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理の世界  作者: 和音
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時の支配者

あらすじ

剣士であるコングラー・ディルメンクと魔法使いのトムファー・イルアーは、魔王を倒すために必要な鍵のパーツを集めるため、4人の『理の支配者』を倒す旅に出た。そしてついに、2人は、1人目の『時の支配者』がいるとされる洞窟の近く、『ゴルヴァー市街地』にたどり着き、旅の準備をした。

じゃ、本編へGO!

2人はゴルヴァー市街地の北門へと向かった。

コングラーの手がブルブルと震えている。

「なんだ、怖いのか?」

トムファーが茶化す。

「うん……」

意外にも、コングラーはあっさりと認めた。

「だって、支配者って他の魔物と比べ物にならないくらい強いんでしょ?死にたくないな……」

「……安心しろ、俺が死なせねぇよ。もし死んだら俺も後を追う。死ぬ時は、2人一緒さ」

「何も大丈夫じゃないじゃん!」

2人は顔を見合わせ、クスクスと笑い出す。

もうコングラーの手は震えていない。


北門にたどり着いた。

2人が出ようとした時、

「待て」

と、門兵に止められた。

「この先は『時の支配者』のナワバリだ。行って帰ってきたものは数え切れるほどしかいない。本当に行くのか?」

「ああ」

「もちろん!」

「そうか、では、武運を祈る」

門兵は2人を見送った。


2人は外へと出た。

辺り一面の雪景色の中、そこには異様な空気を放つ穴があった。

『時の支配者』が住むという洞窟の入り口だろう。

「……うん、ここで間違いないな」

「いよいよ、戦うのか……」

2人は洞窟の中へと入っていく。


そこは、洞窟というより、トンネルのようなものだった。

大きな穴が一直線に続いているだけの、ただの薄暗い道だった。

カツーン、カツーンと、2人の足音が洞窟にこだまする。

コングラーの手には剣が、トムファーの手には杖が、それぞれ握られている。

「…………」

「…………」

初めての『理の支配者』との戦いからの緊張か、2人は無言のまま、奥へ奥へと歩みを進める。


途中、

「おっ、ンジカの種がある」

と、トムファーが言って、街の端っこに落ちていた植物の種を拾った。

「なに、それ?」

コングラーが聞いた。

「えーっと、なんて言うかな……まあ、植物の種だ、ちょっと作りたい薬に必要なんだ」

「ふーん?なんの薬?」

「まあ、後になればわかるさ」

また2人は無言になり、歩き始めた。


ついに行き止まりまできた。

そこは、半球状のドームのような場所だった。

「……ねえ、トムファー」

流石のコングラーも気づいたようだ。

そこに潜む、()()()()()に。

「……なんだ」

「『時の支配者』って、この洞窟にいるはずだよね?」

「この地図にはそう書いてあるな」

「…………いなかったよね!どこにも!」

「そうだな」

そう、ここまでの道中、2人は『時の支配者』どころかあらゆる魔物と出会っていないのだ。

『理の支配者』というものは、最上の存在である魔王を守るために、四方向に1人ずつ配置されたもの。

普通の魔物ならあちこち動き回ることはできる。現に、2人も幾度となくそれを経験してきた。訪れた街で2人が依頼を受けた時、示された土地に魔物がいなかったり、逆にいないはずの場所にいたり。

しかし、4人の『理の支配者』は例外だ。

『いるべき場所におり、冒険者たちを葬る』、これが彼らに与えられた唯一の使命なのだ。

そのため、『時の支配者』がいないということは、あり得ないことなのだ。

「おかしいよね!」

「俺に言われてもな」

然れど、このまま次の目的地に向かうことは出来ない。

『理の支配者』から得られる鍵のパーツが、魔王を倒すには必要不可欠なのだから。

2人は、何処かに潜んでいるかもしれないと考え、『時の支配者』を探し始める。



いつ何処から現れるかわからない強敵の存在に怯えながら探すこと十数分、その緊張がピークに達した時、

「ん?」

コングラーが何かを見つけた。

平べったい円柱を四等分したうちの一欠片のようなものだ。

「ねえトムファー、これ、何?」

変な形の石のように見える。

しかし、それをみたトムファーは目を丸くして言った。

「それは、()()()()()だ!」

トムファーの口から信じられない言葉が出る。

「え?!うそ?!」

「いや!これは確かに鍵のパーツだ!」

「でも、だって、倒してないよ?!」

通常、魔王に会うために必要な鍵のパーツは、支配者が持っているために、倒さなければ手に入れられないはずのものだ。

しかし、そこには現に『時の支配者』が持っているはずのものがあった。

2人はそれぞれ互いの目と鍵のパーツとを交互に見た。

「……まあ、運がいいってことで、これは貰っとこうぜ」

と言って、トムファーはそれをバッグにしまう。

「なんか、不気味だね」

「まあ、考えても仕方ねぇし、切り替えてこうぜ」

「……うん、まあ、そう、だね」

コングラーは、やけにあっさりしているトムファーに、少し不信感を抱きながらも、それを隠した。


この時、2人は「きっと誰かが倒して、鍵のパーツに気づかないまま離れてしまったから、鍵のパーツがあったのだろう」と結論づけ、思考を放棄した。

しかし、そんなこと起こるはずがないのだ。

鍵のパーツは『理の支配者』含める持ち主がこの世界からいなくなる、つまり死ぬと、『理の支配者』がいた場所に戻り、新たな『理の支配者』を生み出す。つまり、2人が考えるように、もし仮に誰かが『時の支配者』を倒し、鍵のパーツの存在に気付かぬままその場を離れたとしたら、新たな『時の支配者』が生まれ、2人を恐怖と共に迎えたはずなのだ。

2人は恐らくこの事実を知らなかったのだろう。

しかし、知らなかったとしても、何故それだけが残っていたのかについて、もっと考えなければならなかったのだ。

2人は考えなかった。だから、()()2()()()()()()()()()()()()()


2人は洞窟の外に出る。

相変わらず真っ白な雪景色が広がっていた。

「次は……そうだな、東の『重力の支配者』を倒しに行こうか」

「わかった」


2人は東に向かって歩き始める。

鍵のパーツを背負って。

読んでくれてありがとうございました!

『時の支配者』はどうしたんでしょうね?

感想とか書いてくれると泣いて喜びます!

じゃ、またいつか!

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