魔王
あらすじ
剣士であるコングラー・ディルメンクと魔法使いのトムファー・イルアーは、魔王を倒すために必要な鍵のパーツを集めるべく、4人の『理の支配者』を倒す旅をしている。
前回、ついに最後の支配者である『死の支配者』を倒したことで、鍵を手に入れることができた。
いよいよ、最後の強敵である魔王との戦いが近づいている。
じゃ、本編へGO!
「これが、鍵……?」
空中で生成され、カランッと地面に落下した鍵を見て、コングラーは言った。
「そう、みたい、だが」
2人は、それが本当に鍵なのかどうか、いまひとつ確信できていないようだ。
まあそうだろう。その鍵は、その世界で広く使われているそれとは、大きく異なった形をしていたのだから。
その鍵は硬貨のような形をし、表面には魔言語らしき言語で文章が書かれており、裏面には人のようなものが描かれている。
その人物は、どうやら『闇』で構成されているようだ。
身に纏ったボロい布から黒い蒸気のようなものが漏れ出ており、顔は決まった形がないようで、二つの目以外は常時消滅と再生を繰り返している、そんな雰囲気を絵からも感じる。
恐らく2人は気付いただろう、トムファーだけでなく、頭に自信のないコングラーも。
その人物が2人の次の強敵、最後の目標、他でもない『魔王』であることに。
「これが、魔王……」
「まあ、概ね想像通りの風貌だな」
「いよいよなんだね……」
コングラーは自分の剣を確認する。
そこで、2人は初めてとある事に気づく。
「緑が……」
その剣に埋め込まれた緑色の魔石が、3人の『理の支配者』との戦いで、あと少しで全体を覆うほどまで成長していたのだ。
「こっちももうすぐだな」
トムファーが言う。
そう、この剣は、トムファー曰く秘められた力があり、魔石が剣全体を覆った時、その力が解放される。
つまり、様々な点で終わりが近づいているのだ。
「トムファー、行こう、最後の強敵の根城に」
「ああ、そうだな……と、言いたいところなんだがな」
そう言って、バッグから一つの瓶を取り出した。
2人にとってはお馴染みの、これまで幾度となく登場した、空間転移魔法の力を持つ薬が入っていた瓶だ。
しかし、その瓶は空であった。
使い切ってしまったのだ。
「えーっと、つまり?」
「魔王の元まで歩かなきゃいけないってことだ。だから、まだまだ戦いは先になりそうだな」
「……今せっかくカッコつけたのに……」
コングラーは顔を覆って恥ずかしそうに言った。
「ハハハ、まあのんびり行こうぜ、それが俺たちだろ?」
「まあ、そうだね。ところで、どれくらいで魔王城に着くの?」
「えーっと、俺たちの村から『時の支配者』の住処までが大体三ヶ月くらいだったから……まあざっと六ヶ月くらいかな」
「そんなに……」
「仕方ないだろ、無いものは無いんだから」
トムファーは空の瓶をしまいながら言った。
「さ、つべこべ言わずにそろそろ行くぞ」
「わかったよ」
渋々、コングラーはトムファーの隣を歩き始めた。
北にある魔王城に向かって。
その後の約八ヶ月の旅は、実に平和なものだった。
まあ当然だろう。
既にこの世界で大勢の者に恐れられ、また大勢の者を葬った『理の支配者』のうち、『重力の支配者』、『自然の支配者』、『死の支配者』を倒した2人にとって、世界中に生息している魔物との戦いは、赤子の手を捻るようなものなのだから。
唯一の不安要素は、いまだ姿を現さない、現存する唯一の魔王側の『理の支配者』である『時の支配者』であったが、これは、2人が魔王城に着き、魔王がいるとされる部屋の扉を開くその時まで2人の前に姿を現さなかった。
2人は旅の途中で訪れた全ての街で祝福されたために、当初の予定よりニヶ月ほど魔王城に着くのが遅れたが、その分準備は万端と言っていいだろう。
コングラーもトムファーも武具を新調することはせず、これまで使い続けてきた杖と剣のみで魔王と戦うつもりであった。
その代わりに回復薬や身体能力向上薬など、魔王との戦いに役立ちそうな物を確保し、その戦いに備えた。
八ヶ月後のある日、その日は、コングラーの誕生日であった。
2人はついに魔王城の門の前まで来た。
魔王城の周りにはその城を護るために用意された十数体の石でできた魔物がいたが、2人にとってはなんの障害にもならないほどのものだった。
あっさりとそれらを退け、2人は魔王城へと入っていった。
魔王城は、三階建ての巨大な建物だった。
一階、二階、三階の、全ての天井が高く、小さな家なら建てることができるほどのものだった。
2人ただただそのだだっ広い魔王城の内部を進んで行く。
最上階の最奥の部屋にいる魔王に会うその時まで。
一階には水でできた大きな龍がいた。
2人の姿をその目に映すや否や、咆哮を上げながら高く飛び、硬い雨を降らせた。
常人であればたやすく切断されてしまうほど、硬く鋭い。
コングラーは自身の剣でそれを払い、トムファーは自身の真上の空気を固めることでそれに対応した。
隙をつき、トムファーは空気を固めて階段を作り、それを登ったコングラーが龍の首を斬った。
龍は呻き声を上げながら落下した後、粒子となって消えた。
二階には四足獣が数十匹いた。
全身を黒い毛で覆った狼のような魔物だった。
奇妙な模様が全身に表れていた。
それに最初に気がついたのは、トムファーだった。
その模様は魔言語だったのだ。
魔王に刻まれたであろうその模様が白く光る。
魔法が発動する時の合図だ。
突如、二階が闇に包まれる。
ただでさえ薄暗い魔王城がさらに黒く、暗くなる。
視界を急に奪われ、その状況に適応できていない2人目掛けて数十匹の獣たちは一斉に飛びかかる。
一匹一匹は大した強さではないが、何せ視覚が奪われた状況での多対二、百戦錬磨の2人も少し苦戦する。
しかし、不可能だと思われていた『理の支配者』の討伐を、これまで三度成功させてきた2人にとって、この程度の困難はなんてことないものだった。
トムファーは自身の周りの空気を固め、獣の攻撃を防ぐ。
コングラーは狼の攻撃を喰らった瞬間、その場所めがけて剣を振るうことで、傷を負いながらも、着実に敵の数を減らしていった。
次に2人の目が光を捉えたのは、戦闘が始まって十分程度経った頃だった。
満身創痍のコングラーは回復薬を飲み、怪我を治す。
三階の、魔王がいる部屋の前には石でできた巨大な魔物がいた。
人型の、六つの石でできている。
お腹の辺りには怪しい模様が刻まれている。
それは魔言語ではない。しかし、見覚えがあった。
2人はどこかでこれを見たことがある。
最悪な予感が2人の脳裏によぎり、2人の鼓動が早まる。
その人型の石の化け物の知能は低いようで、ただ腕を振り回すことしかしてこなかった。
しかし、その単調な動きが行われれば行われるほど、2人の予想は確信を深める。
2人は手早くその魔物を倒す。
物音一つたてず、魔物は消滅した。
最後の部屋に辿り着く。
魔王がいるであろう最後の部屋に。
扉には、鍵をはめよと言わんばかりに浅い円形の窪みがあった。
トムファーは、バッグから取り出した鍵をそこにはめた。
すると、カチッと音が鳴った。
扉の鍵が開いたのだろう。
2人は顔を見合わせ、唾を飲む。
緊張が絶頂に達したその時、示し合わせたかのように2人同時に扉に手をかけ、開ける。
その部屋は、直方体のだだっ広い空間で、窓は扉と反対側に一つあるだけの、薄暗い部屋だった。
扉から真っ直ぐ黒い絨毯が敷かれており、それの左右に円形の柱が三本ずつ、計六本規則的に建てられていた。
そして、その絨毯の行き着く先に、それはいた。
魔王だ。
鍵の裏面に描かれていたように、決まった形を持たない『闇』が、人のような形をなしている。
しかし大きさが尋常でない。
普通の人間の三、四倍は大きかった。
顔に当たる部分に浮かぶ、黄色い二つの円以外は、常に消滅と再生を繰り返していた。
体はボロ布に覆われており、右手にあたる部分には杖らしき物を握っている。
魔王は、2人を見てしばらくした後、ないはずの口を使って話しかけた。
「やあ、よく来たね、コングラーくんにトムファー、」
当然のように名を知られていたが、最も驚くべきことは、
「いや、」
それではなかった。
「『否定の支配者』くん」
「…………え?」
クライマックスだねー
正直絶対途中で辞めるだろうなって思ってたけど、続いたね
クオリティは低いけど
多分次で終わりかな?
ともかく、読んでくれてありがとうございました!
感想とか書いてくれると泣いて喜びます!
じゃ、またいつか!




