オニ令嬢が、恋わずらいの後輩第二王子に、婚約者を餌にして、不倫カップルをぶっ飛ばす手伝いをさせます(切りぬき103)
「今日のお昼過ぎ、兄の第一王子が狙撃されました。幸い、弾は外れましたが、犯人を捕らえることができませんでした」
このイバラーロン王国の第二王子です。
「ギンチヨ様、お心当たりはありませんか?」
はい私がやりました、、、
私、ギンチヨは、帝国の女性監査員としてグループの各国を回っているところです。
舎弟クロとの婚約を破棄した非常識な令嬢と、後輩のロックスワン嬢の婚約者である浮気第一王子、二人を一緒にぶっ飛ばすためには、恋わずらいの第二王子からの応援が必要です。
学園内の王族の屋敷で、私は監査員としての仕事で、第二王子から聞き取りを終えた所です。
第二王子に緊急の連絡が入り、第二王子は直ぐに、私を狙撃の関係者として疑ったようです。
「さぁ? 第一王子の周囲は近衛兵らで護衛しているのでしょう?」
はい私がやりました、、、なんて言うはずがないでしょ。
「近衛兵達は、狙撃に全く気が付かなかったそうです」
「僕が信頼している後輩が、偶然に現場を目撃しておりましたが、射線が全く無く、いきなり、兄が持つ花束が燃え上がったそうです」
後輩、、、舎弟のクロも事情聴取を受けたようです。
「そうですか、証拠も無いようですし、このまま迷宮入りになりそうですね」
撃ってから2時間も経っています。この時差が、第一王子と第二王子との関係性を表してます。
第二王子が遮音の魔道具を動作させました。
「そんな攻撃は、普通ではありえませんが、僕には心当たりがあります」
「ギンチヨ様が1年前に学園バルキリー隊の隊長を交代される際、新旧の隊長が談笑していた内容に、ゼロ距離ファイヤーボールがありましたよね?」
よく覚えているなぁ、、、とは言いません。
「そんな話をしたかな? 鼻垂れ小僧」
言葉遣いを学生時代に戻します。
「在学中のご指導に、今も感謝しております、初代隊長ギンチヨ様」
よし、立場が逆転しました。
第二王子は、私が学園時代に目をかけていた後輩です。
「二年前、僕が学園で先輩に絡まれた時、射線が無いファイヤーボールに助けられた事があります」
それは、あれだ、君の幼馴染の令嬢が、、、いや、今は言えません。
「私のファイヤーボールは、普通だよ、知っているだろ?」
「でも、僕を、兄の、、、第一王子の取り巻きから守ってくれたのは、ギンチヨ様です」
そうか、解っていたのですか。
「第一王子は、何をするために花束なんか持っていたんだろうね?」
「それは、、、秘密事項です」
第一王子が浮気をしていたなんて、さすがに言えないですよね。
「そう言えば、あの幼馴染の令嬢、第一王子の婚約者にされたようだが、お前はまだあきらめていないようだな」
「ロックスワン嬢のことですか!、、、、」
あからさまに顔に出ています。
よし、これなら私たちへの疑いもウヤムヤに出来そうです。
「明日のパーティーでエスコートする令嬢は決まっているのか?」
「いいえ、、、欠席しようかと思っています、、、」
これは、恋わずらいが重症化してますね、心の中で大笑いします。
「それなら、私をエスコートして参加しろ」
「?、、、、」
「私は学園の卒業生だし、第二王子がエスコートすれば、参加に何の問題もない」
「それに、ロックスワンの力になりたいのだろ?」
「いいな?」
「イ、イエス マー!」
「悪いようにはしないから」
第二王子は震え上がっています。今は子犬みたいです。
「では、パーティーでのシナリオを打ち合わせようか」
「本当に、ロックスワン嬢の力になれるのですね」
第二王子の顔が引き締まりました。これは何かを決意した男の顔です。
明日のパーティを修羅場に変えて、舎弟クロの元婚約者、加えてロックスワン嬢を悲しませた第一王子、二人を一緒にぶっ飛ばします。
これで、私と、ついでに第二王子の好感度は爆上がり、間違いありません。
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