17 一族の実力者 1
久々の更新になりました。
なかなか話が進まないじゃないか!とお怒りの向きもあるとは思うのですが、何といっても背景が複雑な話なので、どうかご了承くださいませ。
「ははあ・・・この寒いのにご苦労だな」
「何を言っている。自分の家だろう」
「う~ん、3年ぶりだからなあ」
「❝だから❞じゃないのか」
帝都から3日、バージェス公爵領領都から1日の距離にある一族の重鎮、ハデイユ侯爵家では、次期侯爵が久しぶりに帰館するとあって、出迎えにも力が入っていた。何と言っても帝国でも指折りの名家。主だった使用人だけでも数十人、庭師や備品管理人を加えると百人以上が両側にずらりと並ぶ。
久方ぶりの実家の出迎えに、何とも間の抜けたやりとりをしてるのは、言わずと知れた、当の次期侯爵ロベルトとその主アルシンダ。
「これだから先触れを出すのは嫌なんだ」
仰々しさを嫌うアルシンダは、おまえのせいだと言わんばかりに、並んでウマに乗る従者を睨みつけた。
「省略したら、それはそれでうるさいぞ」
「何かにつけて大袈裟なんだ」
「来る必要があったのか」
侯爵家に行くと告げた時から反対姿勢を貫いていたロベルトは、不満も露だ。無理もない。
バージェス一族の筆頭分家当主だった、先代ハデイユ侯爵は、跡取り息子を次代の公爵の側近へと差し出したが、決して主たる公爵家の方針に賛成していたわけではない。むしろ、反対の立場だったからこそ、牽制のため、若しくはあわよくば、次期公爵の意識を己の都合の良い方へ向けようと、8歳にもならない長男に諸々言い含めた。わざわざ嫡男を選んだのは、その方が公爵家の疑惑を躱せるだろうと踏んでのことだ。
だが、満を持して送り出したはずの息子は、見事に期待を裏切った。というか、あらゆる意味で規格外の幼い少女に、全面的に味方した。
失敗を悟った彼はロベルトの廃嫡を考えたが、既に主家の公爵家は当主不在の状態で、緊急事態でもないのに、そんな重大案件を審議できるはずもない。あの手この手で爵位継承前のアルシンダを屈服させようとしたが、自身が屈辱的な傷を負うだけでなく、息子の右目まで失うという散々な結果に終わった。救いは、ロベルトが実家に寄り付かないせいで、侯爵としての実権が、未だ手の内にあることくらいだ。
そんなこんなで、この帰館は二人にとって全く有難いことではない。だから、ロベルトはしつこく食い下がる。
――――こんなところに来るべきではない――――
彼の鋭い隻眼は、雄弁にそう物語っていた。
以前ほど長くはなく、千文字程度で投稿していこうと考えています。
その方が、少しはこまめに更新できるかも、と苦肉の策です。
先は長いけど、ラストは決まっているので、頑張って完結させるつもりです!
どうぞ、よろしくお願いします m( )m




