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【書籍化】最強守護騎士の過保護が止まりません! ~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~  作者: 櫻井みこと
魔法学園一年生

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仲間になったヒロイン

 もう今日の授業は終わってしまったこともあり、生徒の数もまばらだ。

 今の王太子には、会わないほうがいい。そう思ったセシリアは、ララリも探すことにした。

 彼女をけしかけるようなことを言ってしまった直後だ。

 どう説明したらいいのかわからないが、魔族が関わっている以上、彼の傍にいるのは危険だろう。

 セシリアはまず、どちらがいてもおかしくないと、図書室に向かった。

 学園の図書室は、前世の記憶にある図書室とそう変わらない。

壁を取り囲むように大きな本棚があり、そこに魔法に関する本がびっしりと並んでいる。中央には机と椅子がいくつか並んでいて、そこで本を読んでいる生徒が何人かいた。

「うーん、どっちもいないわね」

「そのようだな」

 本を読んでいる人たちの邪魔をしないように、静かに図書室の中を歩き回って探したが、フィンもララリもいなかった。魔法訓練所にも足を向けたが、今日はもう閉鎖されていた。

「寮に戻っていたら、もう探せないわね」

 フィンを探すのは難しいと判断して、本格的にララリを探し始める。

 彼女もアレクを探して学園内を歩いているだろうから、どこかで行き違いになっているのかもしれない。

(でも見つかったら、何て言えばいいのかしら……)

 気持ちを伝えてあげたほうがいいと言ったその日に、今度は彼には近寄らないほうがいいなんて告げたら、ララリも困惑するに違いない。

 それでも彼女の安全のためには、それを伝えなくてはならない。

 ララリを探していろいろと歩き回ったが、結局彼女も見つけることができなかった。

 仕方なく教室に戻ると、誰かが教室の前に蹲っていた。小さく嗚咽が聞こえてくる。

 泣いているのかもしれない。

 顔は見えなかったが、美しい銀色の髪が、窓から降り注ぐ夕陽に照らされている。

「ララリさん?」

 見覚えのある髪色に思わず声を掛けると、ララリは顔を上げ、涙を溜めた瞳でセシリアを見上げた。

「セシリア様……」

「どうしたの? 何があったの?」

 差し伸べられた手を握ると、縋るようにして抱きついてきた。

 そのまま抱きしめて、彼女が落ち着くのを待つ。

「私……。どうしたらいいのか……」

 セシリアは何も言わず、ただその背を抱きしめた。

 ララリは、どうしよう、もう駄目かも、などと呟いていたが、少しずつ落ち着いて来たようだ。

 やがてその涙が止まる頃、アルヴィンに促されてララリの手を繋いだまま、教室に入った。

 入り口近くの椅子に向かい合わせで座り、何があったのかゆっくりと尋ねてみた。

「王太子殿下に、アレク様にお会いしたんです」

 真っ赤な目をしたまま、ララリはそう言って両手を握りしめた。

 間に合わなかった。

 そう思ったセシリアは、そんなララリの手をそっと握る。

「何があったの?」

「アレク様の、お役に立ちたくて。何かできることがあったら、何でもします。そう言ったら……」

 セシリアにアドバイスされたように、ララリはアレクにきちんと気持ちを伝えようとしたらしい。

 だがアレクはララリに、他の生徒たちが憎くはないのかと聞いたようだ。庶民出身だと侮り、軽んじられていることに怒りを覚えないのか、と。

「私は、気にしていませんと答えました。たしかにそういう人たちはいますけど、セシリア様とか、私を気にかけてくれる人たちはいます。それだけで、そんな嫌な気持ちなんか吹き飛んでしまいますから」

 だがそれは、アレクが望んでいる答えではなかった。

 彼はダニーやフィン、兄のユージンのような人間を望んでいた。誰かを羨んだり妬んだり、そういった負の感情を増幅させて、操ろうとしていたのだろう。

 でも、ララリにはそんなものはなかった。

 少し空気の読めないところはあるが、まっすぐな心を持っている。

 さすがにヒロインだけある。

「そうしたら、私はいらない、使えないって言われて。私、アレク様を怒らせてしまったのかもしれない」

 また涙を滲ませるララリに、セシリアはすべて話そうと決めた。

 彼女のまっすぐな想いは、きっとアレクを救ってくれるだろう。

 アルヴィンを見上げると、彼は黙って頷いた。

 セシリアはララリに向き直り、話を聞いてほしいと告げる。

「少し長くなるけれど、聞いてほしいの。あなたならきっと、王太子殿下を助けられると思うから」

 だってララリは、ヒロインなのだから。

 さすがに前世やゲームのことは話せなかったが、魔族が関わっていることと、黒い瘴気のことはしっかりと話した。かなり驚いた様子だったが、ララリはその話に納得したようだ。 

「あんなに優しいアレク様が、あんなことを言うなんて、おかしいと思ったんです。魔族に操られているせいなんですね。それを倒せたら、もとの優しいアレク様に戻りますよね?」

「ええ。その可能性はあると、わたしは信じているわ」

 セシリアはそう答える。

 ララリを安心させるためだけではなく、本心からだった。

 メインヒーローであったアレクが、魔族の手下となってしまうなんて、悲しすぎる。

 きっとこの物語も、ヒロインとヒーローのハッピーエンドで終わると信じたい。

「私にも協力させてください。絶対に、アレク様を取り戻したいです」

「ええ。あまり危ないことはさせられないけれど、情報を集めるのに人手が必要なの。ぜひ、お願いしたいわ」

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