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地平線に浮かぶ月  作者: 風魅 蒼
2/2

質問

 

   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 


「私は、どうしていつもここに来ると軍服を着ているの?」


初めてユエと出遭って(?)から、もう随分な月日が流れた。

どうやら此処は、わたしの夢、みたいなものの中らしい。

確証があるわけではないけれど、なんとなくそういう感じが わたしには感じられるのだ。

 まぁ、わたしが『目覚め』という表現をしている行動が発生した後は、普通に元いた場所に戻るから、何も害などない。よって、気にすることでもない。


 この砂漠から、あのコンクリート固めの都会に行くときは、何故だか疎外感のようなものが必ずある。

まるで、暖かい部屋の中から、極寒の外気に身をさらしたような 寒々しさ。


 ユエはいつも意地悪だが、気が向けばきちんと質問に答えてくれる。

あくまでも 気が向けば、の話だが。


「あなた自身が、その意味を気にして意識してるからじゃない?」

「私が?・・・軍人になりたいなんて考えたこともないけど」

 ユエの言葉のひとつひとつは、いつも曖昧で一見するとわかりづらい。

それでも、私にとって、その全てがとても大切な意味を持っている 気がする。

「そういう意味じゃない。軍人は貴女にとって一番身近でわかりやすい【破壊】の象徴よ。」

「軍人が、ね・・・」

「もちろん他にも色々あるわよ。というか貴女の場合、全ての人間に当てはまるんだもの。そのうちのひとつは、貴女のタブーだしね」


 ユエは、私のことを知っているんだろうか。

いつも同じで明確な答えを導き出す。

明らかな意志を持って、動き回る。


――――――どうして、彼女がアレに似ていると感じるんだろう――――――



「 ―――アナタの心はだれのもの?

       そう 全ては万物のひとしずく―――― 」

 

 いつものように始まって、いつものように終わる  それが当たり前。

そこに生まれるモノは、いかなモノであろうとも、一時の儚い幻想でしかない。

すこし経てば、それは消え去ってしまう。


「 ―――あなたは わたし

       わたしは あなた


      同じ おなじ   皆は全てひとつのもの

       皆は同じハズなのに

      気付けば みんな 気付かない


          離れていくというコトを――― 」


 言わなくても私も彼女も理解している。

軍人が、わかりやすい【破壊】の象徴ならば


「 ――― 同じ おなじ   皆は全てひとつのもの

全ては同じはずなのに

似ている喜びはあって 同じ悲しみは消え去った


だれもが 同じでは なくなった――― 」


 私はずっと め を そむけていたかった。

度々 彼女がアレと被るのも、私がおかしいほどに不安定なのも


「 ―――魂を 散りばめて

《全て》は《ひとつ》となった


もう だれもわたしではない

もう だれもあなたではない


―――私がわたしで在るということ それは【孤独】ともいう ――― 」

 

私の手には、いつも必ずダガーがあった。


蒼いこの軍服が、私は今も大嫌いだ。


彼女はいつも、好き勝手行動していた。


ユエはいつも、わたしのことを知っていた。



 思えば ここがどこなのかも 


 ユエが だれなのかも 


 はじめから 知っていた 



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