質問
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「私は、どうしていつもここに来ると軍服を着ているの?」
初めてユエと出遭って(?)から、もう随分な月日が流れた。
どうやら此処は、わたしの夢、みたいなものの中らしい。
確証があるわけではないけれど、なんとなくそういう感じが わたしには感じられるのだ。
まぁ、わたしが『目覚め』という表現をしている行動が発生した後は、普通に元いた場所に戻るから、何も害などない。よって、気にすることでもない。
この砂漠から、あのコンクリート固めの都会に行くときは、何故だか疎外感のようなものが必ずある。
まるで、暖かい部屋の中から、極寒の外気に身をさらしたような 寒々しさ。
ユエはいつも意地悪だが、気が向けばきちんと質問に答えてくれる。
あくまでも 気が向けば、の話だが。
「あなた自身が、その意味を気にして意識してるからじゃない?」
「私が?・・・軍人になりたいなんて考えたこともないけど」
ユエの言葉のひとつひとつは、いつも曖昧で一見するとわかりづらい。
それでも、私にとって、その全てがとても大切な意味を持っている 気がする。
「そういう意味じゃない。軍人は貴女にとって一番身近でわかりやすい【破壊】の象徴よ。」
「軍人が、ね・・・」
「もちろん他にも色々あるわよ。というか貴女の場合、全ての人間に当てはまるんだもの。そのうちのひとつは、貴女のタブーだしね」
ユエは、私のことを知っているんだろうか。
いつも同じで明確な答えを導き出す。
明らかな意志を持って、動き回る。
――――――どうして、彼女がアレに似ていると感じるんだろう――――――
「 ―――アナタの心はだれのもの?
そう 全ては万物のひとしずく―――― 」
いつものように始まって、いつものように終わる それが当たり前。
そこに生まれるモノは、いかなモノであろうとも、一時の儚い幻想でしかない。
すこし経てば、それは消え去ってしまう。
「 ―――あなたは わたし
わたしは あなた
同じ おなじ 皆は全てひとつのもの
皆は同じハズなのに
気付けば みんな 気付かない
離れていくというコトを――― 」
言わなくても私も彼女も理解している。
軍人が、わかりやすい【破壊】の象徴ならば
「 ――― 同じ おなじ 皆は全てひとつのもの
全ては同じはずなのに
似ている喜びはあって 同じ悲しみは消え去った
だれもが 同じでは なくなった――― 」
私はずっと め を そむけていたかった。
度々 彼女がアレと被るのも、私がおかしいほどに不安定なのも
「 ―――魂を 散りばめて
《全て》は《ひとつ》となった
もう だれもわたしではない
もう だれもあなたではない
―――私がわたしで在るということ それは【孤独】ともいう ――― 」
私の手には、いつも必ずダガーがあった。
蒼いこの軍服が、私は今も大嫌いだ。
彼女はいつも、好き勝手行動していた。
ユエはいつも、わたしのことを知っていた。
思えば ここがどこなのかも
ユエが だれなのかも
はじめから 知っていた