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決闘②

 ルールをおさらいしよう……この結界内における肉体へのダメージは現実世界には持ち越さない。腕が取れようが内臓が吹き出そうが、体が内側から吹き飛び粉々になったって何も問題はない。

 つまり……この勝負に勝ちさえすれば、その後に体がどうなろうが関係ないということだ。

 だから……


「ぐぅゥッッウガガァァァァァァギィッ!」


 懐から一つの結晶を取り出す。

 そして紫の淡い光を放っているそれを口の中に放り込み、全力全開の力で噛み砕く。

 バキバキバキッっという音と共に咀嚼され、そしてしばらく経つと体の内側から眩い光と燃えるような熱が発せられる。

 

「よくやるものですね。いくら後遺症がないからと言って使用中の苦痛が無くなるわけじゃないでしょう?」

「ハァ……ハァ……大丈夫だ、()()()()からな。」


 40度の熱が出ているかのような苦しみが体を襲う。

 ぼやける視界、軋む体、暴れる心臓の鼓動の中で頭だけがやけに冴えている。

 専用の肉体強化の術式が刻まれた魔力結晶を口から無理やり摂取することで魔力を無理やりオーバーフローさせ、意思とは関係なく体が勝手に身体能力を限界突破させる。

 これは戦争の際、死ぬ一歩手前の騎士が最後の足掻きとして使うような非人道的な魔道具である。


「フーーーゥゥーーーッ……行くぞ。」


 半ば倒れるようにして一歩踏み出す。

 先ほどと同じようにエレインの神器を使った雷を持とう進撃。先ほどとは違うのはその速度だ。

 元から雷速を叩き出す『纏雷』だが、魔力結晶で強化されたスピードは雷というより光だった。

 ドゴンッという踏み込みの音とゴギンッというヴィネアと打ち合った音がほぼ同時に鳴り響き、爆発音があたり一面に響き渡り草木を揺らす。


「……っ!思ったより速いですね……。」

「涼しげな顔してるんじゃねぇッッ!」


 最大にスピードが乗った渾身の初撃は防がれた。

 続く上からの振り下ろしの二撃目、それを防御した隙をつく三撃目は腹に向けて前蹴り。

 無防備な胴体にクリーンヒットしたはずだが、姿勢は一ミリもブレることなくそのまま足を掴まれた。無理な体勢で蹴りを入れたこともあり、重心が乱れたことで手に持っていた槍を手放す。


「そんなことあるかよぉ!」


 ヴィネアはそのまま持った脚の膝から反対側へ折り畳もうとしてくる。

 だがヴィネアが腕に力を込めるより一瞬早く、地面に落ちた槍から雷が放たれた。俺の神器の操作には別に手で持っていることは重要じゃないため、たとえ四肢が防がれても攻撃できる。

 しかしその矛先はヴィネアじゃない。こんな苦し紛れの一撃でヴィネアが手を離すとは思っていない。その雷の目指す先は俺の胴体、制服のポケットの中。


「何を……?」


 何をしているのか理解できていないヴィネアを横目に、俺は目を閉じ歯を食いしばる。

 上着の内ポケットにしまってあるもの、それは雷属性の魔術を起点として発動する魔道具。周囲を巻き込み爆発する魔術爆弾。

 それが点火することが条件で刻まれていた防御結界魔法が俺の体を包むんだ直後、俺の胸の上を中心として爆炎が広がる。

 俺の足を離さないようにしていたことが仇となり、ヴィネアは回避行動に移れなかったらしい。塞げなかった耳から「きゃっ……」というか細い声が轟音の中聞き取れる。

 流石のヴィネアでも女の子らしい声を出すんだな、知らなかった一面を見れた。なんか少し興奮するな……。

 まだ視界は煙で覆われているが、気配からするとヴィネアは二十メートルほど先まで吹き飛ばされたらしい。

 それに対して俺は爆発のダメージはほぼゼロに抑えていた。流石この魔道具専用にマーリンの野郎に無理やり組ませた防御術式。俺が作ったものじゃここまでではなかっただろう。

 だがヴィネアへ追撃に行こうと歩き出した時、足にある謎の痛みの原因がわからなかった。


「これは……?っ!」


 足首が折れている、それはもう綺麗に。

 爆発の直後は平衡感覚を失っていたため気付かなかったが、立っていられることが奇跡なほどの激痛に襲われている。

 爆発の直前咄嗟にヴィネアが折ったのだろう。防御結界はあくまで魔道具専用のものであるからにして、物理攻撃には完全に無力なのであった。


「仕方ない、紅蓮の指輪で行くか。……いや、なんで足を折る余裕があって防御ができてないんだ?自分のダメージよりも俺に足を使えなくさせること選んだ?いや吹っ飛んだ距離から考えても俺のダメージよりもヴィネアのダメージの方がでかいだろ。目算を間違えた?あれが?そんなわけ……

「ええ、そんな可能性に縋るのは愚かですね。でも気づくのが遅くても愚者なのは変わりませんね。」


 後ろッッ!!

 振り返ると同時に右拳を振りかざす、同時に紅い指輪が眩い光を放つ。

 この距離で炎を出すと俺も巻き込んでしまうが仕方ない、とにかく距離を稼ぐのが先決だ。


「は?」


 振り返った先にいたヴィネアは多少のダメージこそあるものの、足を使えない俺と比べると軽傷と言って差し支えないレベルであった。

 それはいい、ヴィネア相手に有利に計画通りに事を進めようというのが間違いなのだ。

 問題はその左手に握られた一振りの剣。

 『紅蓮の指輪』と同じ遺産(アーティファクト)。だがその価値はダイヤモンドと炭屑ぐらいの差がある本物の世界に残った神秘。

 王家に伝わる秘宝、“六聖の神器“の一つ……光の聖剣『エクスカリバー』


「なんで⁉︎神器は……!」

「俺が奪えるから怖くて使えないはず……ですか。だってあなた扱う神器を変える際にインターバルが存在するでしょう?まさか気づかないとでも思ってたんですか?」


 チッックショウがァッッ!!!!

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