ことわりの世界
短くてごめんね。
あと、終わり方気に入らないかもしれないけど、まあ、許してね。
「否定魔法・奥義『存在消滅』」
世界が光に包まれる。
コングラーが次に見た景色は、辺り一面の雪景色だった。
自身の記憶を探り、やがてコングラーは、一つの結論に辿り着く。
「ここって……」
そこは2人が1人目の『理の支配者』、『重力の支配者』と戦った洞穴と『ガルヴァー市街地』の間の雪原だった。
自身の最後の記憶である、トムファーの奥義『存在消滅』の発動と、目の前に広がる銀世界が、一向に結びつかない。
結論が出ずにいるコングラーは、突如背後に足音を聞く。
それが敵だと考えたコングラーはすぐさま剣を手にとり、振り向きざまに戦闘態勢をとる。
しかし、その必要がないことに、振り向いた瞬間コングラーは気づいた。
そこに立っていたのは、トムファーだった。
「や、久しぶり……って程でもないか」
「トムファー……?」
コングラーの脳は、次々と押し寄せる疑問の波を前に思考を止め、放心状態に陥った。
「あ……戻ってこい、一から説明してやるから」
トムファーがコングラーに説明したことは、次のようなものであった。
コングラーの記憶にある世界は、実はトムファーが作り出した虚構の世界で、今2人がいる世界が元々の世界。
この世界で、2人は最初の『理の支配者』である『重力の支配者』に挑み、そして、あっけなくコングラーは殺されてしまった。
その時、トムファーは自身の魔力を全て使い、コングラーが死んでしまった世界そのものを否定した。
その結果、トムファーのみが記憶を保った状態で、2人が旅に出る直前、つまり、トムファーがコングラーに誘われた直後まで時間が遡った。
「結局、あの世界は俺が現実を否定して作った世界、格好よく言えば『断りの世界』とでも言うのか?それとも、理の力で作った世界だから『理の世界』か?まあどっちでも良いが、とにかく、後はお前の経験した通り、魔王に挑んで、最後の最後に……あー……魔力切れによる俺の死亡か、奥義の暴発による世界の消滅で、俺たちは元のこの世界に戻ってきたって訳だ。理解したか?」
「えーーっと……?」
「……」
2人は、どちらからともなく笑い出した。
「それとだな、まず俺らの村に『15になるまでは村の外に出られない』なんて決まりはない」
「そうだよね!?それで馬鹿にされたのおかしくない?!」
「悪かったって。お前にゃ強くなってもらわなきゃいけなかったからさ。んで、あと一つ言わなきゃいけないことがあってな、この世界の神は面倒くさがりだからな、今回みたいな事が起きたらそれに深く関わった奴、つまり俺とお前と魔王、『理の支配者』は、多分全員死ぬ。もしかしたらゴルヴァーもな」
「そっか……まあ、そうだよね」
「安心しろ、冒険の場が天国になるだけだ。決して離れたりしねえから」
「うん、そうだね」
2人はまた笑い出した。
それから2人は、コングラーの記憶に残っている世界での思い出について、楽しそうに語り合った。
村での鍛錬の日々のこと、最初に戦った紅鳥のこと、訪れた色んな街のこと、ほとんど思い出に残ってない日常のこと、そして、『理の支配者』と魔王との戦いのこと……
そんなことをしているうちに、2人の体に異変が起きる。
「……あー、そろそろ時間切れみたいだな」
2人の体が、殺された魔物のように魔力の粒子となり始めたのだ。
「あんなこと言ったけど、俺は魔族だから地獄行きかもな」
「そんなことないでしょ、だって、俺のために戦ってくれたじゃん」
トムファーは一瞬ポカンとして、そして、笑いながら、こう言った。
「そうだな。まあ、そもそもお前1人じゃ天国ですら地獄になりそうだから、死んでも天国に行くだろうな」
「……それどういう意味?」
「冗談だ。それより、今度は約束を果たしたぞ」
「約束?……ああ!」
2人はニカッと笑って、顔だけの姿でこう言った。
「「死ぬ時は、2人一緒!!」」
最後まで拙かったけど、読んでくれてありがとうございました!
では、これにて終了!
バイバイ!