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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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-合流 1-

翌日、朝早くからヘイゾウ達は『ヤツシロ』から出発する。目的地は『ホウジョウ家』直轄の地、『エチゴ』である。クラウン達は旨い料理と風呂、そして柔らかなベッドで寝れて幸せの1日を過ごせた。


「んーーーーっ!気持ちのいい朝だねぇー!」


クラウンの横で体を伸ばしているのはミリィだ。朝、食事をしてから今まで一緒に行動していた。


「うん。昨日はぐっすり眠れたし、何より暖かいご飯食べれたしね」


クラウンの言葉にうんうんと、満面の笑みで答える。やはり暖かいご飯とふかふかの布団とは最高の贅沢だと実感したのだ。ふと、クラウン達を見かけたカンタが近寄ってくる。少しばかり顔が赤い。


「ク、クラウン。ちょっと話したいことがあるんだけど、い、いいかな?」


下を見ながらクラウンへと話しかける。昨日ヘレーナを見た時も赤かったが、今回は耳まで赤い。


「ええ、大丈夫ですけど…。どうかしました?」


「んんっ!だだ大丈夫!ならあっちに行こうか」


どうやらその場では話せない事らしくカンタは少し離れた場所を指す。クラウンはミリィに別れを告げカンタと共に歩く。ミリィと距離を取り周囲を警戒してカンタが小声で聞く。


「あのさ、ちょっとだけ聞きたいことがあるんだけど。…まず、キミたちの国の人たちは全員あんなに綺麗なのかい?」


内容と合わない深刻な表情でカンタがクラウンに質問する。


「えーっと?……ああ、女性がってことですか?」


「そうだよ!…昨日馬車から顔を見せた人とは違うけど同じくらい綺麗だった!」


クラウンはカンタが言いたい事を察する。要するに、カンタはヘレーナとミリィを見て惚れたのだろう。


「……どうなんでしょう?ミリィもヘレナも綺麗ではありますが、彼女たちは公爵家の一族ですからね…。一概に全員が綺麗とは言い切れないです…」


「でもさでもさ!あんなに目鼻がくっきりしている人初めて見たよ!すっっっっっごい美人だ!」


カンタはもはや感情が隠しきれない様子でクラウンに思いをぶつける。言葉にはしてないが、クラウン達男性もカンタからしてみれば美形なのである。


「あー、付き合ったり結婚するならあんな子がいいなぁ。…クラウンは付き合ってる人はいないのかい?」


「はは。まだ10歳ですよ?公爵家なら許嫁とかいるでしょうけど、ぼくにはまだいないですよ」


苦笑いと共にクラウンはカンタへ告げる。クラウンの言葉にカンタは思い出したかのように話す。


「ああ、そういえばあの人たちもボクより歳下なのか…。歳下の嫁………。アリだな」


ブツブツと妄想の世界へと入っていくカンタにクラウンはかける言葉が見つからない。助け舟を求めるかのように周囲を見渡すとちょうどカンベエがこちらに向かっていた。


「おう!そろそろ出立だそ!準備は出来てんのか?……っておいカンタ。何そんなに顔赤くしてんだ?気持ち悪い」


カンベエの痛烈な一言にもカンタは気付かない。その様子に呆れたカンベエがカンタへ拳骨を落とす。


「いっっっっっ!!なにしやが……るんですかねぇ。えへへへ」


痛みを覚え怒りをクラウンへぶつけようとした時、目の前には呆れ顔をしたカンベエが居た。最初の勢いはどこへやら。今のカンタは手をこまねき、カンベエへゴマをすってるように見える。


「はぁー。我が弟ながら恥ずかしい限りだ…。クラウン、コイツが変なこと、もしくは変な感じになったらすぐ殴って目を覚ませてくれ」


「なっ!兄者!ボクはそんなことにはなったことなどありませんよ!」


「現に今なってただろーが!…はぁーあ。そろそろ出立だから準備終わらせろよ。クラウン、よろしく頼む」


クラウンへ片手をあげながらカンベエは所定の位置へと戻っていく。その後ろ姿を苦笑しながら見送るクラウンと、先程とは違う意味合いで顔を赤く染めたカンタが見つめるのであった。

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