↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世で弟だった旦那様が超シスコンになっていてどうにか矯正したい。  作者: ありま氷炎
第二章 私はあなたの姉でしたが、今はただのメイドです。
PR
18/34

2-4 勘違い

 オーランドが店を出た後、ロンも帰ろうとしたけど、ジョンソンさんに懇願され、店に残った。窓際の特等席に案内され、メニューを渡される。

 ロンはやっぱり少し怒った顔をしていて、居た堪れない。 

 ジョンソンさんもそうらしく、注文が決まったら呼んでくださいといなくなってしまった。

 って言うか、引き止めたんでしょう?ならちょっと会話〜。

 沈黙に耐えられず、結局私が先に口を開く。


「ロン。どうしたの?」


 気を利かせてくれたのか、周りには誰もいなくて、小声で聞いてみる。


「僕は、オーランドが許せないのです。姉上は知ってますか?いえ、馬鹿なことを聞きました。忘れてください」

「気になる。何のこと?」


 なんだろう。

 オーランドが許せないって?


 ロンは答えず、ただ不機嫌なままだ。

 

「ロン。教えてちょうだい。なぜあなたはそんなに怒っているの?」


 彼の不機嫌な理由が聞きたくて、雇用関係であるという枠を超え、マリーの気持ちのまま尋ねた。

 ロンは眉を顰め、口をつぐんでいたが、溜息をつくと私を見た。

 空色の瞳が真剣で、目が離せない。

 かつての私の瞳と同じ、空色の瞳。暗い陰が落ちて、惹き込まれそうになる。


「オーランドは姉上を裏切ったのです」

「は?」


 思わぬことを言われ、声を上げてしまった。

 周りを見渡してみたが、注目はされておらずほっとして声を落とす。


「裏切った?何を?」

「オーランドは姉上に愛を誓い、婚約をしていた。なのに、警備兵団に入団して、四年もたたず別の人と結婚してしまった。僕は許せないのです」

「ロン。それは間違いよ」


 ロンの怒りが意外なもので驚いた。

 っていうか、私とオーランドは愛なんて誓いあってないし。たまたま親同士が決めた婚約だったはず。

 まあ、嫌いじゃないなかったけど。愛っていうものはなかった気がする。あえて例えるなら友愛かな。

 

「勘違い?姉上は怒らないのですか?」

「全然。オーランドが結婚したのは正しいことよ。結局離婚しちゃったみたいだけど、年頃であれば結婚すべきでしょう?マリーは死んじゃったし、仕方ないじゃない」

「仕方ないって。姉上!」

「しっ、静かに」


 ロンが声を荒げたので、私は慌てて彼に注意する。

 それはとてもおかしな様子だったとその時は気づけなかった。

 十六歳、しかも使用人の私が雇用主、二十九歳の旦那様に注意をする。けれども、この時はマリーの意識が強く出ていて違和感など感じることもなかった。


「ロン。オーランドを怒るのはおかしいわ。彼は彼の人生を歩むべきなの。ロン、それはあなたにも言えることよ。マリーは死んだ存在なの。忘れて前を向くべきよ」

「姉上。そんなこと言わないでください。僕は、いつまでたっても姉上をお慕いしております」

「ロン。お願い。もうマリーのことは忘れて。彼女は過去の存在よ」

「嫌です。絶対に」

「ロン……」


 彼の瞳が潤み始め、泣き出しそうに見えた。けれども彼は目を閉じてそれを堪えたように思えた。


「姉上。どうか、僕があなたを思い続けることを許してください。それが僕にとっても贖罪でもあるのです。あなたは僕のために死んでしまった。本当は、僕もあなたと一緒に死んでしまいたかった」

「ロン。お願い。そんなこと言わないで。私はあなたを庇えてよかったわ。あなたを救えて、本当に嬉しいの。成長したあなたを見て嬉しいし。ね。だから贖罪なんて言わないで」

「姉上」


 ロンはじっと私を見つめていた。


「姉上。あなたに触れてもいいですか?」

「は、え?」


 戸惑う私に構わず、彼が私の頬に触れた。

 ちょっと、えっと。


「あなたは戻ってきた。僕は嬉しい」


 え、いや。

 戻ってきたと言えばそうだけど、私は今はジャネットだし。

 ロンは微笑みながら私の頬を撫で続ける。


「ちょっとロン。いえ、旦那様」


 頬を撫でられる感触に、私はやっと今の自分を思い出す。いや、我に返った。


「姉上」

「旦那様。注文しましょう。ここではちょっとまずいです」


 なんだか注目されてる気がする。

 席は離れているけど、行動は店内のどこからでも丸見えで、ちらちらと見られている気がする〜〜。


 「じゃあ、屋敷に戻ったらまた触っていいですか?」

 「だめ、です」


  なんでそこで笑うのよ。ロン。

  さっきまで沈んでいた様子が嘘のように、彼は嬉しそうに笑っていた。

  もう、訳がわからないわ。

  っていうか、これ噂になるよね。きっと




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。