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【3節終了】『英雄たちの愛娘』  作者: 西日爺
3節 天才と凡才

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49.x.評価と怒りと男女と

食事会も終わり解散となった今、リリア達はギルド内の借りてる部屋へと向かっていた。外は暗く、もう寝るにも良い時間だ。満腹感と気疲れから来る疲労と睡魔に、あくびも出ている。

「……」

「アスティアったら、何落ち込んでるの」

アスティアは冷静になった頭を抱えながらリリアの後をゆっくりと歩いていた。自分のやらかしをかなり後悔しているようで、アマラに優しく肩を叩かれながら歩いている。

「……私、デンドンさんを凄く睨んじゃった」

「仕方ないよ。あれはデンドンが悪い」

「だとしても、あんなふうに睨むなんて」

「でも、デンドンは一切気にしてなかったでしょ」

「それは、そうだけど……」

アスティアは落ち込み、後悔したようにリリアに目線を向ける。けれどリリアはとても嬉しそうに笑う。

「問題発言に対して、仲間を守るために立場も気にせず文句を言える。デンドンには欲しい人材なんだと思うよ」

「でも無意識だったし……」

「無意識で理由までしっかり言える人は少ないから。だから、こっちに来いとまで言ったんだろうね」

自分で言った言葉にリリアが少し肩を落とす。反対にアスティアは少し不機嫌そうに、話を聞いていたアマラも少し苛立ちを見せる。

「それで、どうするの?」

「何が」

「クロッサもデンドンも、引き抜きたいって話は本気だと思う。今後連絡があるんじゃないかな」

「……リリア、本気で言ってる?」

「一応、確認しておかないと行けないから」

リリアが寂しそうに不安を告げるとアスティアが珍しく怒り交じりで吐き捨てる。その様子にリリアが少しビックリするが、アスティアは気にしない。

「考えてもない」「ない」「ありえない」

アスティアとアマラ、ちゃっかりハジメも混じって三者三様、けれど同じ意味の言葉を追いかけた。アスティアとアマラに至っては、少し怒りを混ぜている。

その怒りと酔いに任せて、アスティアが気持ちを吐露する。

「クロッサさんもデンドンさんも、ラナラスを話題にも上げなかった」

「ラナラスだけ居ないなんて、ありえない。ラナラスが居たから私達はここまで来た」

2人の評価にラナラスが嬉しそうに微笑む。けれど評価を一番理解してるのはラナラスだ。

「仕方ない、よ。私、戦うの、弱いし」

「ギルドが何でラナラスを推薦したと思ってるの」

「そんな、の。2人が行くから、に――」

「そんな理由で推薦しないのは、ラナラスが一番分かってるでしょ」

ラナラスの後ろ向きの発言をアスティアが怒る。リリアも当然と言う風に頷く。

「評価の基準は個人だからね。エリスだって私と一緒(パーティ)扱いだけど、戦闘以外で実力があるから呼ばれてるの」

「だから、そんな自分を卑下しない。私達も信頼してるんだから」

アスティアもリリアもしっかりと評価する。その言葉をラナラスは嬉しそうに受けると控えめに、まるで抱きつくようにアスティアの肩に頭をトンと触れさせた。



リリアがコンコンコンと戸を叩くとすぐにドアが開き、中からエリスが飛び出してきて抱きついた。

「おかえり!大丈夫だった」

「何もなかったよ。エリスは大丈夫?」

「……少し寂しかった」

1人、ずっと部屋に居たのだろう。寂しそうに抱きつくのでリリアが優しく抱きしめ返し、ハジメも横から頭を撫でる。

「なんか、やっと仕事が終わった気がする」

アマラが凄く疲れた風に言うので、ハジメも苦笑いで返す。

「俺もだよ。上の人とご飯食べるのって、凄い疲れる」

「……仕事と思って諦めて」

リリアがとても小声で、自分達以外に聞こえないように注意して言うので、その場はつい笑いが生まれてしまう。

「……ふわぁあ」

「流石に疲れたし、寝よっか」

全員が限界に近いため、ラナラスのあくびに聞くとアスティアが今日は終わりにしようと告げる。

「だね。おやすみ」「おやすみ」「おやすみなさい」

ハジメ達も疲労に従い、エリスが開けたままのドアをくぐり、今日の終わりを告げた。


「ちょっと待って、何で3人で入るの?」


その行動をアスティアが驚いて止める。アマラもラナラスも驚いているが、ハジメ達は何を言ってるのか分からない。

「何でって、寝るからでしょ?」

「違う、何でハジメも一緒なの?」

「何でって、何が?」

アスティアの言ってる意味が分からず、リリアが本気で首をかしげる。そこで何かに気付いたラナラスが、珍しく少し呆れる。

「多分、お互いを、異性として、見て、ないみたい」

「「「……」」」

そこでやっとリリアもハジメもは何を止められていたのか理解し、エリスも混じってお互いに顔を見合わせる。

そもそも野営でも、一応仕切り幕があるとは言え同じテントで寝ている。そのため最近は異性と言う感覚が薄くなっていた。もはや兄妹家族のような感覚で、言われるまで意識もしていなかった。

「リリア、エリス。場所作るからこっちで寝ようね」

「「……はい」」

2人が先ほどの様なアスティアの圧に負ける。アスティアはそのままリリア達の部屋に入ると「2人の毛布はコレ?」と確認した。

アマラは自分たちの部屋の扉を開けるとソファを動かし、5人でも寝やすいように間取りを変えていた。

「あの、俺――」

「おやすみ」

隔離されるハジメは寂しそうに救いを求めるが、アスティアはバッサリと切り捨てると毛布を持って部屋から出て行く。ハジメが固まっているとラナラスがぺこりと頭を下げて戸を閉めた。

「……」

1人放置されたハジメは諦めると、とても広く感じる部屋のソファで1人寂しく横になるしか出来なかった。



ちなみにだが。

別々に寝るのはこの時だけである。一応アスティアからエリスを守る様に端と端で寝たのだが、問題が発生する。

寝てすぐに誰かの引きつるような悲鳴と呻き声が響いたからだ。

慌てて照明を付けて確認すると、アスティアが何故かエリスの横に移動していた。抱き枕にしようとしたところ、エリスが蹴飛ばしたらしい。

アマラが大慌てで簀巻きにすると、ソファと壁で挟み一晩封印した。


安全な異性(ハジメ)より欲望ある同性(アスティア)の方が危険。アスティアが封印されたとは言え、エリスとリリアはハジメの寝る部屋に避難する事になる。

エリスは「怖かった」とリリアにしがみついてたので、叩き起こされたハジメは怒る事も出来ず、ただただ優しく本当の妹のように頭を撫で続けた。


安心したのかエリスはそのまま眠ってしまったので、まったくもうと2人で優しく微笑み合う。

エリスは恐怖からかハジメの服も掴んでいたので、起こさないように優しく外すと2人もそのまま眠りについた。

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