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第5回 不穏な気配

とりあえず連日投稿はここまで!あとは書き上げ次第投稿していきます。

 自然と目が覚める…………えっとここは………あ~そうか、そういえばそうだった。ここは俺の部屋などではなく見知らぬ異世界だったな。…あ~思い出した、昨日はマズったなぁ。



 何か殿下に会うのが気まずいな…しかし、世話になった人に何も言わずに居なくなったりは出来ないからなぁ。うん…覚悟を決めよう。悪いのは俺だしな、もしも機嫌が悪そうならすぐ謝ろう。



「それにしても…起きたのは良いんだが、俺ってここでそのまま待っていても良いのかな?それとも探しに行ったほうが良いかな?でも…下手に動き回って不審者扱いされても困るし…。」



 口に出して見ると自分の考えがある程度まとまった、よし!部屋から出ないでおこう。不審者扱いされそうだ。いや…きっとされる。だって…俺って昨日の服装からずっとそのまま…作業服のままなんだぜ?どう見ても不審者にしか見えない。昨日のメイドさんが覚えていてくれたらいいけど…もし…もしだぜ?昨日のメイドさんが休みだったら…どうする?



 それを考えたら安易に出歩けないよ。と言う訳で!誰か来るまで部屋で待機します!しかし、そうなると暇を持て余すな…どうしようか?流石に2度寝は印象が悪くなるだろう。お!よく見たら机と椅子がちょうどあるじゃないか。そこに座って待っていよう。それなら変に悪い印象もつかないだろう。



 椅子に座ってもする事は特に無い、いや!そうだ、あるよ、する事あるじゃないか!これからどうするのかを考えておこう。いつまでもここに留まる訳にはいかないだろうし。せめて、自分で生活できる環境を作らないといけない。そのためにはまず働かないと駄目だ、働くとしたら…街や村が良いかな?少なくともこんなプレッシャーを受ける職場は御免こうむる。



 仮にここが王族が住んでいる城だとしよう、そうなればその周りを囲む様に街があるはずだ…多分。よし…これから考えるのは仮にで考えてみよう!

 一番に重要なのは安全な場所だな、森であった犬?みたいなやつに襲われたりしたら溜まったもんじゃない。安全な場所は最重要だ。

 次に、自分にとって信用できる知人を作るべきだろうな。今の俺は知り合いが誰も居ない状態だからなぁ。知人なり友人がいれば困った時に相談もしたい時もあるだろうしな。

 その次は…出来れば普通の職場を探したい、可能なら俺が務めていたリサイクル業者みたいなのがあれば一番良い。その仕事以外をした事がないので、それ以外だと不安がある。骨董屋とか質屋みたいなのが良いな。それなら何とかなりそうだし。



 次は住居かな?贅沢を言うなら一軒家だが幾ら異世界とはいえ一軒家は高そうだ。現代日本でも手に入れる事が出来なかったのに、異世界で一軒家が持てるようになるとは思えない。現実的に考えるのなら、やはりアパートのような場所だろうか?異世界にもアパートの様な場所があればいいけど…こればかりは探してみない事にはわからない。



 しかし、こうやって考えるとわからない事だらけだな。今考えるだけでもやる事…やらなければいけない事が結構あるな。


・安全な街や村を探す事。


・力になってくれそうな知人または友人を作る事。


・自分にあった仕事を探す事、できれば以前の仕事に似た骨董屋か質屋が良い。


・気を使わずに済む家を手に入れるまたは借りる事。可能なら一軒家が良いが無理ならアパートの様な場所を探す。



 項目としてみれば少ないが、実際にやるとなると結構しんどいな。安全な街なんかは人の話なんかを聞いていけば見つかりそうだが、友人を作ったりするのも簡単にはいかないだろうし、職場だってそうだ。必ずしも見つかるとは限らないだろう。

 家もなぁ…保証人とか必要になったりするのかなぁ…そこら辺の事も調べなきゃだし…。本当にする事が多い。

 


 それに元の世界に戻れるのかも調べないといけないし、…もし戻れないならこの世界で生きていく事も考えて行動しないといけない…だろう。けど、正直これはあまり考えたくない。別に元の世界で生きていて不満はそこまでなかったから、帰るのが嫌だという事も無い。なので、戻れるものなら戻りたいというのが本音だ。



 さてと、何から始めようか…すぐに出来るのはやはり情報を集めて安全な街や村を探す事だろうか?それなら何とか今の俺でもできそうだな。うん…未知の世界でうろつくのはかなり勇気が必要だけど、何もしないという選択肢はない。まずは頑張ってみるか。



 さっきからずっと待っているのに、誰も来ないな…いつまでも待っていてもしょうがないので部屋から出てみるとしよう。



 扉を開けて部屋から出てみる…周囲を見渡してみる…もちろんだが誰もいないな。ちょっとだけ部屋の外に出た瞬間、殿下が俺を驚かそうと待ち伏せしてないか?とも思ったりしたが、全くそんな事はなかった。まぁ、そこまで暇な人でもないだろうからそんなイタズラめいた事はしないか。



 お腹は空いているが、図々しく朝食をたかる勇気は持ち合わせていないので出来るのなら外に出たいな。そして、どうにかして金銭を得て簡単な食事をしたい。正直ここにいるのは精神的にキツイ。

 非常に居心地が悪い、神経が図太ければ良かったが、あいにくとそこまでの神経は持ち合わせていないからしょうがない。俺は普通の生活が出来ればそれでいいんだ…。



 何となく廊下を歩いていく、結構移動しているのだが…誰にもすれ違わないな?もしかして、皆朝が遅いとか?いや…そんな事は無いはずだ。朝食の準備も必要だろうし、殿下の様に役職に付いてる人ならしなければならない事も多いはずだ。それを考えれば決して俺の考えは間違ってはいないはずなんだけど……うん、誰にも会わないね。



 移動し始めてもう10分ほどなるが、相変わらず誰にも会わない。まぁあれだな?このまま外に出る事が出来れば、何のトラブルもなく街に向かう事が出来ると思えば問題ない…はず。



 長い廊下を歩き曲がり角を曲がると…あれは出入り口だろうか?大きな扉がある…のは良いけど、やはりここにも誰も居ないようだ。…まるでここに誰も存在していないのでは?と思った瞬間、背筋がゾクッとした。昨日の出来事がまるで幻だったかのような…そんな気になった。

 まさかとは思うが俺は化け物の類に幻覚でも見せられてるのではないよな?急に怖くなり、急ぎ足で出入り口に向かう。早くここから出たいと思わされるような何かを感じた。



 出入り口と思われる場所にたどり着いたので、扉を押してみるが…全く開く様子はない。ドアノブの様な物も見受けられないので、何処かに扉を開けるためのスイッチでもあるのかと周囲を探すと扉の側の壁にレバーがあるのでそれを思いっきり下ろしてみた…すると下ろしたレバーの分だけ扉が開いていくので、人が一人通れる分だけを開いて外に出た。



 外に出ると…やはりここは城だったようで、かなり広大な土地に建っているようだった。土地柄は高台に位置する場所にあるようで、この位置から見下ろすだけでも城を囲むように街が見えた。



 良かった…俺の考えは当たっていたようだ。まずは街を目指そうとして、ふと何となく後ろ振り返ると…気の所為か?誰かに見られている様な気がしたんだが…まぁ良いかと思い目の前にある長い階段を降りていく事にした。



 ◇



 ようやく出ていきましたね。全く…判断が鈍いにも程があります。



 私はここからお兄様が連れてきた謎の人物を何とか城から自発的・・・に出ていくのを見届けた。私アリシア・フォン・アーマイトはずっとあの男を観察していた。この男はお兄様を利用しようとして近づいてきたならず者なのでは?と。

 まず、そもそもが怪しいのです。私達王族の管理するあの森【禁域・森羅しんら】は昔から王族にだけ伝わる重要な何かがあるらしいのですが…と脱線してしまいましたね。コホンッ!あの重要な地は何故かかなり強力な魔物がすむ森で装備も何もない人間が簡単に立ち入る事が出来るはずもありません。それから考えるにきっとあの帝国あたりが手を回したスパイか何かに決まってます。素手に見えたのもきっとボックス系のスキルでも持っていて、お兄様に会う前に装備を隠してしまったに違いありません!



 そうであるはずなのにお兄様はあの男を見て素手で彷徨ってる可哀相な人だと思って連れてきてしまったのでしょう。お兄様はお優しいですからね、だからこそ私が…お兄様の妹である私が鬼になってお兄様に近づく驚異を排除して差し上げたのです!

 まぁもしかしたらあの者もそこまで悪い人では無いのかもしれませんが、悠長な事を言っている間に何かが起きてもいけませんので、私は強行手段に出たのです。それに聞く所によるとメルティスもあの男の所為で今は自宅で待機せよとの命令をお兄様に受けていると騎士団長に聞いていますので、その事が余計に私の判断を早めた要因になったのです。



 しかし、これでもう安全でしょう…私はが立つ扉をくぐり城の中に戻る事にした。



 ◇



 城を出て街へと向かう…足元を歩く地面は城に向かう為というだけあって綺麗に整備されており、石畳が敷かれている。これだけ整備されている地面なら徒歩でもそうそう疲れたりしないだろう。

 俺は高台に位置するこの道を歩きながら街を見下ろしつつ意気揚々と歩いていくのだった。



 はぁ~意外と距離があったな。ちょうどいい運動になった…あとはお腹を満たせたら十分なんだが…俺ってお金を持っていないんだよなぁ。どうしようか?辺りからは屋台から漂う香ばしい匂いがする。腹が減っているというのにこの匂いは拷問だな…どうにかしたいが、流石に無銭飲食は出来ない。屋台のおっちゃんやお姉さん達の威勢のいい掛け声がたまに掛かるのだが、俺が金を持ち合わせていないと言うと、途端に目をそらされた…悲しい。仕方ないか…これが世間というものだ。



 街の中央通りだと思われる道をひたすら歩き続けていると、いつの間にか街の出口らしき場所まで来ていた。そのままここに居てもしょうがないので、街の外にでも出て何処かで木の実でも探してみようかな?と思い、そのまま外に出た。一瞬だけ門番と思われる兵士が俺を見ていたが、すぐに何事も無かったように視線を外していた。



 俺は腹が減って朦朧とした頭で大して深く考える事もせずにそのまま街の門をくぐり、外へと出ていった。…後にこれがトラブルになる事も知らずに…。

 


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