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魔法帝国の黄昏  作者: MAKIYA
 後継者の条件
21/24

相応しい実力を 1

 

「閣下。前ハデイユ侯爵、ロドリック殿が面会をご希望です」 

「この場でその連絡ができるとは。正気を疑うレベルだな」

 嫌味の言い合いに終わった、帝都帰還後から4年。16歳になったアルシンダは、公爵領内に出現した大物魔物の討伐隊を指揮していた。

 魔物は領境の深い森から出現し、ほっておくと人里まで出てきて村を襲う。大物の場合は、大気の乱れから出現がわかるため、早期に討伐隊を組んで対処する。今回は強大、かつかなりの頭数が確認できたため、アルシンダ自ら指揮を執った。これほどの規模は、数年ぶりである。

 そんな時に、面会の取次など、報告する方も大迷惑である。案の定、魔物の青黒い血塗れの顔で凄まれた従者は、顔を青くした。それでも、一族の長老とも言うべき重鎮からの要請。無視はできなかった。

「まあいい。取り込み中だ、待たせろ」

 非常識な要請とは言え、討伐自体はすでに終盤。厄介なレベルの魔物はほぼ残っておらず、後始末に指揮官が必要なわけではない。従者は一瞬え、と思ったが、すぐに表情を改める。

「畏まりました」

 ロドリックは伝声魔法を使ってきたから、本来ならば火急の用としてすぐに会うべきでは、と思ったが、先ほどの主の眼は只事ではない。それに、一軍を指揮し自ら大剣で魔物を屠る彼女の覇気は、その地位が決してお飾りなどでないことを証明している。つまり、一族の実力者の要請など、一睨みで蹴散らすほどには恐ろしかった。



「用があると言うから来てやったのに、何が不満だ」

 今は手が離せない、という伝言を受け、2.3日後に公爵城へ向かうつもりだったロドリックは、門番から当の公爵が現れたと報告を受け、大慌てで応接間に向かった。

 12歳だったアルシンダも、既に16歳。背の中ほどまで伸ばした髪を纏め、公爵家当主の証である白の元帥装束に身を包んで愛馬に跨る姿は、その美貌と相まって一幅の名画のように見えたことだろう、本来ならば。だが今は、魔物の血を浴びて青黒く染まっているうえ、顔まで斑状態。山賊でもこれほどひどくはあるまい、と言った体たらくだ。

 ロドリックは、ため息を吐いた。

「主においていかれるとは、不甲斐ない息子だ」

「討伐が終わってすぐ来たから、ロベルトは知らない」

 とんでもないことを、シレっと口にする。

 バージェス公爵は、帝国軍に於いては、元帥以上の地位だ。ただし、それは魔物討伐の場合に限る、というか、大規模な討伐隊の指揮を執れるのは、宝剣を振るうことのできる公爵ただ一人。赤の魔法使いイシャーナの魔力を込めたと言われる紅貴石を嵌め込んだ宝剣は、主である公爵の身を護るため、彼が指揮する軍に加護を与える代わりに、他の者には耐えがたい重さなのだ。

 昔、帝国に限らずこの世界は、魔物の脅威から逃れることが出来なかった。特に帝国の被害は大きく、結界が破られることもしばしば。そのため、帝国各地で強大な魔物が出現すると、バージェス公爵家の当主は指揮を執るべく魔法陣で転移し、その地に現れたという。アルシンダが帝都に赴く時に使った魔法陣は、その名残だ。

「無茶なことを。単独行動は控えるよう、申し上げたはず」

「お前にとっては、都合がよいのではないか」

()()()()御身にことがあれば、一族の恥となりますゆえ」

 意味ありげな強調は、敢えて無視をする。

「殊勝な心掛けだな」

「おお、むろん、魔法の無い世界をご希望の閣下のこと、()()()()自信がおありのことと存じておりますが」


 挑発だ。このジジイがこういう言い方をすると、大概ロクなことが無い。それでも、一族の総意がこのジジイに今の力を与えている以上、無視することはできない。

 そうやって、今までも譲歩してきた。しかし、これからはどうだろうか――――――。




 

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