……リリアは多分、向き合うんだろうな」
グレンが辛そうにお茶を飲む。先ほどまでのように力を込めていない。諦めたような言葉にリズウェルは前を見る。
「リリアちゃんは強いですから。私達よりも、ずっと」
両親が亡くなって以来、どこか辛そうな雰囲気を抱えていた。けれどグレンにもリズウェルにも何も出来ず、リリアは笑顔を作り、辛さを隠し、心を殺してきた。
それがエリスと一緒の時は嬉しそうに抱きしめ、ハジメには怒りも不満も隠すことなく全てをぶつけるようになった。
そのおかげか、自然な笑顔に変わっていった。
アスティア達と出会ってからはより人らしく笑うようになり、感情を表に出すようになった。
大人達には出来なかった救いを子供達がリリアに与えた。
その事がとても嬉しく、少しだけ寂しさを残す。
「どう、なるんだろうな」
もう何も出来ない事にグレンはうなだれたまま言葉を零す。リズウェルは言葉を探し、お茶を飲み干す。
「分かりません。私達に出来る事は、リリアちゃんが最善と思える結果になる事を祈るだけです」
グレンはその言葉を聞くと、深く息を吐き出す。辛さも後悔も諦めも全て吐き出すと、残ったお茶を飲み干した。
「そうだな」
呟くとカランとコップを置く。響いた音はまるで後悔を消すかのように部屋に広がり薄まっていく。
リズウェルは空になった2つのコップを取ると、洗い場へと持って行きさっさと洗って拭き始める。濡れた手を拭くと何かを思い出す様に優しい微笑を浮かべた。
「グレンさん。2人に謝罪に行きませんか?」
「そうだな。2人が好きだったお酒でも持って、挨拶に行くか」
リズウェルの言葉にグレンも懐かしそうに笑う。すぐに戸棚から来客用のお菓子と隠してあったお酒、補修が目立つようになった布を取り出すと、リズウェルも上着を羽織り出かける準備を終える。
戸締りを確認すると頭に浮かんだ小さな墓石に、何を言うか言葉を探し2人で歩き出す。
「2人は何て返すかな」
「そんなの、愛娘の成長を喜ぶだけだと思いますよ」
「それもそうか」
返ってくるわけもない返答を想像しながら、大切な娘の未来を信じた。




