夜道でアニマルとエンカウント
タイトルはこんなんですが、あんまり可愛らしい話ではありません。
※虫、蛇などが出て来ます。
※微グロ描写あり。
帰り道。
街頭の少ない暗い夜道を通っていたら、動物に出くわすことがある。
野良の犬、猫くらいなら見掛ける人も多いだろう。
今までわたしが遭遇したことのある動物は――――
スタンダードな、首輪の付いているペットだったり、野良だったりする犬猫。
野良の犬は最近あまり見ないが……
尻尾が骨の、少々不気味な猫を何度か見たことがある。どういう意味かと問われると、そのままの意味だ。通常は毛皮に覆われているはずの猫の尻尾が、尾先から三分の二程が骨になっていた。そして、骨が露出した状態でもその尻尾はしっかりとお尻と繋がっている。猫は、普通に骨状の尻尾をゆるりと動かして、なんでもない顔をして歩いて行った。
海や川の近くの汽水(海水と真水が混じる水)域の夜道では、カニやヤドカリ。あまり大きいヤドカリは見たことがないが、大きいカニだと二、三十センチくらいの大物だったりする。それが、横歩きでひょこひょこと道路を横断していることがある。
偶に横断し切れず、車に轢かれて潰れて死んでいたり、排水溝のコンクリの蓋の隙間に挟まって動けなくなっていたりもする。そういう間抜けなカニは、誰ぞに美味しく頂かれたりもすると聞いたことがある。
他にも、畑道ではイタチ科の動物がパッと現れて道路を挟んだ畑から畑へ走り去って行くこともある。
雨の日だと、カエルなどが道路をピョンピョン跳び跳ねていたりする。
雨上がりには、濡れた路面をカタツムリがのろのろ這っていたり、ミミズがアスファルトの上で死に掛けていたり、厭なものだとヤスデを見掛けたり、ナメクジやヒルなどが出たりもする。
晴れた日だと、バッタやコオロギ、カマキリ、セミ、ガ、ゴキブリなどなど。カブトムシやクワガタなんかはちょっとレア。そして、虫を食べるヤモリはよく見る。
夜空には、羽を広げると六十から七十センチ程もありそうな大きなコウモリがバサバサと羽撃きの音を響かせて飛び回り、電線や木に逆様にぶら下がったりする。
偶に、ぺしゃんこになって干からびた蛇の死体が落ちていたりすると、誰かが車で轢き殺したんだろうなぁ……とか思ったりする。
ちなみに、毒蛇だと怖いので、人のよく通る道路に現れた蛇が殺されるのは、田舎だとあるあるな話だ。道路の途中で車を、発進とバックを繰り返し、蛇が動かなくなるまで何度も何度も轢いてキッチリと殺す。
子供の頃にその様子を見たことがあるが、大人が必死過ぎてちょっと怖かった覚えがある。後続に車が来ると、逃がさないよう蛇の上で車を停め、後続車を通した後に蛇を轢くのを再開したりするらしい。または、後続車も協力して複数台の車で蛇を殺す。
中には……殺した蛇を、酒に漬けて蛇酒を作ったり、自分で蛇を捌いて調理して食べるという強者もいる。「頭落として冷凍しておいたから食べてね? 蒲焼きにしたら美味しかったよ♪」と、親切で近所にお裾分けする人もいたり……まぁ、蛇を貰っても、一般の人は調理法に困ると思うが。
一応、蛇を殺して祟られたという話は、近隣ではあまり聞かない。まぁ、明確に『普通ではない蛇』……例えば白い蛇だったり、尋常じゃないくらいの大きさの蛇だったり、普通の人には見えていないという蛇だったり、所謂神域と称される場所の蛇、殺生の憚られるような場の蛇などを殺して祟られた人がいる。という話なら聞いたことがあるが。
そして、なんでこんなところに? と思うような、不思議な動物に遭遇したこともある。
夜の道路の真ん中に、明確に猛禽類だと思われる大きな鳥が翼を畳んでいる状態で悠然と立っている姿を見たことがある。
フクロウなどではなく、タカやワシのような大きい鳥だったように思う。一応、住んでいる地域にはタカやワシが飛来することがあるそうだが、その時期とは季節が違った。
そして、タカやワシは夜に行動する鳥なのだろうか? とも、不思議に思っている。
他にも、三十センチ程のリクガメが歩いている姿を見たことがあるし、川からは数百メートル以上離れた場所の、乾いている道路(普通に車の往来する道路)を、四十センチ程の大きさのスッポンがのたのた歩いていたり……
どこぞで飼われていたペットの脱走か? それとも、アレは一体……? と、思うような動物を幾度か見たことがある。
そして、こないだ。
近所で盆踊りが行われていたという日。
明らかにおかしいモノを見た。
買い物から家に帰る途中の夜道で。
道路の真ん中に白い霧のようなモノがいた。それは丁度、大きな猫のような形をして……『チッ、仕方ねーな。どいてやらぁ』という風な動きで、のそのそと道路の真ん中から端の方へ寄って行った。
その辺りは、わたしが『ふてぶてしい猫』と勝手に呼んでいる薄茶で虎柄の大きな猫が、道のド真ん中に陣取ってよくどてんと寝転がっている場所だった。
『ふてぶてしい猫』は本当にふてぶてしく、車が近くを通ってもなかなか動かない。本当に、あと数十センチくらいで轢く……という距離まで車が近付いてから、『仕方ねーな。どいてやんよ』と言わんばかりに、迷惑そうな顔でのそのそと移動するくらいに図太い猫だ。
白い霧のようなモノの動きが、その『ふてぶてしい猫』ととてもよく似ていた。
そしてここ最近、わたしはあの『ふてぶてしい猫』を見ていない。奴は生きてるのだろうか? と、ちょっと思ってしまった。
街頭の少ない暗い夜道では、偶に変なモノと遭遇することがある。
動物……? かもしれないモノ達と。
読んでくださり、ありがとうございました。
尻尾が骨の猫が、本当に生きている猫なのか気になり、ちょっと調べてみました。
すると、怪我や病気で尻尾を覆う体表組織などが壊死し、骨が露出している状態でもたくましく生きている野良猫がいたりするようです。
尻尾の体表組織が壊死し、骨や神経が常に露出している状態なので、感染症などに弱くてあまり長くは生きられないとも書いてありました。
見掛けたら、保護するか動物病院へ連れて行くことが望ましいようです。
※『なんで尻尾が骨状態になっている猫を保護したり、病院に連れて行かなかったの?』という質問に付いては、受け付けません。
※書いてる奴は猫アレルギー持ちで、元々動物が好きではありません。なので、基本的には動物自体に近寄りません。
書いてる奴は、偶に夜道で変な動物……? のようなモノを見掛けるだけです。